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【漫画】「コミック乱ツインズ」 2026年3月号(その一)

 1月から2月はあまり気にならないのですが、2月から3月というと何だかドキッとしてしまうのは、季節をまたぐからでしょうか。そんな季節の変わり目を感じさせる3月号となった「コミック乱ツインズ」誌の紹介です。巻頭カラー&表紙は『寿司銀捕物帖』、特別読切は『夜明けの淵』です。

 今回も、印象に残った作品を一つずつ紹介します。今回は『寿司銀捕物帖』『江戸の不倫は死の香り』『エドゼニ』の三作品です。


『寿司銀捕物帖』(オズノらいおん&風野真知雄)

 早くも単行本第1巻刊行で、巻頭カラー&表紙を飾った本作。第3話「海苔で人が殺せるか」の第3回となる今回は、海苔問屋・川本川の旦那・清右衛門の死の容疑者である入り婿の全二郎に銀蔵が迫ります。

 まずはその全二郎の動きを探るため、貧乏武士がよく遊んでいる銀座・三原橋の水茶屋街にやってきた銀蔵と十四郎。同心としてはいまいち頼りない印象の十四郎ですが、ここではそれがハマってか(?)客に紛れて全二郎の情報収集に成功します。
 聞くところではまだまだ武士に未練タラタラの全二郎は、武士の格好でここに遊びに来ているとのことですが――それはなかなか痛々しい。
 と、そこでいかにも遣い手らしい「手」をした男(見かけによらず剣の遣い手である十四郎がそれに気付くのがいい)が現れるのですが、この男が今回の立ち回りの相手でしょうか。

 一方、海苔漁師を回る銀蔵は、全二郎がある海苔を作ろうとしていたと聞きつけるのですが――なるほど、これはなんとなく説得力がある上に、海苔とも親和性が高そうなやり方です。
 そしてこのトリックを実証するため、仲間たちの立ち合いのもとで、自らの身体を張って試そうとする銀蔵。はたしてその成果は――と、とんでもないことに!

 「想像以上の危機――!?」というアオリも納得のショッキングすぎる絵面(本当に今月の全作品の中でもトップクラス)で次回に続きます。


『江戸の不倫は死の香り』(山口譲司)

 毎回基本的に厭な話の本作ですが、今回もかなり胸糞な話。とある旗本家を巡り、姉のお志津と妹のおよしの確執が、恐ろしい出来事を引き起こします。

 旗本・山崎某が病に倒れ、婿養子として迎えられた惣太郎。山崎家には大身旗本に奉公中のお志津と、盲目のおよしと二人の娘がいましたが、惣太郎はおよしの婿となったのです。
 盲目のため何かと不自由なおよしを助けるお志津ですが、妹を甘やかす母に不満を募らせます。そして元々奔放な性質であったお志津は、惣太郎を誘惑して関係を結び、彼を骨抜きにしてしまうのでした。

 そして二人の関係はエスカレートし、邪魔になったおよしを……

 これまでも本作では不倫の果てに――というのはしばしば描かれてきましたが(というかいつも)、今回のそれは切った張ったではない分、より生々しく、非常にキツい。およしの想いを考えるに、辛いという言葉では全く足りない、胸糞悪すぎる物語が展開します。

 結末はその報いといえば全くそのとおりなのですが、それでもまだ足りない――なんとも言えない厭な後味が残ります。
(もちろん、そこまで感じさせる本作が巧みなのですが)


『エドゼニ』(青木雄二プロダクション コヤマサトシ&秋月戸市)

 悪徳同心・田所の介入で、西川への借金を棒引きするハメになった金貸しの弥七と信助。しかし弥七は「金貸しの仕事は焦げついてからが本番だ」と闘志を見せ――という展開となった前回。

 西川夫妻は都落ちしてしまったし、これは田所を何とかするのかな、と思ってしまったのは、まだ普通の時代劇に毒されていたということなのでしょう。
 弥七が狙うのは、西川の妻の実家――確かに前回、彼女が借金のうちの幾らかを実家から工面して返済にきましたが、そこから辿か! とゾッとさせられます(西川の妻は善意で返済しに来ただけに)。

 しかしこういう手であれば現代の街金で働いていた信助が思いつかないはずがないのでは――と思いきや、別に保証人でも何でもない親族に借金の返済を求めるのは普通に違法。なるほど、江戸時代は恐ろしい時代かもしれません。
 もちろん、江戸でも返済しなければならない理由はないのですが――ここで関係するのが、町家の出身である女性が同心の妻に収まれた理由です。

 時代もの好きであればお馴染みの手法なので、これは信助も知っているはずですが、なるほどこういう形で揺さぶりをかけるのか――と、恐ろしく思いつつも感心してしまったのでした。

 次回に続きます。


先月号の紹介記事はこちら


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