『ファントム・ブラボー:SBU第1小隊』第6話:『最後のピース — ホーム・カミング —』
『ファントム・ブラボー:SBU第1小隊』
第6話:『最後のピース — ホーム・カミング —』
■ 『ファントム・ブラボー』部隊編成(SBU第1小隊)
基本は【6名1個班(エレメント)】で行動。作戦時は3名ずつの「アルファ班」「ブラボー班」に分かれて互いの背中を預け合います。
【前線戦闘要員:5名】
真壁 一等海尉(まかべ)/ 小隊長(チームリーダー)役割:前線指揮官(アルファ班リーダー)特徴:圧倒的なカリスマと戦闘技術を持つ。作戦の全責任を背負う。私生活では一女の父親だが、戦場のトラウマ(PTSD)を隠し持っている。
東 二等海曹(あずま)/ 副隊長 兼 狙撃手(スナイパー)役割:副指揮官(ブラボー班リーダー)/ 長距離狙撃・戦術予測特徴:真壁の長年の相棒であり、チームの精神的支柱。暴走しがちな真壁を冷静に止めるストッパー。
阿部 三等海曹(あべ)/ 電子戦・ポイントマン役割:先頭偵察(ポイントマン)/ ハッキング・爆発物処理(EOD)特徴:チーム最年少の天才肌。メカに強く、罠の解除などを。実戦経験が浅く、先輩たちに揉まれながら成長中。
西川 二等海曹(にしかわ)/ 重火器・ブリーチャー役割:機関銃運用/ 障害物・扉の爆破突破(ブリーチャー)特徴:チームイチのタフガイ。近接戦闘(CQC)の鬼。普段は陽気なムードメーカーだが、戦場では最も冷徹になる。
前田 三等海曹(まえだ)/ 衛生兵(メディック)役割:戦闘衛生兵/ 負傷者の応急処置・人質の健康管理特徴:どんなパニック状態でも手がブレない鉄のメンタルを持つ。アルファ班の後方支援として真壁・阿部を支える。
【前線指揮・管理:1名】
古賀 先任海曹(こが)/ 作戦先任(マスターチーフ)役割:現場の統括・装備管理・司令部との連絡調整特徴:チーム最年長のベテラン。全員の父親的存在。作戦時は潜水艦やヘリ内の前線指揮所に残り、現場の後方支援を行う。
【市ヶ谷・司令部バックアップ:1名】
一ノ瀬 三等海佐(いちのせ)/ 情報分析官(インテリジェンス)役割:防衛省情報本部からの専属派遣/ 情報分析・ドローン誘導特徴:市ヶ谷の作戦室からハッキングや衛星画像を駆使し、現場の6名にリアルタイムで「神の目」を提供するチームの頭脳。
1.

影の追跡「見つけた……!」市ヶ谷の作戦室。一ノ瀬三佐の指がキーボードを叩き割らんばかりの勢いで動いていた。前回の作戦漏洩から48時間。一ノ瀬は防衛省の全ネットワークのアクセスログを監視し、ついに不審な暗号通信を発信している端末を特定した。画面に表示されたのは、防衛局高官の一人である参事官補佐の名前だった。
『真壁隊長、裏切り者の身元を確保したわ。今、警務隊が彼のオフィスに向かっている』
横須賀の地下ブリーフィング室で無線を聞いていた真壁は、静かに目を閉じた。
「……終わったな。よくやった、一ノ瀬」
東や西川、阿部たちの顔から、ようやく「身内に敵がいる」という最悪の緊張感が消え去った。古賀先任海曹が、全員の肩を叩く。
「よし、今回はここまでだ。全員、解散! 自分の家に帰って泥のように眠れ」
2.

それぞれの日常基地を出た隊員たちは、それぞれの帰路についていた。最年少の阿部は、駅前の24時間営業のコインランドリーで、潮と硝煙の匂いが染みついた私服を洗濯機に放り込んでいた。
ガタガタと回る機械を見つめながら、彼は「生き残った」という実感を噛み締めていた。重火器担当の西川は、行きつけの居酒屋のカウンターにいた。
負傷した肩の痛みをビールで紛らわせながら、大将と他愛のない世間話に興じる。戦場での冷酷なブリーチャー(爆破手)の姿はそこにはなく、ただの陽気な常連客だった。
そして東は、静まり返った自宅の寝室で、幼い息子の寝顔をそっと覗き込んでいた。その小さな手を握り、心の中で「また無事に帰ってきたぞ」と語りかける。
彼らの戦いは、この何気ない日常を守るためのものだった。
3.

優しい明かり午後8時15分。真壁一等海尉は、自宅の最寄り駅から続く夜道を歩いていた。冷たい夜風が顔を叩く。数日前までオホーツク海の極寒の海にいたことが、まるで遠い夢のように思えるほど、周囲の住宅街は静かで平和だった。我が家の前に立ち、ポケットから鍵を取り出す。
ガチャリ、と鍵を開けてドアを押し開けると、玄関の奥から暖房の温もりと、夕飯の肉じゃがの甘い匂いがふわりと鼻をくすぐった。
「パパ! お帰りなさい!」
リビングのドアが勢いよく開き、娘の結衣がタタタッと廊下を走ってきた。真壁は持っていたボストンバッグを床に落とし、しゃがみ込んで結衣の小さな体を両腕でしっかりと受け止めた。
4.
ただいま「結衣、いい子にしてたか」「うん! あのね、今日学校でね——」嬉しそうに学校の出来事を話す娘の背中を、真壁は愛おしそうに撫でた。
その手の温もりが、彼の耳の奥に残っていた幻聴の銃声を完全に消し去っていく。奥からエプロン姿の妻・静香が顔を出した。真壁の少し疲れた顔を見て、すべてを察したように優しい笑顔を浮かべる。
「遅かったわね。ご飯、温め直すから先に お風呂入っちゃって」
「ああ、ありがとう。……今帰ったよ、静香」
胸の「日の丸」と「コウモリのエンブレム」を外した真壁は、今、ただの父親であり、夫に戻った。誰にも知られない闇の中で日本の盾となる男たち。彼らは傷つきながらも、また明日からこの愛おしい日常を守るために、自らの戦場へと戻っていく。
つづく


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