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【文学フリマ挑戦】#22 売れない未来を全部考えたのに、さらに本を追加する話|MMPP Publishing

▶ 1つ前のお話はこちら

文学フリマ大阪14(*3)に出ることにしました。
……正確には、「出ること自体」はもうずいぶん前に決まっています。

今回、問題は、その中身です。

何を、何冊持っていくのか。
どの本を、どう並べるのか。
そして脳内で静かに、しかし確実に膨らみ続ける「お金」の話です。

最初の計画は、驚くほど綺麗でした。

落ち着いていて、無理がなくて、現実的で、いわば、完成された構図でした。
(そう思っていたのは自分だけかもしれませんが)

既刊が2冊。

『喫茶トキカサネ』(*1)
『誰かに伝えたいショート・ショートがあるんだ──1話1分のアンソロジー 第1集』(*2)

そして、ここで掲載継続中の『One-Cut-Story』、これの田中の章(1cp〜4cp)までをまとめた1冊。

それで十分でした。
余計なことをしなければ、すべてはそのまま収まるはずでした。

「……収まるはずだ」

準備を進めている途中で、ふと画面を見ながら思ってしまいました。

「最近、書いてきた短編も、持っていきたいなあ」

その瞬間、計画は少しだけ壊れました。
壊れたというより、増えてしまった、の方が近いかもしれません。

入れていいのか。
入れない方がいいのか。
そんな単純な問題のはず、しかし一度「入れたい」と思ってしまったものは、もうどうにもなりません。

作品が、いくつもあります。
全部を入れることはできません。

物理的には可能。
でも、懐具合、時間、売れ残り問題、どれも無視はできません。

ただ、ワクワクは、とどまることを知らないようだ。

最初は数字で決めようとしました。

アクセス数。
スキ数。

それが一番合理的だと思ったからです。
でも並べた瞬間に違和感がありました。

「これ、なんか違和感があるような気がするというか、なんというか……」

一冊として読んだときの流れが成立していない。
重い話が続くと息が詰まり、軽い話だけだと薄くなる。
それぞれは成立しているのに、1冊としてみてみると、言葉にはしづらい、気持ち悪さがあります。

「これは選ぶ作業じゃなくて、配置の問題か、もっとたくさん入れたら変わるかも」

そう気づいたあたりから、面倒なことになりました。

入れる。
やっぱり外す。
戻す。
また外す。
入れ替える。

まだ一冊もできていないのに、すでに疲れている。
幸いなのは、とても楽しいということです。

そこへ、もうひとつ現実が入り込みます。

懐の有限資源を直撃する印刷費です。

文学フリマ大阪14の出展参加費は6,600円、これは動かせません。
(支払い締め切り後に、1400~1800ブースにシレっと参加ブースが増えたことに思うところはありますが)

そして、本の印刷。
A6サイズ30冊で9,000円。
B6サイズ10冊で5,000円。
合計14,000円。
最低でも20,600円の支出になります。

※このあたりは、複数の本を小部数でそろえると費用がかさみますし、1冊のページ数によっても大きく変わります。
※同じ本を多く印刷すれば、1冊あたりの単価は抑えられます。
※また、Amazonのオンデマンド印刷を利用すれば、紙のこだわりは制限されますが、小ロットでも比較的低価格で印刷が可能です。
※私の本はかなり薄く、いわば“うっすうす”なので、部数を抑えても印刷費用はそこまで高くなりません。

1000部単位で刷れば安くなるとも限りません。

ここで、脳内に会議が立ち上がります。

出席者は二人。
レーベル管理人とスポンサー……同一人物ですけど。

管理人がまず数字を出します。

「全部売れた場合、売上は最大25,000円です」

少し間を置いて続けます。

「差し引き、4,400円の黒字。一応です」

さらに計算は続きます。

「30冊売れれば、ほぼトントンです」

イベント参加費は回収できるかもしれない。

「20冊なら、印刷費は回収できます」

ただし出展費は残る。

ここまでは、夢があります。
タヌキの皮算用といえなくもありません。

そして最後の数字が出ます。

「0冊」

これは計算ではなく、ただの現実です。

誰にも手に取られない可能性。
誰にも届かない可能性。

文学フリマでは、普通に起きることだとうかがっています。

「1冊でも届けたいって持っていってるの、0冊は、怖すぎるねん」

飛び入りの著者の声が聞こえてきました。

一瞬、会議室が静かになります。
スポンサーも管理人も、何も言いません、いえ、言えません。

しばらくして、結論だけが残りました。

「まあ、やるしかないですね」
「そうですね」
「怖いけど」

まぁ、もう参加費も支払いましたし、やるしかないのは事実なのです。

さらに、頭のどこかで、もうひとつの声がします。

文学フリマという場所のことです。

本を売る場所なのに、押し付ける場所ではない。
興味のある人だけが立ち止まり、読みたい人だけが手に取る。

そういう場所なんだと思っています。

だからこそ、怖さが増します。
誰にも選ばれないことが、最初から前提にあります。

それでも、そこに行くしかない。

まだ先だと思っていましたが、もう2か月後です。

「でも、0冊は嫌すぎる」

それを考えだすと、あまり眠れない……だいたい毎日5時間睡眠、早起きは年を取ったからでしょうか6時前には目が覚めてしまいます。

ちょっと話が逸れてしまいましたが、とにもかくにも、最近書いてる作品を持っていく事が、決定いたしました。

文学フリマ大阪14に向けた挑戦の中で生まれた作品を、持っていきます。


#22.5 入稿前の静かな時間を持て余す
#21 MMPP Selection=選書
文学フリマ大阪14への軌跡|一覧はこちらからどうぞ

「短い文章が好き。」の作品一覧
 ▶ One-Cut-Story(断片・切取り)
 ▶ 短くて小さな物語(読みやすい短編)
 ▶ Lab(実験・断片・連作)

(*1) 喫茶トキカサネ

(*2) 誰かに伝えたいショート・ショートがあるんだ──1話1分のアンソロジー 第1集

(*3) 文学フリマ大阪14

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