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【文学フリマ挑戦】#19 数字の呪縛を越えて。通り過ぎる四百ではなく、立ち止まる三百|MMPP Publishing

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 画面の数字が、すとんと落ちた。

 四百あったものが、二百になった。

「……うわ、減ったな」

 思わず声が出た。

 冷えたグラスを傾ける。
 なんか、いつもより濃く感じた。

 数字を追うのは、仕事だけで十分なはずでした。
 これは遊びだ、ご機嫌な余白のはず。
 そう思いながらも、気が付くと同じ数字を見ていました。

 パソコンを閉じた。
 そのまま寝た。
 翌日、また開いた。
 数字は変わらなかった。
 閉じた。
 数時間後、また開いた。
 やっぱり変わらなかった。

 自分でも何を期待しているのか分かりません。

 一週間が経った。
 二週間が経った。
 三週間が経った。

 その間も、何度か管理画面を開いては閉じた。

 戻そうか。
 いや、もう少し。
 いや、戻した方がええんかな。
 でも、せっかく変えたしな。

 そんなことを考えているうちに、また閉じる。
 数分後に、また開く。

 自分でも何をやっているんやろと思います。

 数字は、二百の底を打ったあと、少しずつ動き始めた。

 二百五十。
 二百八十。
 三百。

「……ん?」

 見間違いかと思った。
 週表示にする。
 月に切り替える。
 また週に戻す。
 もう一回見る。

「いや、そんなわけないやろ」

 並び替える。
 戻す。
 また並び替える。

 何を確かめたいのか、自分でもよく分からなくなっていました。

 四百あった頃は、入口の記事だけ読まれて、そのまま通り過ぎていくことが多かった。

 でも、今は少し違っています。
 少し前に置いた実験作を開いている人がいる。

「なんで、これ?」

 思わず声が出ました。
 さらに、もっと前に書き散らかして、埃をかぶっていた古い物語を読んでいる人もいる。
 (とはいえ2~3か月ほどまえだが)

「なんで、今?」

 画面を閉じる。
 少しして、また開く。
 閉じる。

 なんか、よく分からない。
 でも、前の四百とは違っています。
 一つだけ読んで帰る人よりも、棚、他の作品を見ている人がいる。
 あちこち歩くように、記事の間を行き来している。

 通り過ぎる四百ではなく、立ち止まる三百。

 スクロールを止めたまま、しばらく画面を見ていました。

「なんやろ、これは」

 ちょっと笑った、いや笑ったつもりでした。
 安心したのか、納得したのか。
 それとも、ただ酔っていただけなのか、自分でもよく分かりません。

 来週になったら、また二百に戻るかもしれない。
 そう思うと、安心していいのかも分からない。

 それでも、私がここに並べた「私の時間」を、同じように時間をかけて触れてくれている人がいる。

 そのことが、なんだかくすぐったいです。
 管理画面を閉じようとして、閉じられませんでした。

「……三百か」

 そう呟いて、ようやく管理画面を閉じた。

 これでよかったのかは、まだ分からない。
 分からないまま、新しいファイルを開いた。
 開いただけで、しばらく何も書かなかった。
 カーソルだけが、静かに点滅していた。

「よしと、するか」


#20 最初は二冊を持っていきたかった。でも……
#18 一番読まれていた記事を、ピン留めから外した話

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