遁走詩 望遠。
遠くの方で音が鳴る。
ごおんごおんと、地鳴りのように。
音はここまで届くのに、音の場所は分からない。
ある日、小さな鳥が泣いていた。
まるで何かをさけぶよう。
音はここまで届くのに、音はここまで届くのに。
その日、私は聞いてみた。
遠くの地鳴りと小鳥の声に、何の違いがあるのだろうか。
◇
遠くの地鳴りと小鳥の声に、何の違いがあるのだろうか。
私の胸が鳴いている。
何かの音に呼応するかのように。
何の音かも分からずに、私の胸が鳴いている。
鳴いている記憶を辿ってみれば、 遠い遠い古代の景色。
風に揺れる穂を触り、頭上に広がる鳥の声。
私の胸が鳴いていた。
いつかを想い、鳴いていた。
◇
いつかを想い、鳴いていた。
昔のこととそむいても
鳴くものは私の中に
聴こえるものはすぐそばに
遠いと思っていたけれど
私がそこまで歩いたか
我にかえれば白昼夢
けれどたしかな金の鳥
飛んだら飛んだだけ
その羽を落としながら
金の花咲いた
金の花鳴いた
今回、湖畔さん、やまびよりさんのお二方と遁走詩を編んでみた。
全三回の予定で、こちらの「望遠。」はその第一作となる。
湖畔さん、やまびよりさんは共に素晴らしい詩を普段から書かれている。
そのお二人の世界観を共有していただきながら、遁走していく感じがとても楽しいし、光栄だ。
せっかくなので、ご紹介がてら、お二人のnoteと私のお気に入りの記事をいくつかピックアップさせていただくのでぜひご覧ください。
🔳湖畔さん
・お気に入りの作品
まず、湖畔さんといえばこちらの「庭の底で」は外せない。
noteの今日の注目記事にも選出された。
湖畔さんはたくさんの詩を書かれているが、私が特に好きなのはこちらの「空間」だ。湖畔さんの持ち味である〝境界〟を主題にした不思議な世界、ぜひ読んでみてください。
最後に、「ご縁を想う」シリーズも紹介したい。
女性として、母として生きてきたなかで得た〝ご縁〟についてを綴ったエッセイなのだが、読んでいるうちに、自分の心にある〝どこかに置いてきた何か〟をそっと撫でられるような、そんな感覚に陥る。
それは時に痛かったり、苦しかったりするのだが、読んだあとには不思議と心が少しだけスッとする。何も解決はしないし、何も片付かない。目の前の現実は変わらない。でも、本当に大切なことは心がずっと憶えている。そんなことを思い出させてくれる作品なので、ぜひ読んでみてください。
🔳やまびよりさん
・お気に入りの作品
やまびよりさんは、掌編やエッセイ、写真、詩や楽曲など幅広く創作されている。
今日は日常の景色が時に美しく見え、そして時にドロリと背筋を撫でるような、そんな作品をいくつか紹介したい。
一つ目はこちらの詩「小さな心」だ。
色々悩んだが、やまびよりさんのプロフィール欄にもある「嬉しい日も悲しい日も、味気ない日も満たされない日もきっと愛しい日々になる。 心の芯に灯をともそう。 今日も良い日に、山日和。」という言葉をすごく如実に表していると思う。
二つ目と三つ目はこちらの「金魚すくい」と「交換日記」だ。
これらはやまびよりさんの創作の幅をお伝えするうえで絶対に外せない作品だと思う。やまびよりさんが書かれる短編【おはなし】はひとことで言うと、メスだ。
言葉の紡ぎ方や筆致があまりにも美しい。何度も砥石で執拗に研がれたメスは一切の抵抗もなく皮膚を破り、心臓を裂いてくる。
切られた瞬間は分からない。だが、痛みは遅れてやってくる。読み進めるにつれて、どんどん心が苦しくなる。だが、目は次の文字を捉えて、決して離さない。それは露悪ではない、あまりにもピュアな美しさ。
手加減の無い文章とはこういうものだと私に教えてくれた作品だ。
少し長いが、ぜひ読んでいただきたい。
さて、長くなってしまったが、このあと湖畔さん、やまびよりさんの記事がアップされ、やまびよりさんの記事にて誰が書いたか種明かしがされる予定だ。ぜひそちらも楽しみにチェックしてみてください。
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湖畔さんの記事はこちらから!
湖畔さんは「世界の鼓動」と銘をつけました。
やまびよりさんの記事はこちらから!
素敵なあとがきを是非読んでください。
(こちらは詠み手のネタバレあります)
