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プロンプトは「著作物」だが、出力されたAI作品には「著作権」がない? 知っておきたい知財の基本原則

私の記事と言えば「どうAIと付き合っていくか」が日常風景でございますので、当然ながら避けて通れないAIと創作、そして著作権のお話をこれから数回にわたってざっくりいたしますね。
……っていうか、ここまでの記事はその序章に過ぎないのです。これが一連のクライマックス(終わりという訳ではなく)と言えばそうなので、しょっぱちからかなり長いですがお付き合いください。


どんなものが著作権の対象?

この記事でいくつか著作権の「対象外」になるものについて書きました。
じゃあ対象になるのは何なのさ? と言いますと、ざっくり例示されるものとして以下の9点があります。

 1.言語:小説、詩作、講演など
 2.音楽:メロディー。歌詞も含む
 3.舞踏や無言劇:ダンスやパントマイム
 4.美術:絵画、版画、彫刻、工芸品、漫画、イラスト
 5.建築:芸術性を備えるもの限定
 6.図形:地図、図面、模型
 7.映画:映像。ゲーム動画
 8.写真:使用機材は問わない
 9.プログラム ← 今回はここのお話をしましょう。

「プログラムの著作権」って何? 

プログラムの場合、著作権法第10条第3項には、その著作物として

「保護されない範囲」

が明確に書かれています。
具体的には

「プログラムを作るための言語」
「プロトコル(規約)」
「アルゴリズム(解法)」

の3つです。これらを使って組まれ、人の手でデバッグとブラッシュアップを加えて、最終的に出来上がった「プログラム」自体は表現物として著作権の対象になるらしいです。

これはなぜかというと、著作権法は「表現」を守るものであって、その背景にある「アイデア」や「ルール」そのものは守らない、という考え方(アイデア・表現二分論、つまり「形になったものは守るけどアイデアは守らない」という原則)に基づいているからです。
上記の記事でも「ふわっとしたコンセプトセンテンス」程度では著作権対象外と書いた根拠です。

具体例をだしましょう。
カレーのレシピなんかですと「じゃがいもを切って炒めて煮る」という手順(アイデア)は誰でも使っていい。
でも、その手順を書いた「あなたのレシピ本の文章」は、あなたの表現として守られる。
こんな感じのイメージです。

AIへのプロンプトはどこに分類される?

では「AIプロンプトは?」ってなりません?
プログラムなの? 
プロトコルなの? 
アルゴリズムなの? 
カタカナにしちゃうと紛らわしいですね。

結論から言うと、現在(2026年6月現在)の法解釈では、プロンプトはプログラムにもプロトコルにもアルゴリズムにも直接は分類されない、というのが一般的な見方になっているようです。何故か。

プログラムとは「コンピュータに対する指令の組合せ」のことで、OSやCPUが直接実行するコードのことです。
しかしプロンプトは、AIというプログラムで作られたアプリに対して日本語や英語で書く「お願い文」なので、コンピュータが直接実行する命令とはちょっと違います。
規約(プロトコル)でもなく、解法(アルゴリズム)でもない。

じゃあ何かというと、プロンプトが法的に保護されるとしたら「言語の著作物」としてだそうです。割とここが勘違いされ気味。
Claude Codeとかでばんばんプログラムを「作っちゃう」し、生成AIで絵も文章も「作っちゃう」から、製作=製造業ルールって思いがち。
でも小説や論文と同じカテゴリー、ということなんですよね。言語の著作物って。
それで小説を書くということは、言語著作物で言語著作物を書いてるってことになるわけで、ちょっと面白い。

ただし、ここに条件があります。「創作性があるかどうか」です。

例えばこの記事のヘッダーは私がCopilotに対して「POMERAで執筆してるポメラニアンを描いて」と指示してできました。この程度の短い指示には、残念ながら著作権は発生しません。検索ボックスの質問に著作権がつかないのと同じ扱いなのです。
一方で、複雑な設定を持つロールプレイ用プロンプトや、精緻に作り込まれた長文の指示書であれば、創作性が認められて保護される可能性があります。
ってことは、独自性の高い指示書(プロンプト)をコピペしてそのまま使う、というのは、本当は著作権法上アウトって話になるわけですね。厳密に言うと。
AIプロンプターさんたちは心が広いので「みてみて~こんなプロンプトできた~使ってみて~」って公表されてますからね。原著作者許諾が出てるなら使うのはいいんじゃないですかね、知らんけど。コピーとか改変が許されているかどうかはそのプロンプターさんに聞いてみてください。侵害は親告罪なので。
ただ明らかに原著作者が許さない、書籍になって売られてるなどの有料コンテンツの場合は基本的にOUTということになります。書籍なんかは特に作者がOK出そうが出すまいが、です。出版権の問題があるので。
言語の著作物ですから、小説や論文の扱いを考えれば、大体していいこと悪いことはわかると思います。
ということは原則、独自性の高いプロンプトはコピペはしたらあかんという話にもなります。当然無断改編とかもしたら原則はダメでしょう。

AI生成物そのものには著作権がある?

さらに重要なのが「そのプロンプトを使ってAIが作ったもの自体に著作権はあるの?」という問いです。
SNSのあちこちで毎回キャンプファイヤーを起こす話題ですね。

日本の法律では、著作権の対象物とは「(人間が)思想または感情を創作的に表現したもの」と定義されています(アメリカやイギリスなどでは考え方がもうちょっと実利的なようですが)。

AIは思想も感情も持たない(要は筆やペットの猫や猿と同じ道具扱い)ため、AIが自律的に生成したものは著作物には該当しない、というのが現在の公式見解のようです。
ってことは、現代にロボットがいて、それが小説を書いたとしても、著作権の対象にはならない、ということになります。切ない。
それを判例として示したのは「ナルト事件」です。こちらの記事に書いてますね。

だからおさるのジョージは絵も工作も上手ですがそれだけではどれも著作権はつかず、黄色の帽子のおじさんが結果物の作成になんらか関与して初めて著作権がつくということになるのです。
あの町に住んでる人はみんな善人なので気にしてませんが。

この論理に従うなら、
プロンプト=創造性がある人間が作った言語著作物
それが全出力したプログラム、文章や絵=創造性を持たない道具が作りだしたもの
となり、前者には著作権が付きますが後者には付きません。
それが現状の取り扱い、ということになります。

私はこれを知ってから、noteで自分がアップロードした画像に対して、ちょっとモンにょりしております。
ポン出しの出力結果は所詮パブリックコンテンツです。
私のものではないけど、じゃあ誰が権利を主張するのか、というとその人物もいない(ただし原著作の判明してる既存の作品に酷似したものが出力された場合は破棄しております。理由はまたの機会に)。
だから割と気楽にAIで表紙とか出力するようになりましたし、noteのアップロードした画像についても、みんなが好きに使えばいいんじゃないかな、とおもってたんですわ。
でもみんなのフォトギャラリーに追加するには「この画像の著作権は私自身に帰属します」って宣言しないといけないんですよね。
できません。
だって、パブリックドメインだもん、AI生成画像って。
さらに言うとnoteではトラブルは「自己責任」が原則と規約上なってます。
なおさらちょっと著作権の主張はできない、かな、と。

各プラットフォームが口酸っぱくしてコンテスト作品に「人間が主として創作しAIを道具として使う」ことを推奨するのか

AIポン出しで作り上げた作品には著作権がつかないので、出版後、好きなように海賊版利用されても法的に出版社の利益保護のための裁判を戦いにくいからですかね。知らんけど。
AI学習元の著作権が不明瞭というのが嫌悪感の根底にあるのは100%わかっていても、現状の法で戦うにはなかなか難しい。むしろこっちの要素の方がはっきりしているので、それを理由に制限をかけようとしたんじゃないかな、と個人的には思ってます。
……AIポン出し、何されても文句言えないって論調が通ってしまう弱点を持つのが現状なんですよね。

でもAIポン出しはそんな感じですが実は「人間がAIを道具として使い、創作的に深く関与した場合」は別という判例が日本にはあるんですね。

こちらが私のAIとの付き合い方ですが、これは「メインが私。道具としてのAI」なので現行ルールですと著作権はつく可能性があります(コンテストに応募できるかどうかはまた別。いいです。そのラインは狙ってないので)。一般的に知られているAIとの程よい付き合い方と言われる手法ですね。
ですが実は何度もプロンプトを修正して試行錯誤し、さらにできあがった生成物を人間がブラッシュアップ等の手を加えて作り上げた場合には、その作品に対して人間が著作者として認められる可能性があるんですね(同業者が作家のプライドとしてその手法を認めるかどうかは別として)。
要は「道具(責任を果たさないもの)が生み出したものに権利者は居ない」という扱いが著作権における一般的な原則なわけです(これは「基準となる指標は労力か創造性か」の違いはあるものの、うっすらと「濡れ手に粟は認めない」という感じで共有されている世界的な考え方みたいです)。
「ガチャを引くように使っただけ」ではプロンプトすら保護されませんが、プロンプトや生成物に「人間の意図が強く反映されている」なら保護される場合もあるみたいです。
この境界線は、まだ裁判例が少なく、今まさに議論が続いているところだそうです。

AIと著作権の話は、正直まだ「答えが出ていない」部分がたくさんあります。
ただ、大事なポイントは「人間が作り出した創作性がある第一次創作物は著作権の対象として守られる」し、そうでなくてはならないという一点です。
プロンプトも、丁寧に作り込めば立派な言語の著作物になりえます(だからプロンプター絵描きが絵師と言われにくいんかな、と。法的定義では「絵画の著作権者」じゃないしなあ)。
実務的な権利主張が必要な場面では、知的財産専門の弁護士や弁理士に確認することをおすすめしますね。

ただAIの分野はものすごい勢いで変化していくので、これからどう変わっていくのか、注目していくべきことだと思います。

※本記事は知的財産検定3級の学習記録をもとに、著作権法の条文と各社の調査報告書を参照してまとめたものです。
法的な判断・アドバイスを提供するものではありません。

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