【文学フリマ挑戦】#22.5 入稿前の静かな時間を持て余す|MMPP Publishing
MMPP Publishing、このレーベルには三人のMMPP.Kが、存在しています。
作家。
管理人。
スポンサー。
すべて同一人物。
毎月5,000円。
それがスポンサーからの運営費です。
この資金で印刷が行われ、本が作られ、イベントに参加します。
視線が、画面に向かう。
入稿画面。
部数入力欄に、カーソルが点滅している。
0にすると、すべてが静かになる。
最も安全で、最も何も残らない。
10にすると、現実に近づく。
失敗しても傷は浅い。
ただし、成功も小さい。
20にすると、少しだけ未来が混ざる。
足りないかもしれない、という想像からの脱却。
50にすると、空気が変わる。
利益の増大とともに届くかもしれないという期待……残るかもしれないという恐怖が同時に立ち上がる。
カーソルが、点滅している。
0、10、20、50。
数字だけが先に存在している。
その間に、一瞬だけ思考が割り込む。
作家。
「少し攻めた方がいい」
管理人。
「残るリスクが大きい」
スポンサー。
「10で運用」
声にならないまま、すぐに散る。
「どれも正しい……か」
指が止まる。
決められないのではない。
決めるという行為だけが、まだ少し先にあるだけ。
少しだけ間が空く。
フォルダが開かれる。
PDF。
スクロールする。
意味はあるようで、ない。
数分後、ウィンドウが閉じられる。
部数入力画面に戻る。
カーソルは、まだ点滅している。
何も入力されていない。
時間だけが進んでいる。
そして、何事もなかったように手を動かす。
10を打ち込む。
「さて、入稿データを作るか」
▶ #23 新刊を作るつもりなんてなかったのに
▶ #22 売れない未来を全部考えたのに、さらに本を追加する話
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