私の標準焦点距離は、あなたにとっての標準焦点距離ではない
一般的には、人間の視野に近い50mmが
「標準焦点距離」と言われている。

だが、私の愛してやまない
PENTAXは、FA43mm Limitedのキャッチコピーでこう語る。
「フィルムの対角線寸法と等しい焦点距離を持つ、
真の意味での標準レンズ。」
43mmこそが「真の意味での標準」だという。
一方、スマートフォン世代には、
標準カメラに近い28mm前後を「普通」と感じる人も多いだろう。
では、標準とはいったい何なのだろう。
最近私は、
人によって「標準」と感じる焦点距離は違うのではないか。
と考えるようになった。
きっかけは、人間の視野について調べたことだった。
人間の視野を焦点距離に置き換えてみる
視野角から35mm判の焦点距離を求めるには、
f = d ÷ 2tan(θ/2)
という式を使う。fは焦点距離、dはセンサーの辺の長さ、θは画角だ。
50mmレンズの対角画角は約47度。
一般に知られる50mmの画角とほぼ一致する。
では、人間の視野はどうか。
人間が光を感知する範囲は左右約120度、上下約100度とも言われる。
単純にレンズの画角として計算すると、焦点距離はおよそ10mmになる。
ただし、これは「人間が光を感じ取っている範囲」であって、
普通の広角レンズと同列には扱えない。
人間の視野は画面全体を均一な解像度で見ているわけではないし、
これほど広い画角を直線投影のレンズで表現すれば、周辺の歪みも非常に大きくなる。
それでも、大まかな傾向をつかむために、あえてこの数字で話を進めてみたい。
一方、周辺視野とは別に、意識的に情報を捉えている
「有効視野」という考え方がある。
その範囲を左右約35度とすると、焦点距離は約57mmになる。
ここでようやく、
「50mmが標準」という数字に近づいてくる。
もちろん、人間の視野とカメラの画角を単純に重ねることには無理がある。
それでも、
「広く光を感知する範囲」と「実際に意識して情報を捉えている範囲」
を分けて考えると、50mmが「人間の視野に近い」と言われてきた
理由の一端が見えてくる。
ちなみにPENTAX FA43mm Limitedの
「対角線寸法=焦点距離」という定義は、
人間の視野とは関係のない幾何学的な話で、
対角画角は約53度になる。
人間の視野から考えた50mm論とは
別の理屈なのに、近い数字にたどり着く。
このあたりが、なかなか面白い。
ハードウェアとソフトウェア、それぞれの「標準」
ここまでは、人間という「ハードウェア」の話だ。
目があり、視野があり、脳が処理する。
そこから50mmという「標準」が語られてきた理由が見えてくる。
では、「ソフトウェア」の部分はどうだろう。
よく「視野が広い人/狭い人」という表現がある。
ここでは、普段自分がどのくらいの範囲を見ながら物事を捉えているか、
という意味で考えてみたい。
私はこれを勝手に、
「心の視野」
と呼んでいる。
心の視野が広い人は周囲を広く見る癖があり、
狭い人は一つのものに集中して見る癖がある。
どちらが良いという話ではない。あくまで私の仮説だ。
でも、人によって「物を見る癖」が違うなら、
写真で自然と使いたくなる焦点距離も、
人によって違って当然ではないか。
私の標準焦点距離は70mmだった

「私の標準焦点距離は、あなたにとっての標準焦点距離ではない。」
ここで言う「標準焦点距離」とは、レンズのスペックではない。
その人が世界を切り取るときの基準、つまり「心の視野」のことだ。
一般論では、
50mmは全身からアップまでオールマイティ、
85mmはバストアップ向き、
24mmは背景まで入れた全身向き、
といったイメージがある。
ところが私は、
70mmをオールマイティに使うことが多い。
全身を撮る。
少し寄って上半身を撮る。
さらに寄って表情を撮る。
気がつけば、
私の標準焦点距離は、おそらく70mmなのだ。
そう考えると、レンズ選びにも納得がいく。
70mmを基準にすると、
150mmくらいが準望遠〜望遠、28mmくらいが準広角〜広角になる。
道理で、TAMRON 35-150mm一本でだいたい事足りるわけだ。

大事なのは、
「70mmが標準だから、それより広い焦点距離は不要」
という意味ではない。むしろ逆だ。
70mmを基準にしながらも、それより広く撮りたい場面があるから
35mmまで広がり、標準を超えて150mmまで寄れる。
私にとって35-150mmは、標準を中心に「必要なところまで広げ、
必要なところまで寄れる」レンズなのだ。
私には人を観察する癖がある。
街を歩いていても、気になる人がいると、服装や持ち物、表情を
じっと見てしまう。
この「一つのものを集中して見る癖」も、
70mmが標準になっている理由の一つかもしれない。
標準ズームの「標準」って何だろう
一般的には24-70mmや28-75mm、24-105mmが標準ズームと呼ばれる。
でもそれは「一般的な標準」を基準にした分類にすぎない。
「心の視野」が人によって違うなら、
その人にとっての標準ズームも変わっていいはずだ。
50mm前後を自然に感じる人なら24-70mmや28-75mm。
35mmあたりを基準にする人なら24-70mmや24-105mm。
私のように70mmを基準にする人なら、
35-150mmのような中望遠寄りのズームこそが「標準ズーム」になる。
70mmより広く撮りたいこともあれば、150mmまで寄りたいこともある。
だから35-150mmになる。
70mm始まりのレンズでは「標準より広い世界」を切り取れない。
だから私は70-200mmを使っていない。
これは「70-200mmが悪い」という話ではなく、自分の標準を中心に、
その前後どこまで必要かを考えた結果だ。
あなたの標準焦点距離は何mmですか?
カメラを始めた頃は「標準は50mm」と言われれば、
そういうものだと思っていた。
でも撮り続けていると、
「自分にとって自然な焦点距離」
が少しずつ見えてくる。
それは単なる「好きな焦点距離」ではないのかもしれない。
普段、自分は何を見ているのか。
どこに意識を向けているのか。
どのくらいの範囲を一枚の写真として捉えているのか。
そうした「心の視野」が、結果として自分の標準焦点距離を作っているのかもしれない。
だから私は思う。
私の標準焦点距離は、あなたにとっての標準焦点距離ではない。
そして、あなたにとっての標準ズームも、私にとっての標準ズームとは違うかもしれない。
あなたにとっての「標準」は何mmだろうか。
50mm?35mm?85mm?
それとも、私のように70mm?
ぜひ聞いてみたい。
※この記事では、自分の考えを整理・検証するために、人間の視野や視野角から焦点距離への換算、関連する情報の調査、文章の整理にAIを補助的に使用しています。
