第1回:介護施設のSNS「何から始める?」|Instagram・Facebook・Xを「目的」から考える
「介護施設でもSNSを始めよう」
そうなったとき、最初に出てきやすいのが、
Instagramがいい? Facebook? それともX?
という話ではないでしょうか。
それぞれに特徴はありますが、SNSは「どの媒体が一番いいか」から考えるより、誰に、何を届けたいのかから考えたほうが選びやすくなります。
特に介護施設の場合、「届けたい相手」が一人ではありません。
今回はInstagram・Facebook・Xの特徴を比べながら、介護施設がSNSを始めるときの考え方を整理してみます。
「一番おすすめのSNS」は、たぶん決められない
SNSを比較すると、
Instagramは写真や動画に強い
Facebookは既存のつながりを活かしやすい
Xは短い情報を発信しやすい
といった特徴が見えてきます。
もちろん、こうした違いを知ることは大切です。
ただ、
「介護施設ならInstagramをやればいい」
と単純には決めにくいと思っています。
なぜなら、施設によってSNSを使う目的が違うからです。
入居を検討するご家族に施設の日常を知ってもらいたいのか。
採用候補者に職場の雰囲気を伝えたいのか。
地域の方や関係者との接点を増やしたいのか。
目的が違えば、伝える内容も、使いやすい媒体も変わります。
だから最初に考えたいのは、
「どのSNSを使うか」より、「誰と、どんな接点をつくりたいか」
です。
介護施設のSNSは、「誰に届けるか」が一人ではない
ここは、一般的な商品やサービスのSNS運用と、介護施設で少し事情が違うところです。
たとえば入居に関する情報だけを考えても、情報を見る可能性があるのはご本人だけではありません。
ご家族が調べることもあれば、ケアマネジャーや地域の関係者が施設を知るきっかけになることもあります。
採用になれば、また相手は変わります。
求職者は、
どんな職員が働いているのか
職場の雰囲気はどうなのか
どんな考え方で介護をしているのか
といった情報を知りたいかもしれません。
つまり、「施設のSNS」と一言でいっても、
入居・採用・地域との関係づくりでは、届けたい相手が違います。
この整理をしないままSNSを始めると、
「今日はイベントの写真」
「次は求人のお知らせ」
「今度は空室情報」
と、発信する内容がばらばらになりやすくなります。
投稿一つひとつが間違っているわけではありません。
ただ、誰に向けたアカウントなのかが見えにくくなる可能性があります。
「誰に」だけでなく、「何を知ってほしいか」まで考える
届けたい相手が決まったら、もう一段考えてみます。
その人に、施設の何を知ってほしいのか。
たとえば、ご家族に向けた発信でも、すべての情報をSNSで伝える必要はありません。
日々の暮らしやスタッフの様子、行事の雰囲気などは、写真や短い動画のほうが伝わりやすいことがあります。
一方で、
費用
入居条件
医療・看護体制
サービス内容
などは、SNSの投稿だけでは十分に説明しにくい情報です。
こうした内容は、公式サイトで詳しく確認してもらったほうが分かりやすい場合もあります。
また、SNSだから何を載せてもよいわけではありません。
施設のサービスや料金などの表示内容はもちろん、入居者や職員の写真を掲載する場合にも、広告表示のルールや本人同意など、事前に確認しておきたい点があります。
介護施設のWeb発信で確認しておきたいルールについては、こちらの記事で整理しています。
ここで大切なのは、
SNSに全部を背負わせないこと。
SNSは、施設のすべてを説明する場所ではなく、
「施設を知ってもらう入口」
という役割でも十分です。
SNSとホームページは、別々に考えなくてもいい
たとえば、こんな流れです。
SNSで施設の日常を知る
↓
どんな施設だろうと興味を持つ
↓
プロフィールから公式サイトを見る
↓
料金や受け入れ条件を確認する
↓
見学や問い合わせを検討する
SNSだけを見て、その場ですぐ入居や応募を決めるとは限りません。
むしろ介護施設の場合は、複数の情報を確認しながら検討するケースも多いでしょう。
だから、
「SNSから問い合わせが来なかったから意味がない」
とすぐに判断するのではなく、
SNSが検討のどの段階を担っているのか
を見ることも大切です。
SNS、公式サイト、採用ページ、問い合わせ。
それぞれを別々の施策として見るのではなく、一つの情報導線として考える。
これは、介護施設のWeb集客を考えるうえでも大切な視点です。
Instagram・Facebook・X、それぞれ何が違う?
ここまで整理したうえで、それぞれの媒体を見てみます。
写真や動画を中心に伝えやすい媒体です。
介護施設なら、
日々の暮らし
行事
食事
スタッフ
施設の雰囲気
など、文章だけでは伝えにくい空気感を見せる役割と相性があります。
施設とすでにつながりのある人や、地域との関係づくりに使いやすい場面があります。
地域行事や施設の取り組みなど、活動を共有する場所として考えることもできます。
X
短い文章で情報を発信しやすく、新しい人に施設や記事を知ってもらう入口として使う方法があります。
一方で、施設の日常を写真で丁寧に伝えたい場合などは、別の媒体のほうが向いていることもあります。
大事なのは、
どの媒体が一番優れているかではありません。
施設が届けたい相手と情報に合っているかです。
介護施設なら、「4つの問い」で考えてみる
SNSを選ぶときは、次の4つに分けると整理しやすくなります。
1.誰に届けたい?
ご家族、求職者、地域の方、関係者。
まず相手を考えます。
2.何を伝えたい?
日常、職員、採用情報、施設の考え方、地域活動。
相手に知ってほしいことを整理します。
3.その情報を、どう伝えたい?
写真や動画で見せたいのか。
短い文章で伝えるのか。
詳しい説明が必要なのか。
ここで媒体との相性が見えてきます。
4.その先をどこにつなぐ?
公式サイトなのか、採用ページなのか、見学や問い合わせなのか。
SNSを見た後の行動まで考えておきます。
つまり、
誰に × 何を × どう伝える × どこにつなぐ
まで考えると、媒体選びはかなり具体的になります。
「続けられるか」も、SNS選びの条件
もうひとつ、介護施設では忘れたくない視点があります。
それは、
実際に運用できるか。
ということです。
たとえばInstagramを運用するなら、
写真を撮る人はいるでしょうか。
投稿を作る時間は取れるでしょうか。
施設内で内容を確認するルールはあるでしょうか。
入居者や職員の写真を掲載するときのルールや配慮も必要です。
SNSとのマーケティング上の相性が良くても、現場の負担が大きすぎれば続きません。
「向いている媒体」と「続けられる媒体」は、必ずしも同じではない。
ここまで含めて媒体を選ぶことが、介護施設では特に大切だと思います。
最初から、全部やらなくていい
Instagramも、Facebookも、Xも。
全部始める必要はありません。
むしろ広報やSNSを兼任している施設では、最初から媒体を増やしすぎると、それぞれの更新が負担になってしまいます。
たとえば、
「まずは施設の日常を、ご家族や求職者に知ってもらいたい」
と目的を一つ決める。
その目的に合うSNSを一つ選び、まず運用してみる。
必要になったら、あとから別の媒体を加える。
それくらいからでも十分です。
SNSが決まった。でも、まだ「何を投稿する?」ではない
Instagramを始めよう。
ここまで決まると、次に考えたくなるのが、
「じゃあ、何を投稿しよう?」
だと思います。
でも、その前にもう少し整理しておきたいことがあります。
何のために運用するのか。
誰に届けるのか。
何を成果として見るのか。
どんなテーマを継続して発信するのか。
ここを最初に決めておくと、その後のSNS運用はかなり考えやすくなります。
次回は、
SNS運用を「何を投稿しよう」から始めないための、アカウント設計
について考えてみます。
SNSを始めること自体が目的ではありません。
必要としている誰かに、施設のことを知ってもらう。
そのための接点の一つがSNSです。
まずは、
「誰に、何を知ってほしいだろう?」
そこから考えてみると、自分たちに合ったSNSも少し見えやすくなるのではないでしょうか。
介護施設のSNSを、最初から整理したい方へ
このシリーズでは、介護施設のSNS運用を順番に考えてきました。
第1回|選ぶ
この記事
第2回|設計する
介護施設のSNSは、「何を投稿しよう」から始めない
目的・ターゲット・KPIから考えるアカウント設計
第3回|回す
介護施設のSNSは、毎回ゼロから考えない
投稿を続けるための「型」と仕組みづくり
第4回|つくる
介護施設の写真は「うまく撮る」より、「何を伝えるか」で変わる
第5回| 振り返る
介護施設のSNS「フォロワーが増えたか」だけで判断しない
数字と現場の反応から、発信を振り返る
選ぶ → 設計する → 回す → つくる → 振り返る。
全部を一度に整える必要はありません。
今のSNS運用で気になっているところから、必要な記事を参考にしてもらえればと思います。
