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シューベルト「ピアノソナタ5番」リズムを優先しても成立する演奏がある。ヴィルヘルム・ケンプ

作曲者:シューベルト
曲名 :ピアノソナタ第5番 D557 第3楽章
演奏者:ヴィルヘルム・ケンプ

ちょっと聴くとこの演奏は、
ありふれた演奏に聴こえるかもしれない。
だけどこのケンプの演奏の解釈を知ると急に素晴らしい演奏に
聴こえてくるかもしれない。

Schubert: Piano Sonata No. 5 in A-Flat Major, D. 557: III. Allegro

私はこの曲をケンプじゃない人でいこうと思っていた。
だけど何度か聴いているうちに、
その人の演奏にはケンプほどの聴いた後の満足感が無い事に気づいた。
そこでこのケンプの演奏は一体何だとなった。

他の人の演奏と比べると良くわかるんだけども、
このケンプの演奏はリズムに比べて旋律がちょっと弱いというか甘い。
もうちょっと音が良ければと思う自分が居ることに気づいた。

そしてそれはケンプの演奏は旋律よりもリズムを優先して
演奏しているのではないかという気づきにつながった。
他の人がやっている旋律を優先するこの曲の解釈の真逆を
ケンプはやっていたのではないかとも思えた。

そう考えてみると、ケンプはまるでバッハの演奏でもするかのように
リズムを扱っていることにも気づいた。
バッハの演奏にはしっかりとしたリズムが必要になる。
それをケンプはこの曲で応用していたのではないだろうか。
バッハだと思ってこの曲を聴くとそう聴こえてくるのだ。

この演奏で得られる満足感は、
旋律からよりもリズムから来ていることに気づいた。
ドビュッシーの曲のように旋律が弱いと満足感が薄くなるのとは
真逆の構造なのだ。

こういう旋律よりもリズムを優先した演奏から大きな満足感が得られるというのは貴重な体験ではないだろうか。
ケンプという人はリズムを優先してもトータルでの満足度をちゃんと引き出すことが可能なピアニストなのではないか。
ケンプの演奏は確かに今の時代との違いを感じる時があるかもしれない。
だけどもその音楽的な本質は今でも通用するものがあると思う。

私はケンプやリヒテルが大好きで聴いてきたけども、こういうことがあるとまだまだ理解できていないなと気づかされる。それと同時になんで好きなのかをちょっとずつ自分で理解できて行けているような気がする。







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