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日本の近未来を予想する

このnoteでは日本の近未来を予想する。長文なので、AI要約もおすすめです。


筆者は何者か?

 趣味で世界情勢を分析しており、投資を実践。四六時中情勢の考察をしている面倒くさいオタクである。その情勢オタクによる日本の分析だと思ってご覧いただきたい。

項目

 経済、政治、軍事、社会保障、人口の5項目について解説したい。その後に全体像と提案を書く。

経済


「明るくはないが、極端に絶望的でもない」

 日本経済が伸びることは二度と無いだろう。また、AIや半導体などの先端産業を主導できる可能性もほぼゼロだと思う。東京エレクトロンのシェアは・・という内容の記事をよく見るし、国内企業に期待したい気持ちはわかるけど、東京エレクトロンの売り上げは2兆円程度であり、NVIDIAの40兆円やAmazonの100兆円と比べると規模が小さいのが現実だと思う。

 あとは素材産業も日本の強みとしてよく挙げらると思う。しかしこれは多種多様な素材の一部を担当しているにすぎないことを反映しているのだろう。例えば味の素のABFが半導体材料として最近よく取り上げられているが、ABFの売り上げは800億円程度で、味の素全体の売り上げの5%しかない。

 日本が競争力を維持している製造業の実態は、トヨタ自動車以外は、市場規模のわりに複雑で、あまり競合が後追いしてこない多種多様な製品で生き残っていると言えそうだ。グローバルニッチというやつだろうか。言ってしまえば中国が血眼になって開発しているのは生成AIやGPU、クルマのような産業の心臓部であって、小規模な末端の部品や素材はターゲットにされないことを反映しているのだと思う。

 それでも、何も儲ける手段が無い国よりはよほどマシなのだと思う。もとより日本の大企業は中小企業の集合体のよう、とよく言われる。また、生産性を下げてでも雇用を維持しようとする風土も変わることは無いと思う。これらの形態や文化が、小規模な素材や部品をたくさん作るという稼ぎ方ときっとマッチしているのだろう。

 日本人の代えがたい強みとは?それは勤勉さだと思う。財布を落としても、交番を経由して持ち主に戻ってくるのは日本だけだろう。社員は暴力をふらないし、盗まないし、時間通りに出勤する。こういった状況が、高い給料を出さなくても実現するのは多分日本だけだと思う。他の国だと、例え経済大国であっても、給料が安い仕事の場合はメールした時間通りに到着しない可能性などを常にケアする必要があるはずだ。

 なぜこのような勤勉さに注目すべきかと言うと、AI後の社会でも責任や癒着は人間の機能として持続するという意見が多い。そうなると、安い給料でも裏切らない日本人は何かしらの価値を生み出せる可能性は高いと思う。

「人件費が下がって貧しくなる」

 すでに起きているけども、今後も賃金上昇はグローバル物価の上昇に追いつかないと思う。と言うかここ数年は日本経済はおそらくマシだったという見方がマクロ経済分析ではコンセンサスだと思われ、今後はもっと物価ばかり上がる可能性は高い。

 海外旅行など当然できなくなると思うが、例えば食生活では米、芋、豆、少しの鶏肉など安い食材を家で食べて過ごすのが当たり前になるだろう。マクドナルドのビッグマックセットは、アメリカやスイスなど人件費が高い国では今や3000円かかるのだ。当然現地の人件費は高いわけだが、このような嗜好品は本当の贅沢品と化すだろう。

 好調なメーカーや総合商社の初任給はすごく上がっているようだけど、このような会社は外貨を獲得しているから、当然だと思う。今やドル円やユーロ円は数年前の2倍の値になっているのだ。日本全体として沈み気味なのは避けられないと思うが、このようなグローバル産業として競争力を維持できている会社の場合は、国内平均と比較してかなり高い給料が今後も実現されることが予想される。

 日本経済はどこまで下がるのか?それは具体的にはわからないが、おそらく世界平均ぐらいで止まる気がしている。国民は勤勉だし、工業や農業に使う水は無限にあるから、そうでない国家よりは下がらないだろう。本当に貧困な国とは、犯罪率が高かったり、砂漠だったり、長年の紛争地帯であったり、蚊が凶悪な病気を感染させていたりなど、明確なハンディキャップを抱えている場合がほとんどである。

 日本はこのような大きな問題は抱えていないから、貧しくなって人件費が相対的に下がれば何らかの雇用は発生すると思われる。具体的には、海外企業の製造工場や一次産業など。経済成長期は日本は豊かになって人件費が上がったから、工場や農業は人件費が安い国に外注したはずだ。今度はその逆になるのではないかということである。まあつまりは、おそらく極端に絶望的ではないのだ。

 一方で、日本には内向きな仕事もたくさんある。公務員はその典型だろうが、独立行政法人とか、公共系の発注ばかり受ける会社とか、仲介業者とか、とにかくいっぱいあるのだ。士業もこちらにカテゴライズされるかもしれない。このような業態は正直言って日本経済の縮小の影響をダイレクトに受けてしまい苦しいと思うが、しかし急になくなることも無いと思われる。

 おそらくは賃上げが物価上昇に追いつかない効果が外貨獲得企業よりも大きく、相対的に貧しくなるだろう。それに加えて不景気が来たら新卒の採用を絞るのと早期退職によって、耐え忍ぶ感じだろう。まあ言ってみればバブル崩壊後の氷河期と似たようなものである。既存の雇用を極限まで維持し、全員で貧しくなるということだろう。

 若い人は、どういう職種がいいのか?ときっと迷うと思う。その際に、個人的なアドバイスではあるが、自分の気質と情勢を照らし合わせて考えるといいのではないか?バリバリ働きたい、人と関わりたいタイプであれば、外貨獲得産業に飛び込んでみるのがいいかもしれない。そうでなければ内向きだけどできるだけホワイトそうなところを選んで、節約と資産運用で倒産しても大丈夫なようにしておくとか。

政治


「ポピュリズムとナショナリズムへの傾倒」

 衰退国家では、ほぼ確実にポピュリズムナショナリズムへの傾倒が起こると思う。日本もきっと例外ではない。これらは反エリート主義という見方もできる。

 官僚や中央銀行の行員は民意で選ばれた政治家ではないにも関わらず、政策や経済のコントロールに関与できるはずだ。これは彼らが知的エリートだからだろう。勉強家で理性のある知的エリートの介入によって、民意による意思決定を改良するという仕組みである。そして自国の経済が成長している場合は、大衆はこの仕組みに不満を抱かないはずだ。エリートを信任することによって経済成長、豊かさという報酬が還元されるからである。

 問題は、経済成長が止まった時である。エリートが民意と違うことをやって、経済が成長しない。この状況に大衆はフラストレーションを抱くだろう。実態は、経済の衰退の速度を食い止めるために膨大な知的リソースが消費されているはずだ。しかし、大衆はそのありがたみを実感することはできないのである。このような過程でエリートを意思決定に関与させるべきではないという反エリート主義が蔓延するのだろう。

 一方で政治家はいつの時代も票集めに特化せざるを得ない。その結果、経済の衰退局面では必ずポピュリストが出現すると言える。それはつまり、大衆の短期的な欲望通りに政策をやるということだろう。つまりポピュリストの出現は運命であり、社会構造のレジームを表現するシグナルであると言える。

 ポピュリストの典型であるトランプ大統領の出現に対して、エリート階層ほど驚きと批判のリアクションが大きいと思う。しかしマクロ経済オタクの筆者からすればトランプ大統領の出現は自明であり、アメリカの衰退期を表現する明確なシグナルと言える。エリートほど投票によって感情的かつ無意味な政策が乱発されることをきっと不思議に思うだろう。しかしながら、これは避けられない社会構造のフェーズだと考える。

 日本も同様の事態になりつつあるし、これから激化する可能性は非常に高い。いわゆる「MAGA (Make America Great Again)」的な、「日本を再び偉大に」という意味のスローガンを掲げ、長期的なメリットを考慮せず短期的な国民感情を重視した政治家の人気が上がるだろう。

 一方で、ナショナリズムも衰退期において必ず激化すると思う。それはいわゆる仮想敵国的な思考であり、大衆はどうしても衰退の原因を自国民だと認めたくないのだろう。外国に憎らしい悪者がいて、そいつのせいで日本は貧しくなって、倒せば良くなるはずだと信じたいということである。ところで、財務省が円安を為替介入で抑止する際に、まるで海外に悪者がいるかのような雰囲気のコメントを毎回しているのを面白く思っている。円安は日本人が引き起こしている問題だと思うのだが・・。

 なお、当然そういう仮想敵国的な状況は実態ではない。もちろん中国に家電産業を奪われたりしているけど、それはとても高度なスキルが要求される仕事でなければ人件費が安い国に移っていくという当たり前の現象に過ぎないのであって、中国に攻撃的になったところで何も解決しないはずである。

 しかしながら、国民感情はそのような理性的な解釈で納得することは不可能であり、ただ産業や雇用を奪われたという憎しみだけが蓄積していくのだろう。

「無意味な政策の乱発」

 例えばトランプ大統領はドル高で国内雇用が無くなる事を問題視し、その対策として関税を強引に決行したのである。輸入品だけ値段を上げれば国内製品が売れるという算段だろう。しかしながら、そもそもドル高が意味するのは米国が豊かになったからドルの価値が上がり、アメリカ人の人件費が上がったということであるはずだ。

 この状況では安全保障的な懸念が無い場合は、農業や工業は外国に委託せざるを得ない。それは繰り返しになるがアメリカ人の人件費が高いからである。それを雇用喪失とみなして、関税で強引に解決しようとしたのだ。結果的にはアメリカ人が重税に苦しみ、物価上昇のインフレ圧を高めただけであったし、さらに事後に違法と判決された

 無意味だ、理不尽だ。勉強ができる人ほどそう思うだろう。しかし、これは間違いなく世界最大の経済大国アメリカにおいて、民意で選択された結末なのである。似たような状況がこれからの日本で頻繁に起こるだろう。

 つまりは、フラストレーションを抱いた大衆によって煽動的なポピュリスト政治家が選ばれ、無意味な政策が乱発され行政リソースを消耗するということである。そして官僚や中央銀行などの知的エリートの理性的な提案は無視されるだろう。

 ところで高市政権はAI開発に1兆円投資する方針のようだ。日本が米中にAI競争で食い込める余地などあるのだろうか?1兆円の規模で意味があるのだろうか?そもそも民間の自由競争に任せるべきであって税金を投入する意味はあるのだろうか?ChatGPTを作ったOpenAIは未来の市場価値を期待されて投資家やMicrosoftなどから資金を調達したのであって、アメリカ政府の税金など全く受け取っていなかったはずである。

 つまり政治の無意味化はすでに進んでいるのであって、さらに最もわかりやすいシグナルは参政党の台頭であったと思う。反外国人、反ワクチン、具体性の無いナショナリズム・・まさしく大衆のフラストレーションを結集させた政党だと言えそうだ。そして参院選挙における参政党の台頭が、自民党内で元々右派ポピュリズムに近かった高市首相を持ち上げる事、公明党と連立を解除して維新と連立した事の前触れであったように思う。

 筆者は参政党が参院選で躍進した時、間違いなく自民党が右派ポピュリズムに傾倒することを確信した。それは民意のフラストレーション駆動が激化していることを示す明確なシグナルであったと思う。そして自民党が「与党を維持すること」が目的の政党であり、時代に合わせて右派寄りとか左派寄りとかスタンスを変えてきたことを考えると、今の高市政権のあり方は想像が簡単なことであったのだ。(維新と連立するのはちょっと予想外ではあったが。)

 重要なことは、さらにこれからポピュリズムとナショナリズムが激化するということだろう。例えば外国人技能実習生に対する批判が参政党などによって多く寄せられたが、彼らは働き手不足の日本において、田舎の一次産業や都心のコンビニバイトなど日本人がやりたがらない仕事を薄給でやってくれている立場のはずである。

 彼らを追い出してどうするのか?日本の若者を実習生みたいに、ボロアパートのタコ部屋に押し込めて、家賃を切り下げて薄給でこき使うのか?それとも日本人を採用できる時給に上げるのか?都心の最低時給の仕事など家賃に対して給料が低すぎるし、バイトのために満員電車で長時間通勤する人がいるとも思えない。実習生を批判する議論の無意味さには、トランプ関税に近いものを感じているのだ。

 このような感情的で意味の無い問題に行政リソースが消費される未来がきっと続くであろう。そしてこれは社会構造のフェーズの問題だと考えているので、筆者の意見では回避しようとするだけ無駄である。

軍事


「大惨事にはならない」

 筆者の考えでは、日本がウクライナのように侵略される可能性はおそらくゼロである。なぜなら、あまりにも割りに合わないからである。ウクライナは不運にもかつてロシアと同国であり、キエフ公国という一つの大国だったのだ。しかも当時の首都はモスクワではなくウクライナのキーウであった。その結果、ロシアは大国の分裂後で、しかもかつての首都でない側ということになってしまった。それで、ウクライナに永遠に執着することになってしまったのだろう。

 台湾も似た状況である。かつての中華民国の総統の蒋介石が中国共産党に敗北し、逃げ込んだのが台湾であった。その際に蒋介石は中国の数千年の王朝で継承されてきた宝物とか文書を大陸から台湾に持ち込んだのだ。その結果、中国共産党が設立した今の中国(中華人民共和国)は台湾に永遠に執着することになってしまったのだろう。

 ウクライナと台湾の状況は、とても共通していると思う。権威主義国家の支配者が最も恐れているのは、実はアメリカのような外国ではなく、自国民の反乱だと思う。ソ連や東ドイツは国民自らの手で壊されたはずだ。独裁者は間違いなくそのような状況を恐れている。

 権威主義国家において国民をまとめあげるために必要なのは、自国を正当化するための強烈にわかりやすいシナリオであるはずだ。例えば北朝鮮を創設した金日成は伝説的な超人として語られるが、このような独裁者の神格化もその一環であろう。

 このシナリオ作りにおいて、「かつての栄光を取り戻す」的な戦略は非常に有効でわかりやすいはずだ。隣国に我々のかつての栄光を奪った者がいる。そいつらを倒せば輝かしい未来が約束される。そういうシナリオがあるうちは国民の不満が自国政権に集中しにくく、特に兵役などの国民の大きな軍事負担が正当化されやすい。

 これらの背景を考えると、日本はあまりにも戦争の対象としてコスパが悪いはずだ。過去に大帝国の一部でなかったことが本当に大きい。まあ満州国の恨みとかは正直無くは無いと思うが、蒋介石への執着に比べるとほぼ無いに等しいレベルではないかと思う。

 なお、第二次大戦以前は事情が異なると思う。なぜなら侵略戦争に勝利すれば領土拡大という明確な報酬があったからだろう。だから、変な言い方ではあるが、どこの国とでも戦争をする意味があった。しかし現代では戦争したところで領土拡大が国際的に認められるわけではないから、その点が大きく異なると言える。その結果、現代で戦争をする意味は、権威主義国家における自国民の統率か、あるいは核開発関係(イランなど)のどちらかに分類できると考えている。

 日本はいずれのモチベーションでもターゲットにする意味が無いはずだ。また、日本は核ミサイルこそ保有していないが原子力、ロケット、戦闘機、艦船などの要素技術は持っているため、作ろうと思えば組み立てるだけで良いという状況に近く、あまりにもリスクとリターンが釣り合っていないと思う。

 まあしかし、イラン戦争で錯乱したイラン軍がドバイを攻撃したようであるが、この程度の飛び火はあり得るかもしれない。ドバイも日本と同様に特に戦争をけしかける意味が無い国家だと思っているが、無差別的な中東全域のドローン爆撃の被害にあった。これぐらいのリスクは覚悟すべきであると思うが、本土決戦のような深刻な事態は想像できない。

 どちらかと言うと、金銭的な負担を危惧している。米国は沖縄の在留米軍などのコストを削減し、日本の軍事費負担を高める方向に舵を切る可能性は高いと思う。これは日本政府、そして日本人にとってきっと大きな負担になるだろう。

 少し投資関係の話題。日本の防衛産業自体は、規模は伸びざるを得ないと思う。しかし最大手の三菱重工でも非軍事部門の売り上げが大半だったり、多くの会社に部品が散在していたりして、個別株投資の材料として考えるのは見た目以上に難しいように感じる。また、防衛産業のように国家が金額を固定するビジネスは、なかなか株式投資で勝ちづらいかも?と正直思う。防衛産業だと何となく投資したくなるかもしれないが、例えば介護業はどうか?高齢者は増えていくはずであるが、投資妙味はありそうか?投資の難しいところである。

社会保障


「日本円の価値低下による強引な解決」

 さて、日本最大の問題とも言われる社会保障。これはどのような結末を迎えるのか?実はもう傾向は明らかになりつつあると思う。そもそも、ここ数年で外貨建てのグローバル物価が上がり、さらに日本円に対する外貨の価値は上がった(円安)。つまり物価高と円安のダブルパンチだ。両方とも1.5~2倍ぐらいの効果があったと思うから、グローバル物価に対して実に3倍近く日本円の価値が下がったといえるはずだ。

 ところで、年金の支給額は上がっただろうか?ごくわずかに上がったようだが、年1.9%であり、グローバル物価の方が上がっているだろう。一方で、消費税や法人税の税収は大きく上がっているのだ(過去10年で1.5倍)。物価が上がれば消費税税収が上がるのは当たり前だろう。おわかりいただけただろうか?日本円の希薄化を行えば、選挙で具体的に提案しなくても年金の支給問題が勝手に解決されるはずだ。

 年金だけではない。日本政府がやってきたことは雑に言うとこんな感じだろう。バブル崩壊後からずっと苦しくて、そこにリーマンショックが来たのでアメリカにならってアベノミクスを始めた。日本政府は国債発行を通じて、主に日銀から金を大量に借りたのだ。しかしやめられなくなり、今や借金の累計額は1300兆円に達する。

 そうすると、世界の投資家の間で日本は本気で政府の借金を返すつもりがあるのか?円の希薄化によって1300兆円の価値を吹き飛ばしてチャラにするつもりではないのか?という疑義が生じ始めるだろう。そうして日本円と日本国債が持ちたくない資産とみなされて、余計価値が下がるという負のスパイラルに突入する。過去数年はこのスパイラルに突入し始めた段階と言えそうだ。

 つまり、日本政府がやってきたことはこうだ。日本円の価値が高かった時代に1300兆円の借金を作った。そして国債の返還期限が迫ってきた現代において、日本円全体の価値を下げた。価値が高かったものを借りて、価値を下げて返す。なんと都合のいい話だろうか?実はこれはどの国家でも可能な抜け道であり、歴史上何度も繰り返されてきた。(特に戦争の時

 さらに日本政府と財務省は、この結果を念願のプライマリーバランス(PB)黒字化と言い張っているのである。確かにPBは黒字化した。しかしそれは通貨価値を低下させて消費税などの税収を数字上で上げて、年金などの公的サービス支出を実質的に物価に対して削減し、さらに日本政府を信じて日本円や国債を所有していた投資家を損させることで行われたのだ。それを成果のように言い張る?民間企業なら、おそらくクビだろう。

 このプロセスにおける被害者は誰か?それは、日本円と日本政府を信用した全ての人間だろう。日本円の所有者は当然損をしたはずだ。年金受給者は、約束通りの金額の年金をもらっているので気づいてないかもしれないが、物価が上がったので実は損をしていると言える。他には、日本円や日本国債を所有していた海外の投資家も損をしたはずだ。

 注目すべきは、海外の投資家は「日本は困ったらまた同じことをやるだろう」と記憶したことだろう。これが信用や信認が低下したということだと思う。通貨切り下げによる解決は投資家から見れば最悪であるはずだ。その国を信じて国債などに投資した結果、価値が下がったものが返却されるのだから。こうして日本円と日本国債は二度と持ちたくない資産とみなされ、トルコリラやアルゼンチンペソと同じレジームに突入していくのかもしれない。

 つまり我々日本人が行ってきたことは、大規模な社会保障を「国民が自覚しにくい形で」衰退させるためだけに、海外の投資家からの信用を犠牲にしたということなのだろう。信用を犠牲に衰退を阻止できるならまだわかるが、結局物価に対して年金は上げられないので、何も解決できてないと言える。はじめから社会保障の縮小政策をやっていれば信用は失われなかったはずだ。しかし、それを民意で選ぶことはできなかったのだろう。

 よく若者が年金ってもらえないの?と疑問に思っている場面を目にする。その疑問に対する最もありえそうな個人的な回答はこうだ。「もらえるけど、もらう頃には日本円の価値が大幅に下がっている。」まあつまり、もらえないのと一緒だ。日本政府を信用した結末なのだろう。

人口


「少子高齢化の阻止は不可能」

 そもそも親世代の人口が明確に減っているので、少子高齢化はずっと続くと思ったほうがよいだろう。なお、近年は日本だけでなく、欧米、アジア、アフリカなど新興国の世界中の全域で少子化が進んでいる。つまり、日本特有の問題も少なからず重なってはいるが、本質的には人類の文明史のサイクルであると考えたほうが良さそうだ。

 約250年前にイギリスで産業革命がはじまり、化石燃料による工業化や賃金労働という資本体系が導入された。産業革命をきっかけに長年横ばいであったGDPが急速に伸び始めたと考えられており、そのGDPの成長期が現代まで続く。そして同時に人口も増え続けたのだ。

 ところが、バブル崩壊後の日本はGDPが横ばいになり、人口も増えなくなってしまった。そして40年後の現代では、世界中で似たような状況が起きているのだろう。日本の場合は高度経済成長期の後の停滞期と考えられるはずだ。そして現代の世界では、もっと長いサイクルでの、産業革命後の停滞期が到来しているのだろう。

 筆者の意見では、少子高齢化を阻止しようとするのは馬鹿げている。経済成長から停滞への転換期で、少子高齢化するのは当たり前だと思うからである。暮らしを良くしたいのであれば、少子高齢化を前提としていかに良い社会を作るかを議論した方が良いだろう。また、ナショナリズムも少子高齢化と相性が良く激化が進むと思われる。なぜならナショナリズムは高齢者が興味を持てる数少ない話題の一つだと思うからである。

「賢い衰退」

 衰退を前提とする、つまり言い換えると「賢い衰退」とは何かを考えるということだろう。うまくいった例としては、例えばGPIF(日本年金運用機構)が挙げられる。GPIFは1986年に設立され、40年間で200兆円の運用益を獲得し、国民の年金に還元されている。つまり高度経済成長期後のリッチだった時期に金融業へとシフトし、継続的に外貨を獲得することに成功してきたのだ。

 日本が絶好調で金持ちだった時期にもっとGPIFのような金融シフト政策をやっておけば、我々の暮らしと未来は、はるかに明るいものになっていたはずである。このような金融シフトに比較的成功した例としてはイギリスが挙げられる。現在のイギリスはGDPの約9%が金融・保険業(日本は4%)であり、1999年に日本のNISAのお手本になったISAを開始するなど、積極的に金融シフトを行ってきた国家と言える。

 その実態は、産業革命以後に大英帝国は覇権を取ったが、戦後アメリカへの覇権シフトに伴って、金融業へとシフトを進めたということだろう。つまり一度リッチになったが、その地位を維持できないのを早期に察して、金貸しで長く稼ぐ方針に舵を切ったということだと言える。

 日本は、最近NISAとかが始まって、ようやくそういった議論がされるようになってきたようだ。しかし、すでに起きてしまった円の希薄化の悪影響を回避できたのは、早期から米国株などに手を出していた一部の株オタクだけだった。それどころか、投資はギャンブルで、会社に忠誠に働くべきという価値観が、バブル崩壊後も維持されたはずだ。

 産業革命後や高度経済成長期では、労働者が激務で働けば経済全体が成長し、給料が上がったのだろう。しかし残念ながら停滞期ではそのような報酬は提供できないはずだ。にも関わらず、停滞期において金融シフトのような「賢い衰退」政策ではなく、労働による経済成長を前提とした無意味な政策が選好されがちである。その理由は、筆者の考えでは既得権益層の保身のためである。

 もう頑張っても産業は成長しない、だから金融業で食っていきます。そうすると、既存産業の経営者や被雇用者は切り捨てられることになるはずだ。つまり国民全体では得をするが、これまで偉かった人々が損をするということだろう。イギリスは、比較的、全体のパイのために既得権益層を切り捨てることに長けていたのだと思う。

 世界的な少子高齢化という人口動態は、産業革命後に長く続いた成長期の終わりを示す明確なシグナルだと考える。プラグマティックな観点では、この停滞を阻止できるものと思うべきではない。しかしながらそれは国民感情に反しており、また既得権益層が切り捨てられるのを嫌って、「経済を再び偉大に」的な無謀なキャンペーンが恣意的に繰り返されると予想する。

 氷河期世代と呼ばれる人達は経済成長期に形成された仕事中毒的な理不尽な労働カルチャーを強要されたが、いくら働いても給料は上がらず、それどころか多くの人が派遣切りなどで切り捨てられたはずだ。さらに、必死に納めてきた年金は、もらう頃には日本円の価値が大きく下がってしまったのだ。これは停滞期において既得権益層の延命を重視してしまった最もわかりやすい例であり、我々は多くの教訓をここから学ぶべきだと思う。

全体像と提案


 全体像を要約すると、衰退は避けられず、そしてこれは日本に限らないはずだ。日本の経済は衰退するが世界平均ぐらいで止まる可能性は高い。政治的にはポピュリズムとナショナリズムに傾倒し、「再び日本を偉大に」的なスローガンが流行し、無意味な政策が乱発されるだろう。そしてこれは社会構造のフェーズの問題であり、起こるべくして起こると考える。物価に対する日本円の価値低下は今後も続くと予想される。その実態は、国民が自覚しにくい形で大きな社会保障負担などの政府支出を削減するためだけに、海外の投資家からの信用が失われることであると予想する。また、軍事的な緊張感は上昇すると思うが大惨事にはならなさそうだと思う。

 個人ができることは、停滞期に必ず出現する、既得権益層の延命のために利用されることを最大限に回避することだろう。(報酬無しで働くのが好きなら、好きにすれば良いが)具体的には、世界中の株式、貴金属、仮想通貨、不動産などの有形資産に幅広く分散投資することが賢明かもしれない。(注意:これは個人の感想であって、投資助言ではありません。)また、通貨と債券は好きではない。経済の停滞期において特定の国家は必ずしも信用に足る存在であるとは限らず、実際に日本政府がやってきたように通貨と国債の価値低下が強行され、信用した人間が損をする可能性は高いと思っている。

 なお、筆者が好きな投資ポートフォリオについては、別のnote記事で公表している。

 ちなみに筆者は選挙政党を選ぶにあたって、NISAやGPIF、金融所得課税のような運用関係の政策以外はほぼ興味が無い。それは、他の政策のほぼ全てが、経済停滞期に出現する「ポピュリズム的な無意味政策」や「既得権益層の維持」に分類されると判定しているからである。支持したところで自分が損するばかりで、ナンセンスなのだ。大衆も政治家も何もしないほうがマシで、GPIFのように高度経済成長期の遺産をただただ運用して分配していた方が良い結末になっていたと考える。しかし繰り返しになるが、そのような合理的な方針が民主的に決定されることは今後もあり得ないと思う。

 また、この記事ではAIによる革命の影響は考慮していない。AIの要素抜きで、マクロ経済的な日本の分析をしたということである。実際はこれらの従来のマクロ経済分析に加えてAIの影響を総合的に判断した考察が重要であると考えるし、それを日々実践している。

 ネガティブだと思うかもしれないが、これが実際にアラサーで年1000万円の投資収益を達成した筆者の思考である。そしてこの記事の読者は数年後に、誰が最も真実に近い予想をしていたかを思い知ることになるだろう。

 助かりたければ、つまり「賢く衰退」したければ筆者のnoteを熟読してはどうだろうか?また、知人にも積極的に広めてはどうだろうか?自分は社会の停滞期で生存する方法論を発信している、数少ないクリエイターだと自負している。

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免責事項
この記事は個人的な意見と分析の公開であり、断定的事実や投資助言は一切記載されていません。
この記事は経済および時事問題の解説を目的としており、特定の商品の購入や売却を推奨および助言するものではありません。
この記事は個人的な推測を公表しているだけであり、特定の商品の価格を保証する意図は一切ありません。
この記事を参考にして行った投資、運用、トレーディングなどの取引の結果について著者は責任を取ることは一切できません。

 

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