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食べたものが、そのまま栄養になるわけではありません

こんにちは、パーソナルトレーナーのリクです。

「追い込む」のではなく「一緒に整える」を大切に、運動が苦手な方の体づくりに寄り添っています。

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たんぱく質を意識して、野菜も足して、朝ごはんも抜かないようにしている。

なのに、なんだか元気が出ない。食べたあとに眠くなる。お腹が張る。夕方には、もう何も食べたくない。

こういうお話を、けっこうな頻度でうかがいます。そして多くの方が、「まだ足りていないのかな」と思って、さらに食べる量や種類を増やそうとされます。

今日は、その手前にある話をさせてください。足りていないのではなく、入ってこられていないのかもしれない、というお話です。

食べたものは、いったんばらばらにされてから入ります

あたりまえのようでいて、意外と忘れられているところから始めますね。

口に入れた食べものは、そのままの形では体に入れません。細かく分解されて、はじめて吸収できる形になります。

どこで何が起きているか、ざっくりだけ見てみます。

  • :唾液が、炭水化物と脂質の分解を始めます

  • :胃液が、たんぱく質と脂質を担当します

  • 十二指腸:炭水化物・たんぱく質・脂質、三つそろって分解が進みます

  • 小腸:ここでようやく「吸収」されて、肝臓を通って全身へ

つまり、お皿の上のたんぱく質20gは、まだあなたの体のたんぱく質20gではないんです。ここを通り抜けて、はじめて自分のものになります。

そして、この通り道の働きは、いつも同じ力で動いているわけではありません。

「よく噛みましょう」が続かないのは、当たり前だと思います

消化の話になると、まず言われるのが「よく噛みましょう」です。

これは正しいです。噛むことは、胃にとっての下ごしらえそのものなので、噛む回数が増えれば胃の仕事はそれだけ減ります。

ただ、正直に申し上げると、わたしは「30回噛みましょう」という言い方があまり好きではありません。

数えながら食べるって、しんどいんです。3日は続いても、忙しい日に一度忘れると、そのまま元に戻ります。そして「また続かなかった」という気持ちだけが残ってしまう。

それに、噛む回数だけを増やしても、体のほうが受け入れる準備をしていなければ、思ったほど変わらないことがあります。

じつはここが、今日いちばんお伝えしたいところです。

体には、消化のスイッチがあります

わたしたちの体には、アクセルとブレーキのような二つの神経があります。

交感神経は、活動するときの神経です。緊張しているとき、急いでいるとき、ストレスを感じているときに強く働きます。

副交感神経は、休むときの神経です。そしてこちらには、もうひとつ大事な役目があります。

消化と吸収は、副交感神経が優位のときに進みます。

わたしが学んだ資料には、はっきりこう書かれていました。交感神経が優位のあいだは、消化吸収の働きが下がる。

つまり体は、「いま戦っている(急いでいる)」と判断しているあいだ、消化を後回しにするんです。よく考えると、とても理にかなっています。走って逃げている最中に、のんびりごはんを消化している場合ではないですものね。

スイッチが入りにくい場面が、日常の中にたくさんあります

では、どんなときに交感神経のほうが優位になるのか。資料に挙がっていたものを並べてみます。

  • 強いストレスを感じているとき

  • 睡眠が足りていないとき

  • 長い時間、何も食べていないとき

  • そもそも食べる量(カロリー)が足りていないとき

  • カフェインをとったあと

  • 運動の直後

  • 会議や発表など、気を張っている場面

いかがでしょうか。ここに、思い当たるものはありませんでしたか。

わたしがとくに気になるのは、上から3つめと4つめです。

朝ごはんを抜いて、昼まで何も食べない。夕方まで水とコーヒーだけ。そういう日は、体が「何も入ってこない」と判断して、血糖を上げるホルモンを出します。 そのホルモンが出ると、交感神経のほうが優位になります。

そして、ようやく食べられる時間になったころには、体はもう消化モードから遠いところにいるんです。

「食べていないから食べる」だけでは追いつかないのは、こういうところにも理由があります。

眠りは、その日の食べ方の続きです

睡眠の記事では「食べ方が眠りをつくる」というお話をしましたが、じつは逆向きにもつながっています。眠れていない日は、消化のほうも本調子ではありません。

追いつかないまま先に進むと、お腹の側にも響きます

もうひとつだけ、体の中の話をさせてください。

十分に分解されないまま先へ進んだ食べものは、そのまま腸に届きます。すると腸のほうでは、菌のバランスが乱れたり、粘膜が刺激を受けたりすることがあります。

そして困ったことに、腸の調子が乱れると、消化の力もさらに落ちやすくなります。

お腹が張る、ガスが出る、下痢とお通じの悪さをくり返す。食欲がわかない。こういう症状は、この輪の中でぐるぐるしているときに出やすいものです。

夏のあいだ、お腹はずっとがんばっていました

こわがらせたくてこの話をしているのではありません。逆です。 輪になっているということは、どこか一か所をゆるめれば、全体がゆるむということでもあります。

そして、いちばんゆるめやすいのが、食べる前の数分なんです。

食べる前に、できること

ここからは、今日の夜からできる話です。

1. 食べる前に、ひと呼吸だけ置く

大げさなことではありません。スマホを伏せて、椅子に座り直して、ゆっくり息を吐く。それだけで、体は「いまは休んでいい時間だ」と判断しやすくなります。

立ったまま、パソコンを見ながら、次の予定を考えながらの食事は、中身が同じでも、受け取れる量が変わってしまうことがあります。

2. 食前に、野菜か果物を少しだけ

生の野菜や果物には、消化を助ける酵素が入っています。食事の最初にひとくち、ふたくち入れておくと、そのあとが少し楽になります。

トマトをひと切れ、キウイを半分、りんごを少し。それくらいで十分です。

3. 空腹の時間を、あけすぎない

これがいちばん効くかもしれません。長く食べない時間が続くほど、体は消化から遠ざかります。

朝がどうしても食べられない方は、果物ひとつやお味噌汁一杯からでかまいません。「消化しやすいものを、少し」が入るだけで、体はずいぶん違う受け取り方をしてくれます。

食べているあいだに、できること

4. 噛む回数ではなく、ひとくちの量を小さくする

「30回噛む」は数えないと続きませんが、ひとくちを小さくすると、噛む回数は自然に増えます。 意識するのは最初のひとくちだけで大丈夫です。

5. 食事の前後に、水を飲みすぎない

意外に思われるかもしれません。水分をたくさんとると、胃の中の消化液が薄まってしまうことがあります。

飲むなというお話ではまったくありません。食事中にコップ1杯くらいならふつうのことです。ただ、食前に大きなペットボトルを空にするような飲み方をしていたら、そこだけ少し変えてみてください。

6. 梅、レモン、お酢を、一品にそえる

ごはんやパンなど炭水化物のときは梅、お肉やお魚などたんぱく質のときはレモンやお酢。昔ながらの組み合わせですが、消化の面から見ても理にかなっています。

からあげにレモン、お寿司にガリ、おにぎりに梅。あの並びは、よくできているんですね。

「重い日」の、逃げ道もつくっておく

体調によって、どうしても受けつけない日はあります。そういう日のために、逃げ道を持っておくと安心です。

  • お肉は、かたまりより挽き肉に(同じ量でも、胃の仕事がずいぶん減ります)

  • 焼くより、煮込む(やわらかく煮込んだものは、それだけで消化しやすくなります)

  • お肉より、お魚や大豆製品に(こちらのほうが楽だという方が多いです)

  • 量が入らない日は、無理に増やさない(1回に食べられる量が少ない方は、回数を増やすより3食を整えるほうが合いやすいです)

「今日は食べられなかった」ではなく、「今日は軽いほうを選んだ」でいきましょう。そのほうが、明日につながります。

胃の働きは、鉄の吸収にも関わっています

ひとつだけ、つないでおきたい話があります。

鉄は、胃酸があることで吸収しやすい形を保てます。つまり「鉄をとっているのに増えない」ときに、消化の側が関わっていることもあるんです。

年齢とともに胃酸の分泌が下がっていくことも報告されています。「昔と同じように食べているのに、前より重い」と感じるとしたら、量ではなく、この側の変化かもしれません。

ちゃんと寝ているのに、疲れが取れない。鉄が足りていない体で起きていること

気になることがあるときは

胃の痛みが続いている方、体重が落ちてきている方、吐き気や強い食欲不振がある方は、食べ方を工夫する前に、一度お医者さんに診てもらってくださいね。

胃薬(胃酸を抑えるお薬)を飲んでいる方も、自己判断でやめないでください。 処方には理由があります。気になることがあれば、主治医の先生に相談するのがいちばん早くて安全です。

ここは遠慮しなくていいところなので、聞いてしまってくださいね。

今日からできる、小さな一歩

ぜんぶやらなくて大丈夫です。ひとつだけ選んでみてください。

1. 食べる前に、ひと呼吸置いて、座り直す

お金も時間もかかりません。今日の夜からできます。

2. 食事の最初に、果物か生野菜をひとくち

トマト1切れ、キウイ半分。それだけで、そのあとが少し楽になります。

3. 朝、何か少しだけ入れる

お味噌汁一杯でも、果物ひとつでも。空腹の時間が短くなると、体は消化のほうに戻りやすくなります。

さいごに

「もっと食べなきゃ」「もっと噛まなきゃ」と思いながら食卓に向かうのは、けっこう疲れることだと思います。

でも今日見てきたとおり、体は急いでいるあいだ、消化を後回しにするようにできています。裏を返せば、ゆっくりしていい合図さえ届けば、ちゃんと働いてくれるということです。

増やすより先に、受け取れる状態にする。噛む回数を数えるより、ひと呼吸置く。

食べたものは、そのまま栄養になるわけではありません。でも、そこを通るための入口は、思っているよりずっと簡単に開きます。

自分のペースで、一緒に整えていきましょうね🙂


今日お話しした「消化のちょうどよさ」も、じつは人によってちがいます。

「私はどこから手をつければいいんだろう?」が気になったら、3分の〈栄養タイプ診断〉から。

あなたに合う整え方のヒントと、そのまま相談できる入口も用意しています。

https://rlabo.pages.dev/shindan/

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