見出し画像

【連作掌編】『ココロぐんだん!』 第5話(最終話)「エネルギー爆発の日」|心の中の全部が、あなたの力になる

前のお話

『ココロぐんだん!』 第5話(最終話)「エネルギー爆発の日」 作:MMPP.K

 その日、心の部屋に見慣れない装置が置かれていた。
 名前は『スルー変換炉』。

「なにこれ?」とテレちゃん。
「爆発しない?」とソワソワくん。
「どうせ失敗するんだよ……」とポンコツン。

「いや、爆発はする」
 そう言ったのは考え杉田くんだった。
「ただし、いい方向に」

 まず最初に入れられたのはプンプン丸。
「ムカついたエネルギーはな、推進力になる」
 ゴォン、と音がして、前に進む力に変わった。

 次にネタミー。
「羨ましいってのは、欲しい未来が見えてる証拠」
 光が走り、やりたいことを見つける力に変換。

 メソッ子は涙ごと投入された。
「悲しみは、深さ分だけ優しさを生む」
 じんわり、回復系の力に。

 ズーン太は少し渋った。
 ズーン太は、反省しすぎる心を見張る係だ。

「反省はな、改善案を持ってきた時点で仕事終了」
 その瞬間、重りが外れた。

 ボッチンは最後まで迷った。
「一人でいる時間は、悪いことじゃない。でも困ったときまで、一人じゃなくていい」

 そのとき、背筋をぴんと伸ばした子が前に出た。

 シャキ丸だった。

 シャキ丸は、誇りの係。
 誰も見ていなくても、自分らしく立つ力を持っている。

「一人で感じたことも、みんなに話していいんだ」

 入った瞬間、孤独は「集中する力」と「自分で進む力」に変換された。

 そして、スイッチを押したのは、意外にもポンコツン。

「失敗はデータだろ?」
 その声に、部屋が一気に明るくなる。

 考え杉田くんは鉢巻きを外した。
「考えるのは悪くない。ただ、回す方向を変えるだけ」

 爆発は、破壊じゃなかった。
 前に進むための点火だった。

 その日から、負の感情たちは消えなかった。

 ニコニコ隊長は笑顔で話してくれた。
「スルーできるものは流し、拾うものだけ燃料にするんだ」

 ぜんぶ抱えなくていい。
 大事なものだけ、力に変えればいい。

 それを覚えた瞬間、心は静かになった。
 でも、確かに、みんなが加速し始めた。


あとがき、そして、第3回角野栄子あたらしい童話大賞へ……
◀ 第4話「ソワソワくんの大さわぎ」
◀◀ 第3話「ネタミーのほしい未来レーダー」
◀◀◀ 第2話「がまんしすぎた日」
◀◀◀◀ 第1話「プンプン丸とメソッ子とニコニコ隊長」

▼ MMPPの「掌編連作集」置いてます。

© 2026 MMPP Publishing
Home / Works / Creators / Lab /「note」/ Label / Legal / Contact