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賃貸中に管理費・修繕積立金が値上がりした。どう対応するか。

「管理費と修繕積立金が値上がりが決まってしまいました。借主に請求できますか?」

最近、こういった相談が増えています。

背景には、人件費の高騰、建築資材費の上昇、保険料の値上がりなど、マンションの維持管理コストが全体的に上がっていることがあります。首都圏の分譲マンションでは、管理費・修繕積立金ともにこの5年で10%以上値上がりしているというデータもあります。
私が以前に所有していマンションでも2万円近く増額が決まってしまい、ショックを受けたことがあります。

そうなるとオーナーとしては当然「家賃を上げたい」と思うわけですが、話はそう簡単ではありません。

管理費・修繕積立金はオーナーが負担するものです

まず前提を整理します。

管理費と修繕積立金は、管理組合に対してオーナー(区分所有者)が支払うものです。賃貸に出していても、この支払い義務はオーナーにあります。借主が直接管理組合に支払うわけではありません。

借主が支払う「共益費」や「管理費」は、あくまでオーナーが賃料と合わせて設定した金額であり、管理組合に支払う管理費とは別物です。

つまり、管理組合が管理費・修繕積立金を値上げしても、その増額分を借主に請求する法的な仕組みは自動的にはありません。

家賃を一方的に上げることはできません

「管理費が上がったから、その分家賃を上げます」と一方的に通知しても、借主が同意しなければ家賃は上がりません。

これは借地借家法で定められています。
家賃の変更は貸主と借主の双方の合意が必要です。管理費・修繕積立金が上がったことは家賃値上げの理由のひとつにはなりますが、それだけで自動的に家賃が上がるわけではないのです。

借主にも生活があります。「管理組合が決めたことだから」と言われても、借主からすれば「自分は関係ない話では?」と感じることもあります。

ではどうすればいいのか

現実的には賃貸借契約中の場合、話し合いしかありません。

更新のタイミングで賃料の見直しを相談する
最も自然な方法です。契約更新は条件を見直す節目ですから、このタイミングで「管理費・修繕積立金が上がったため、賃料の見直しをお願いしたい」と相談するのが現実的です。

根拠として、管理組合からの通知書や議事録を見せながら丁寧に説明すれば、借主も「しょうがないか」と受け入れてくれるケースはあります。
最近は物価上昇の実感がある方も多く、以前と比べて受け入れてもらいやすい空気にはなっています。

次の入居者から反映する
現在の借主との交渉が難しい場合は、退去後の次の募集時に賃料に反映するという方法もあります。新しい契約であれば、管理費・修繕積立金の値上がりを織り込んだ賃料設定が可能です。
かといいましても、今の入居者を追い出すことはできませんのでご注意ください。

▶ 参考記事:更新のタイミングで家賃を見直すべきか。判断の考え方。

貸し出す前の賃料設定が大切です

本当に大切なのは、値上がりが起きてからの対応ではなく、貸し出す前の賃料設定の段階で将来のコスト上昇を見込んでおくことです。

管理費・修繕積立金は上がる可能性があるものだという前提で、賃料設定時に余裕を持たせておく。
長期修繕計画を確認して、今後の値上がりの予定を把握しておく。

特に修繕積立金は、段階増額方式を採用しているマンションが多いため、5年ごとに値上がりする可能性があります。購入時に安く設定されていた修繕積立金が、10年後には倍になっているケースも珍しくありません。

管理組合の総会には関心を持ってください

管理費・修繕積立金の値上げは、管理組合の総会で決議されます。

賃貸に出しているからといって総会を無視していると、知らないうちに大幅な値上がりが決まっていたということも起こりえます。議決権行使書や委任状の提出は忘れずに行ってください。

▶ 参考記事:分譲マンションを貸すとき、管理組合の総会はどうなるのか。

まとめ

管理費・修繕積立金の値上がりは、今後ますます増える流れです。

管理費・修繕積立金の支払い義務はオーナーにある。借主への自動的な転嫁はできない。
家賃の値上げには借主の同意が必要。一方的には上げられない。
更新のタイミングで丁寧に相談するのが現実的な方法。
次の入居者から賃料に反映する方法もある。
貸し出す前の賃料設定の段階で、将来のコスト上昇を見込んでおくことが大切。
管理組合の総会には関心を持ち、議決権行使を忘れずに。

「管理費が上がったから家賃も上げたい」という気持ちはわかります。ただ、借主も人です。丁寧に根拠を示して、お互いが納得できる形で進めていくことが、長期的にはオーナーにとっても一番いい結果につながります。

管理会社を選ぶときに確認すべきポイントは、こちらにまとめています。


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