見出し画像

「一茶は俳句が得意っさ」 in フィンランド語

note「フィンランド語て大阪弁と似てるねん」に書いたが、フィンランド語は英語の in や on にあたるものが独立した単語ではなく、日本語の「てにをは」のように名詞の後ろにくっつく。

例えば、saunassa がついた saunassa は「サウナで/に」

「私はサウナにいます」
Mina olen saunassa.
(ミナ オレン サウナッサ)


"-ssa" を復習するっさ

「私はサウナにいます」
Mina olen saunassa.
ミナ オレン サウナッサ

英語の I am にあたるのが mina olen
olenで一人称単数だとわかるので mina を省略できる。

「サウナにいます」
Olen saunassa.
オレン サウナッサ

複数形(うちら we are)は me olemme
英語の we はフィンランド語で me
紛らわしい。

英語の me はフィンランド語で minua

英語の they はフィンランド語で he
これまた紛らわしい。

「紛らわしい(confusing)」は hämmentävä(ハメンタヴァ)でア行終わり。「ややこしい(complicating)」は monimutkainen(モニムトカイネン)でネン終わり。

Suomi(スオミ)「フィンランド」に ssa がついた Suomessa(スオメッサ)は「フィンランドで/に(in Finland)」

「フィンランドに住んでいます」
Asun Suomessa.

mina asun の mina も省略できる。動詞の一人称単数形は「n」で終わる。n と a で終わりがちなフィンランド語。 

"-ssa" の使い勝手が最高っさ

名詞にくっついて「どこどこで/に」の意味にすると覚えた -ssa。だがそれは序の口。

ありかはここっさ

Duolingoで出てきた例文に ssa が入っていた。

Kivi on maassa. 
キヴィ オン マーッサ

kivi は「石」
on は be動詞にあたる olla の三人称単数形
maa(マー)は「国」
maassa(マーッサ)は「国の中で/に」⁉︎

「石は国の中にある」!?

maa には「国」の他に「地面」の意味があるらしい。英語の land に似ている。

「石は地面の上にある」
Kivi on maassa. 
The rock/is/on the ground.

maassa は in the ground(地面の中に)ではなく on the ground(地面の上に)。-ssa には in の他に on の意味もあるらしい。

では、「石が地面の中にある」はどう言うのだろう。

Kivi on maan alla.
キヴィ オン マーン アッラ

maan alla が「地下」を指すらしい。in the ground ではなく under the ground だろうか。maa に n を足すと「地面の」になるのだろうか。今後注目。

puu
 は「木」
puussa は「木の中」

metsä は「森」
metsässä 
は「森の中」

Karhu elää isossa vanhassa metsässä.
The bear lives in the big, old forest.
その熊は大きな古い森の中に住んでいる。

isossa vanhassa metsässä 
(イソッサ ヴァンハッサ メッサッサ)
出ました、-ssα3連チャン。iso(大きな)と vanha(古い)にも ssa がつくのが面白い。

名詞だけでなくその前の形容詞にも影響するルールは複数形でも見られる。ややこしいし間違えやすいが、「エスペラントと同じ」と既視感&親近感。いろんな言語をかじっておくと、「あの言語と同じ/似てる」と理解が早い。

とりつく島はたくさん持つべし。

metsässä が出てくる例文もうひとつ。

「一家全員が森に隠れている」
Koko perhe on piilossa metsässä.
The whole/family/is/hiding/in the forest

koko は「すべて」
perhe は「家族」
koko perhe は「一家全員」

on は be動詞にあたる olla の三人称単数形

piilossa pilo(隠れる場所)+ ssa
olla pilossa 
は「隠れる場所にいる(be in the place to hide)」つまり「隠れている」となるらしい。

冠詞がなくて前置詞にあたる語(-ssa)が名詞と一体化している上に、一つの単語に英語の数語分の意味が入るフィンランド語。英語に比べて単語数はコンパクト。

状態はこうなってるっさ

Duolingoの別な例文にもssaがいた。

Vesi on jäässä.
ヴェシ オン ヤーッサ

jaa
 は「氷」
jaassa は「氷の中(in the ice)」

直訳すると「水は氷の中にある」だが、
「水は凍っている」という意味になるらしい。

The water is frozen.の frozen を jaassa で表せる。

状況はこうなってるっさ

まだまだ出てくる -ssa 例文。続いては、

Olen kalassa.
オレン カラーッサ

kala は「魚」
kalassa は「魚の中」
直訳すると「私は魚の中にいる」。

食われちまったのか⁉︎と思いきや「魚に取り込み中」つまり「魚釣りをしている(I am fishing.)」という意味になるらしい。

-ssaで動詞を作れてしまうのか!

もしかして、「ググる」は googlessa か!?
と思ったら googlettaa(グーグレッター)という動詞が出てきた。-ttaaで動詞を作れるらしい。-ssa との使い分けはどうなっているのだろう。

「膝枕してる」は-ssa なのか-ttaa なのか。
Olen hizamakurassa.
のほうが沈み込み感がある。

状況と場所の合わせ技の例文もあった。

「熊はノルウェーで釣りをしている」
Karhu on kalassa Norjassa.
The bear/is/fishing/in Norway.

得意はこれっさ

audibleのフィンランド語の例文にも -ssaがいた。

Olen hyvä kielissa.
オレン ヒヴァ キエリッサ

kielissa = kieli(言語) + ssa

「言語が得意です」
Olen hyvä kielissa.
I am/good/at language

この答えを引き出す質問「あんた何が得意なん?」は

Missa(sina)olet hyvä?
Where/are you/good?
What are you good at?

直訳すると「どこがあなたは得意か?」。
oletで二人称単数だとわかるので you にあたるsina を省略できる。

Missa olet hyvä?

複数(あんたら)の場合は(te)olette となる。

Missa olette hyvä?

答えるときは、
Olen hyva + -ssa

「言葉遊びが得意です」
Olen hyvä sanaleikeissä.
「言葉遊び」は sanaleikkiä 

「魚釣りが得意です」は kalassa を使うのかと思いきや
Olen hyvä kalastamaan.
と出た。全然違う。

-ssaは「分野」「領域」など大ぐくりなものに使うのだろうか。

「家事が得意です」
Olen hyvä kotitöissä.

ビンゴ。
koto は「家」で kotitöi は「家事」
ちなみに kotona 「家で/家に(at home)」
kotossa とならないのはなぜ?

「スポーツが得意です」
Olen hyvä urheilussa.

「野球が得意です」
Olen hyvä baseballissa.

あれ? 野球はジャンルじゃなくてスポーツ名だけど -ssa がつく。謎はいずれ明かされよう。

ところで、もしかして。
「一茶は俳句が得意です」は……
Issa on hyvä haikuissa.
Issa/is/good/at haiku.

haiku に-ssa をつけて haikuissa (ハイクイッサ)!

イッサ オン ヒュヴァ ハイクイッサ!

ミュージカル『ISSA in Paris』

俳句といえば一茶。
HAIKUといえばISSA。

フィンランド語の haikuissa に興奮したのは、今年1月に観た『ISSA in Paris』の余韻のせい。

小林一茶には消息不明とされる空白の10年があるらしい。その間に鎖国の日本をひそかに抜け出し、フランス革命前のパリへ行っていたとしたら……という歴史の if から時を超えて言葉と音楽が交差するファンタジー・ミュージカルにロマンをかき立てられた。

可動式巨大本棚のようなセットはシンプルに見えて変幻自在。縦書きにも横書きにもしなやかなに対応する日本語の縦横無尽さを表しているように見えた。

現代の日本に生きるミュージシャンの海人(IISSA)役に海宝直人さん。海人がパリで出会う小林一茶役に岡宮来夢さん。現代のパリに生きるダンサーのルイーズ役に潤花さん。お目当ての豊原江理佳さんはパリに着いた一茶と出会う女優のテレーズ役。

原案、作詞、作曲は『ナイン』『タイタニック』でトニー賞の最優秀作詞作曲賞を受賞したモーリー・イェストン。

日本公演が世界初演とのことだが、今後、各国で上演され、フィンランドに上陸することもあるかもしれない。

-ssa が大活躍するフィンランド語。Japanissa(ヤパニッサ)など issa で終わる単語もある。「ISSA」の名前が飛び交い、セリフにも issa が顔を出すのだろうか。

「劇の中で"ISSA"の名が飛び交う」
Nimi "ISSA" mainitaan näytelmässä usein.

「セリフの中に"-issa"で終わる単語が登場する」
Dialogissa on sanoja, jotka päättyvät "-kissa".

劇の中、セリフ(会話)の中も -ssa ‼︎

「『ISSA in Paris』をフィンランドで観たい」
Haluan nähdä 'ISSA Parisissa' Suomessa!
ハルアン ナフダ イッサ パリッサ スオメッサ

日本公演のタイトルも『パリの一茶』と訳していないので、in Paris をわざわざParisissa にしなくて良いのかも。

「『ISSA in Paris』をフィンランドでフィンランド語で観たい」
Haluan nähdä 'ISSA in Paris' Suomessa, suomeksi!
ハルアン ナフダ イッサインパリス スオメッサ スオメクスィ


いいなと思ったら応援しよう!

脚本家・今井雅子📚言葉遊びが好きな物書き 目に留めていただき、ありがとうございます。わたしが物書きでいられるのは、面白がってくださる方々のおかげです。