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【感想】文豪も「命を食べる動物」だった|嵐山光三郎『文士の舌』を読んで

◾️文豪×食=何が見える?

歴史と文化をこよなく愛する
ちゃんとしてない系教養ママのharukaです。



食べログ、インスタ、ミシュラン……
いまどきは食べる場所を探すのに
いろんな媒体がありますが



今回はちょっと変わった
グルメガイド
をご紹介したいと思います。



森鴎外、夏目漱石から向田邦子まで
いろんな文豪の愛した店を描き出す!


嵐山光三郎著『文士の舌』(新潮社, 2011)



いわゆる、文豪が愛した料理
というやつです。



小説家というのはしばしば
美食家・健啖家を兼ねるようで



先日私も志賀直哉谷崎潤一郎に愛された
熱海の「レストランスコット」
ご紹介したばかり。




今回は、自身も料理を趣味とし
食べ歩き本なども出版している
故・嵐山光三郎(2025年11月逝去)の
『文士の舌』
を通じて



私が感じた
愛すべきクセ強文豪たちの
意外な一面について

書き留めてみたいと思います。




◾️『文士の舌』ってどんな本?

本書は、24名の文豪たちが愛した
現在も続く名店
その逸品を
様々なエピソードを交えて紹介する
というもの。



執筆したのは昨年11月に亡くなったばかりの
嵐山光三郎という
『笑っていいとも!』にも出演されていた
編集者・作家・エッセイスト



読売新聞の訃報記事より



本作で登場する文豪の中には
嵐山光三郎本人が
実際に交流のあった作家も!



単なるエピソードの寄せ集めではなく
嵐山光三郎ならではの
リアリティも強みの一冊でした。



◾️マヨネーズが嫌いな森鴎外

さて、この本を開いて
まず思ったこと……



文豪って揃いも揃って
クセ強すぎん???



冒頭に紹介されたのは
東京の料理店に精通していたという
森鴎外




『舞姫』で有名な森鴎外



ドイツで衛生学と細菌学を学び
軍医でもあった森鴎外は
ナマモノに極度の警戒心があったらしく
果物ですら煮て食べていたそうです。
(人生最後の食事は「煮た桃」)



秀逸だったのが、マヨネーズの逸話
なんと、自分の子供たちには
マヨネーズのようなドロドロしたもの
食うな!
と言っていたそう。



曰く、ドロドロした料理は
作るときも、皿に盛るときも
細菌が入りやすく、衛生上良くない

とのこと。



いやそりゃそうですけども😂
コロナの時代に生まれてなくて
よかったね😂



ちなみに、泉鏡花
母親を天然痘で亡くした経験から
極度の潔癖症&バイ菌恐怖症だったとか。



刺身は決して食べず
大根おろしも煮て食べて
吸い物に柚子の皮がひと削りでもあると
口をつけなかったそう。



食べ物は体内に入り
健康に直接影響を与えるものなので
保守的になってしまうのも
無理はありません。



とはいえこの異常なこだわりが
名文、美文を生み出すのでしょうか……



◾️大食漢な高村光太郎が愛した牛鍋

感染症を恐れる2人とは対極的に
旺盛な食欲で豪快に食べていたらしいのが
詩人・彫刻家の高村光太郎



彼は、彼が愛した
牛鍋屋「米久」の名前を詠み込んだ
その名も「米久の晩餐」という詩を
残しています。



食べログより「米久」のすき焼き



「八月の夜は今米久にもうもうと煮え立つ」
というフレーズから始まるこの詩は



来客のたびに大太鼓を鳴らし
さながら「戦場」の様相すらある
牛鍋屋「米久」の活況を
生き生きと描き出します。



高村光太郎といえば
旺盛な食欲に負けず劣らず
激しい性欲も隠すことなく
詩に詠み上げる人でもありました。



その溢れんばかりの生命力
粗食を重んじる当時の医学を攻撃し
肉食や牛乳などによる
日本人の食生活改善
を唱えていたそう。



そんな様々な背景を知ると
高村光太郎を気取って
100年の歴史を誇る牛鍋屋で
牛肉を食い散らかしてみたい気にもなります。




◾️言葉で「食」を語ることの生々しさ

ところで、本書を読んでいて気づいたんですが
エッセイや文学作品で読む
「食」ってなんだか生々しくないですか。



それこそ、インスタやグルメ記事で見かける
料理のビジュアルって
アートのような美しさですが



いざ、文字や文学作品となると



「豚」「牛」「魚」
と、食材はひとしく生き物になってしまう。



この本にも美味しそうな料理の写真
冒頭にカラーで掲載されていますが



癖の強い人間性を露わにした
文豪たちが好んで食べた料理の
エピソードを読んでいると



「殺生の産物」としての
「食」
を意識してしまいます。



文豪も結局
命を喰らう動物であること



食欲も性欲も旺盛だった者や
酒や薬に溺れていた者
歓楽街の常連
狂ったように執筆していた者らの




味覚。好み。こだわり。偏執性。
衛生観念。性格。性癖。



そういうのが露骨に出て



「食」という
人類共通の関心事を通して垣間見る
文豪の知られざる一面が
とても面白かったです。




◾️赤坂、浅草、銀座……文豪が愛した料理店は、今も地続きの場所にある

私は歴史を学ぶのも
をするのも大好きです。



自分とは違う時空にある存在を
身近に感じることができる
からです。




アジア人で初めて
フランスのフランス料理店で三ツ星をとり
映画『グランメゾン・パリ』の料理監修もした
小林圭氏



「視覚」「聴覚」「触覚」「嗅覚」「味覚」に
「情報」を加えた「六感」すべてで
堪能できる料理を目指していると言います。





つまり、ここまで書いてきたような
「歴史」や「逸話」も含めて
料理を堪能する要素につながるわけです。




見ず知らずの他人が
何百、何千と寄せる評価から
お店を選ぶのもワクワクしますが



歴史に名を残す
癖の強い文豪たち
こだわりという観点から
次のランチを選ぶのも楽しいかもしれません。



とりあえず私はいつか



銀座の「資生堂パーラー」
浅草の「米久」
神田の「松栄亭」
そして「駒形どぜう」



足を運んでみたいなぁと
夢見ております。







以上、ここまで読んでくださり
ありがとうございました!



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普段は、グルメ記事だけでなく
日常生活の話から
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好き勝手に書き散らかしております。





2026年4月には
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それではまた
次の記事でお会いしましょう!


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