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介護事業はなぜ「本気で給与を上げる経営」に変わらなければ人が残らないのか

みなさま、おはようございます。アイアジアの東城です。

【2,517字】


介護の人手不足は、採用の問題ではなく、給与水準と経営姿勢の課題が明確です。
経営者自体が現場業務に時間を取られ過ぎて課題への本気さを奪われ続けている。
このままではいけない。

介護職員は、なぜ現場を離れていくのか

介護施設では、長い間「人が足りない」と言われてきました。しかし、本当の問題は、人が来ないことだけではありません。

入職しても続かない。経験を積んだ職員ほど疲れ切って辞めていく。夜勤を担える人が減る。現場を支える日本人職員が残らない。

ここに、介護経営の一番深い問題があります。
介護の仕事は、人の命と生活に直接触れる仕事です。食事、排泄、入浴、移乗、服薬確認、認知症対応、看取り、家族対応。

どれも失敗が許されにくく、身体的にも精神的にも重い仕事です。それなのに、給与水準が他産業より低いままであれば、若い人も中堅職員も、将来を描けません。


月額で約8万円超、年間100万円に近い格差

厚生労働省の資料では、令和7年、介護職員の賞与込み給与は31.4万円、全産業平均は39.6万円となっており、月額で約8.2万円の差、年間100万円に近い格差があります。

処遇改善は積み重ねられてきましたが、他産業の賃上げが進む中で、介護職の給与水準はまだ、全然、追いついていません。全然、報われていない。大問題なのです。

厚生労働省

「人がいない」の前に、給与で選ばれていない

介護施設の経営者は、よく「募集しても応募がない」と言います。しかし、求職者の側から見れば、介護だけが選択肢ではありません。物流、小売、外食、製造、清掃、警備、事務補助。ほかの仕事も人手不足で、賃金を上げています。

その中で、介護だけが「やりがい」や「福祉の心」だけに頼っていては、人は集まりません。生活できる給与、将来が見える昇給、夜勤に見合う手当、責任に見合う評価がなければ、職員は残れないのです。

特に大事なのは、日本人職員の給与水準です。日本人の中堅職員、リーダー、生活相談員、介護主任、夜勤者が安定していなければ、外国人材を受け入れても現場は支えられません。

外国人材は、低賃金を埋めるための人員という古くからの考えは捨て去ることです。

日本人職員が疲弊している現場に、外国人材を入れても、教育する人、相談を受ける人、事故を防ぐ人への無理強いとなることがほとんどだと思います。


処遇改善加算だけでは、経営姿勢は伝わらない

令和8年度介護報酬改定では、令和9年度を待たずに期中改定が行われ、改定率はプラス2.03%とされました。

介護従事者を対象に幅広く月1万円の賃上げを実現する措置、生産性向上や協働化に取り組む事業者への上乗せ措置も示されています。

介護職員については、最大で月1.9万円の賃上げにつながる措置とされています。

これは重要な前進です。しかし、現場の職員が見るのは、制度の説明ではありません。自分の給与明細です。基本給が上がったのか。夜勤手当が見直されたのか。資格や経験が評価されたのか。責任者になったら生活が楽になるのか。心の底から、そこを見ています。

加算を取っているから大丈夫、ではありません。加算をどう配分し、誰の給与をどう上げ、何年後にどの水準を目指すのか。

そこを示さなければ、職員には経営者の本気が伝わりません。


給与を上げない介護施設ほど、現場が壊れていく

給与水準を上げられない施設では、まず職員の定着が悪くなります。定着が悪くなると、常に新人教育が必要になります。

新人が増えれば、ベテラン職員の負担が増えます。ベテランが疲弊すれば、夜勤や急変対応、家族対応の質が落ちます。

結果として、事故、苦情、離職、採用費の増加が重なります。

つまり、給与を抑えることは、短期的には支出を抑えているように見えても、長期的には施設の現金を失わせます。

採用費、紹介料、研修時間、シフト穴埋め、残業、管理者の疲弊、サービス品質の低下。これらはすべて、見えにくい経営コストです。

東京商工リサーチによれば、2025年の介護事業者の倒産は176件で、2年連続で過去最多を更新しました。

特に訪問介護の倒産が91件と突出し、人手不足、運営コスト上昇、介護報酬の影響が資金繰りを圧迫しているとされています。


外国人材の前に、日本人職員を守る経営が必要

これから介護施設では、外国人材の活用もさらに重要になります。しかし、外国人材を受け入れる前に、まず日本人職員が辞めない職場にしなければならないのです。

日本人職員が低賃金で疲弊し、夜勤も教育も相談対応も抱え込んでいる現場では、外国人材は定着しません。日本語指導、介護記録、利用者対応、事故防止、生活相談。これらを支えるのは、現場の日本人職員です。その人たちの給与と働き方を守らずに、外国人材だけで人手不足を解決しようとすれば、職場の土台が崩れます。

介護施設に必要なのは、「採用できる人を探す」ことだけではありません。今いる職員に、ここで働き続けたいと思ってもらえる給与水準をつくることです。


介護経営は、賃上げを中心に置く時代へ

介護施設の経営は、これから大きく変わらなければなりません。加算を取る。ICTを入れる。外国人材を採用する。業務を効率化する。これらは必要です。

しかし、その中心に職員の給与水準を置かなければ、すべてが空回りします。

介護の問題は、単なる人手不足ではありません。給与を上げる覚悟があるか。職員の生活を守る意思があるか。日本人職員を大切にし、その上で外国人材も共に育てる職場をつくれるか。そこが一番に問われています。

介護施設が本気で変わるためには、まず職員の給与水準を経営の中心に置くことです。

人が残る施設とは、理念が美しい施設だけではありません。職員の生活を守る給与を示し、責任に見合う評価を行い、働き続けられる未来を見せる施設です。

介護の現場を守る第一歩は、採用活動ではなく、経営者自身が、賃上げを本気で経営課題にすることだと思います。


本日も最後までお読みいただき誠にありがとうございます!

今日も一日、良い一日になりますように!



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