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【連作掌編】『ココロぐんだん!』 第4話「ソワソワくんの大さわぎ」|不安は、未来への準備をしている

前のお話

『ココロぐんだん!』 第3話 「ネタミーのほしい未来レーダー」 作:MMPP.K

 その日、心の部屋で、ソワソワくんが走っていた。

「たいへん!たいへんかも!たいへんじゃないかも!」

 ぐるぐる、ばたばた、止まらない。

「ちょっと落ち着け!」
 プンプン丸が言う。

「ムリムリ!」
 ソワソワくんは目をまるくした。
「まだ起きてないけど、起きるかもしれないんだよ!」

「なにが?」
 メソッ子が聞く。

「わかんない!」
 ソワソワくんは、
 さらに走る。

 心の部屋が、
 どんどんうるさくなる。

 テレちゃんは、耳をふさいだ。
「……見られてる気がする」

 ポンコツンは、しゃがみこんだ。
 ポンコツンは、失敗した記憶を集めるログ係。
 だから、うまくいかない未来ばかり先に思い出してしまう。

「どうせ、うまくいかないし……」

「ストップ!」
 ニコニコ隊長が、手をあげた。

 でも、ソワソワくんは止まらない。

 そのとき、考え杉田くんが言った。
「ちょっとだけ、聞いてみよう」

 ソワソワくんは、ぴたっと止まった。

「なにが、いちばんこわい?」

 ソワソワくんは、指をくるくるさせた。
「まちがえたらどうしよう。できなかったらどうしよう。わらわれたらどうしよう」

 だれも、すぐには言えなかった。

 そこへ、いつも大きな声のドーン太郎がやってきた。
 ドーン太郎が、胸を張った。

 ドーン太郎は、自分を信じる力の係。
 でも、本当はちょっとだけ傷つきやすい。

「できるって言うのも、準備のひとつだぞ」

 すると、ホッとさんが前に出た。
「いき、すって」

 みんなで、すーっ、はーっ。

 ソワソワくんの足が、少しだけ止まる。

「ソワソワくん」
 ニコニコ隊長が言った。
「きみ、知らせに来てくれたんだよね」

「うん……」
 ソワソワくんは小さく言った。

「まだ起きてないことを、教えに」

 考え杉田くんが、うなずいた。
「じゃあ、準備だけしよう」

「さわがなくていい?」
 ソワソワくんが聞く。

「さわいでいいよ」
 ニコニコ隊長は笑った。
「でも、一人でさわがなくていい」

 プンプン丸が言った。
「次は、オレも呼べ」

 メソッ子も、ノートを開いた。
「泣く準備も、しとくね」

 ソワソワくんは、少し胸をはった。

「じゃあ、また来るね」

 その日は、なにも起きなかった。

 でも、心の部屋には、ちゃんと準備が残った。

 ノートには、こう書かれた。

「ソワソワは、じゅんびの合図」

 その様子を、部屋のすみで静かに見ている子がいた。

 ボッチンだった。
 ボッチンは、一人で考える時間を大切にする係だった。


第5話「エネルギー爆発の日」(最終話 )
第3話「ネタミーのほしい未来レーダー」
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