「昭和のおもちゃ」が、実はSTEAM教育そのものだった話
「STEAM教育」と聞くと、プログラミングやロボット教材、タブレット学習を思い浮かべる人が多いかもしれません。
でも実は、日本にはずっと昔から、遊びながら科学を学べるおもちゃがたくさんありました。
それが、昭和の科学玩具です。
私自身、長く科学玩具を扱ってきましたが(実店舗で販売実績7年)
改めて見直してみると「これはSTEAM教育そのものでは?」と思うことがよくあります。
STEAM教育って何?
STEAMとは、
S(Science) 科学
T(Technology) 技術
E(Engineering) 工学
A(Arts) 芸術・表現
M(Mathematics) 数学
この5つを組み合わせて学ぶ教育の考え方です。
難しく聞こえるかもしれませんが、実は子どもたちは「遊び」の中で自然とこれらを学んでいます。
昔の科学玩具は、その代表選手だったのです。

「どうして?」が学びの始まり
子どもは不思議なものを見ると、すぐに質問します。
「なんで動くの?」
「どうして倒れないの?」
「なんで回るの?」
この「なぜ?」こそが、STEAM教育で最も大切な入り口です。
教科書で答えを覚える前に、自分で考えてみる。
その体験が、知識よりも大きな財産になります。
昭和のおもちゃには科学が詰まっている
例えば、こんなおもちゃがあります。
平和鳥(水飲み鳥)
コップの水を飲んでいるように見える不思議な鳥。
実は、温度差や蒸発のしくみを利用して動いています。
見ているだけで、
「なんで止まらないんだろう?」
という疑問が生まれます。
地球ゴマ
手のひらほどの小さなコマなのに、驚くほど長く回り続けます。
ここには、
回転
慣性
バランス
という物理の世界が隠れています。
遊びながら、「回る」という現象を体で感じられるおもちゃです。
ニュートンのゆりかご(バランスボール)
カチ、カチ、と心地よい音を立てながら動く鉄球。
端の球を持ち上げて離すと、反対側だけが動きます。
これは運動量保存やエネルギーの伝わり方を目で見ることができる、まさに動く実験です。
万華鏡
覗くたびに違う模様が現れる万華鏡。
鏡の角度や光の反射によって、美しい世界が生まれます。
科学だけでなく、「きれい」「面白い」という感性も育ててくれる、まさにSTEAMの「A(芸術)」を感じられるおもちゃです。
「教える」より「遊ぶ」
昔のおもちゃには、説明書がほとんどありませんでした。
だから子どもたちは、
回してみる。
振ってみる。
分解したくなる。
失敗する。
もう一度やってみる。
そんな試行錯誤を繰り返していました。
今の言葉で言えば、「探究学習」です。
昔のおもちゃは、最高の教材だった
高価な教材がなくても、身近なおもちゃで科学に触れられる。
それが昭和の科学玩具の魅力です。
もちろん、現代のSTEAM教材には最新技術を使った素晴らしいものがたくさんあります。
でも、その原点には、
「なぜだろう?」
と思わせてくれる遊びがあります。
そして、その気持ちは何十年経っても変わりません。
私が科学玩具に惹かれ続ける理由
あるおもちゃ問屋の社長との出会いが大人の私をワクワクさせた!
そのおもちゃ問屋には隠し部屋がありました。
現在、流通しているおもちゃの他に、昔ながらのおもちゃが倉庫の奥の一部屋に綺麗に並べられていました。
社長はその隠し部屋のおもちゃで実践してくれました。
昔ながらのおもちゃで遊ぶ社長の姿は、露天商やテレビショッピングで見る凄腕販売員のようで、どんな玩具でも面白そうに遊んで見せてくれる。
だから、ついつい買ってしまう。
その思い出から、いくつか社長の特技により魅了された「おもちゃ遊びのコツ」をあげてみようと思う。
小学校の頃、すごく回るとされて夢中になった「地球ゴマ」。
紐をスラスラと巻いて離すととてつもなく長い時間回り続けている。
※すでに地球ゴマは廃番品ですが、似た仕組みの物やビンテージとして売られています。
「知っているよね?」と社長に渡された地球ゴマを当時の記憶を確かめながら巻いて離すと、辛うじて勢いよく回ってくれたが、1分間も回らずに止まってしまった。目を移すとまだ、問屋の社長の地球ゴマは止まる気配もなく回っている。
腕に青アザを作りながらカチカチしたクラッカーボール。こちらも日本製ですので、その妙技を見せつけられた。これも、流行した小学生の時は上下でカチカチさせる為にたゆまぬ努力をしてきたので、忘れていた感覚を戻すのにあまり時間はかからなかったが、やはり手に打ち付けた痛さは昔と変わらない。。。
おもむろにそのクラッカーボールを動かしはじめると、メトロノームのリズムを刻む拍数のように、ゆっくりとした調子で「カチ・・・カチ・・・」と上下で音を奏でる。
昔、一所懸命に連続音を強烈なスピードで腕を傷めながら習得したコツは何だったのか、と感じた瞬間である。
100円の竹トンボ。天気の良い日、社長は店の外で子供達の前で実演していた。飛ばせない子がいたから丁寧に教えながら、空高く空中へ。それが同じような動作から尋常じゃない高さまで上がって、品良く降りてくる。
同じ竹トンボを使い真似をしても、空中へは上がっていくが、到達点はまったくかなわない。しかも、手元に落下するはずのお手本には及ばずあらぬ方向の地面に落ちる。社長は魔法使いかもしれない。
更に、横移動しながらさながら野球のキャッチボールのように飛ばしてくる。同じ技量があればキャッチして返すこともできるが、そんなテクニックはない。
さらに、もう一段階レベルを上げると、ブーメランのように弧を描いて戻ってくる技を披露。その時の周りにいる子供も大人も、感嘆の表情を忘れない。
なんの変哲もない安物のおもちゃが、玩具問屋の社長の手にかかると「どうして?なんで?自分もやってみたい!ほしい!」という気持ちになる。
このわくわく感が昔のレトロ玩具(=科学玩具の原点)にはまる理由だったと思います。
おわりに
STEAM教育という言葉は新しく聞こえます。
でも、その考え方は決して新しいものではありません。
昭和のおもちゃには、
遊びながら考える。
試してみる。
失敗して学ぶ。
そんな学びの原点が詰まっています。
もしご自宅に昔のおもちゃが眠っていたら、ぜひもう一度手に取ってみてください。
きっと子どもの頃とは違う「発見」があるはずです。
