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Step3  AIが書いた文章を、自分の小説にするために


前回は、ChatGPTにいきなり小説を書かせるのではなく、
まず自分の話を聞いてもらう方法について書きました。

質問に答え、
物語の芯を3行にまとめ、
必要なリサーチを整理する。

そこから、
まずは300字、
600字、
1000字と、
自分で見直せる長さの文章を作っていく。

ここまで進めば、
最初の一行で止まっていた時より、
かなり前へ進んでいます。

でも、AIから文章が出てきた時、
次に困ることがあります。

この文章は、どこまで使っていいのだろう。

何を残して、どこを直せばいいのだろう。
そして、いつになったら「これで完成」と判断していいのだろう。

文章としては整っている。
誤字も少ないし、話の筋も通っている。

けれども、読んでみると、
なぜか自分の小説ではないような気がする。

その感覚は、たぶん間違っていません。

AIが最初に出してくる文章は、
完成品というより、
作者が手を入れるための材料です。

今回は、その材料のどこを見て、
何を残し、
何を直し、
何を削るのか。

その判断基準について考えていきます。

まず、AIが書いた文章を三つに分けて考える


AIが作った文章を読む時、
最初から全部を直そうとすると、
何をどうしたらいいのか分からなくなります。

そこで私は、出てきた文章を、

  • 残すもの

  • 直すもの

  • 削るもの

この三つに分けて考えます。

すべてを自分で書き直す必要はありません。

使えるところは残し、
弱いところは直し、
物語の邪魔になるものは削る。
それだけでも、文章はかなり変わります。

自分だけでは分けにくい場合は、
ChatGPTに次のように頼むこともできます。

次の文章を、
・そのまま残せそうな部分
・作者の意図を確認してから直した方がよい部分
・説明の重複や、なくても伝わりそうな部分
に分けてください。
まだ本文は書き直さず、判断した理由だけを示してください。

質問例-1

ここで大事なのは、
いきなり全文を書き直させないことです。

まず指摘を読み、
自分が納得できるかを考える。
その後で、直す場所を一つずつ決めます。

残すもの――自分が「これを書きたかった」と思える部分


最初に探すのは、文章として上手なところではありません。

読んだ時に、
「そう、私はこれを書きたかったんだ」
と感じる部分です。

最初から頭の中にあった景色。
主人公に言わせたかった言葉。
物語を考えた時から残っていた場面。

自分では予想していなかったけれど、
読んでみたら妙に気に入った表現が出てくることもあります。

そういうものは残します。

多少、文章が整っていなくても構いません。

言葉は後から直せますが、
その作品の中心にある感情まで消してしまうと、
きれいなだけの文章になってしまいます。

残したいものは、主に次のような部分です。

  • 自分が最初から描きたかった場面

  • 主人公らしさが出ている行動や台詞

  • その作品にしかない景色、匂い、音、手触り

  • 作者自身の記憶や経験がにじんでいるところ

  • 物語の中心につながる違和感や問い

  • 読み返した時に、自分でも続きを知りたくなる部分

文章を見直す時、悪いところばかり探す必要はありません。

何を残したいのかを最初に決めておけば、
修正しているうちに作品の良さまで消してしまうことを防げます。

直すもの――物語は進んでいるのに、心が動いていない部分


AIの文章で薄く見えやすいのは、
登場人物が「物語の都合」で動いている部分です。

怪しい建物があるから入る。
謎の手紙が届いたから調べる。
危険だと分かっているのに、理由もなく先へ進む。

話を動かすためには必要な行動なのですが、
主人公がなぜそうするのかが見えないと、
読者は物語の外から眺めているだけになります。

直すべきなのは、行動そのものではなく、
その行動につながる気持ちや理由です。

主人公は、怖いのになぜ入るのか。
手紙を捨てられないのはなぜか。
もう関わらない方がいいと分かっているのに、
なぜ戻ってしまうのか。

そこに主人公自身の過去、
後悔、願望、怒りが加わると、
同じ行動でも意味が変わります。

たとえば、

主人公は不安を感じながら、古い病院へ入った。

出力例-1

という文章だけでは、誰にでも当てはまります。

けれども、

帰ろうと思えば、まだ帰れた。
それでも玄関をくぐったのは、二十年前に弟から聞かれた言葉に、今も答えられないままだからだった。

出力例-2

と理由が加われば、
この主人公が病院へ入る意味が見えてきます。

文章を派手にする必要はありません。

主人公を動かしているものが何なのか。
それが読者に伝わるように直します。

ChatGPTへ相談するなら、次のように頼めます。

この場面で、主人公が行動する理由が弱く見える場所を指摘してください。
物語を進めるためだけに動いている部分と、主人公自身の過去や願望に結びつけられる部分を分けてください。
勝手に過去を作らず、作者へ確認すべきことを質問してください。

依頼例-1

AIに理由を決めてもらうのではなく、
まず足りないものを質問してもらう。

その方が、主人公を自分の人物として残しやすくなります。

景色は、説明ではなく登場人物を通して見る


AIは、景色を説明することができます。

空は暗く、建物は古び、廊下には埃が積もっていた。
そのような情報を並べれば、場所の様子は分かります。

でも、
それだけでは、その場にいる人物の景色にはなりません。

同じ廃墟を見ても、子どもの頃にそこで遊んだ人と、
初めて訪れた記者では、目に入るものが違います。

懐かしいと思う人もいれば、
嫌な記憶を思い出す人もいる。
床の傷を見て昔の出来事を思い出す人もいれば、
逃げ道がないことを先に確認する人もいます。

景色を直す時は、細かな説明を増やすのではなく、
「この人物なら、何を見るか」
を考えます。

そして、その人物が見たものによって、
何を感じたのかを加えます。

夕方の田園風景を書くなら、
空の色だけではありません。

用水路の水音、
日に温められた草の匂い、
遠くで動いている草刈り機の音。

日が暮れる前に帰らないと叱られた子どもなら、
傾いていく太陽そのものが焦りの原因になります。

景色は、ただの背景ではありません。

登場人物の記憶や感情を見せるためにも使えます。

台詞が「読者へ説明する言葉」になっていないか


AIが書いた会話は、
話が分かりやすい反面、
説明的になることがあります。

登場人物が、お互いに知っていることまで丁寧に話し、
読者へ状況を説明してしまうのです。

たとえば、兄弟が子どもの頃の出来事について話している場面で、

「あの病院は、僕たちが小学生だった頃に女性の幽霊を見た場所だね」

出力例-3

と言わせれば、情報は伝わります。

でも、実際の兄弟なら、
そこまで説明しないかもしれません。

「まだ、あの窓だと思ってるのか」
「兄ちゃんだって見ただろ」
「見たものが同じだったとは限らない」

出力例-4

この方が、
二人の間にある記憶の食い違いや、
長い間触れずにきた空気が出ます。

台詞を見直す時は、
登場人物が読者に向かって話していないかを確認します。

その人物が本当に口にする言葉なのか。
言わずに飲み込むことはないか。
相手との関係によって、言い方が変わらないか。

台詞を短くすることだけが正解ではありません。

大切なのは、
その人物にしか言えない言葉になっているかどうかです。

削るもの――説明しすぎている部分と、どこかで見た言葉


AIは、分かりやすくまとめようとします。

そのため、すでに場面で伝わっていることを、
別の文章でもう一度説明することがあります。

主人公が手を震わせているのに、
「彼は恐怖を感じていた」
と続ける。

会話から二人の関係が壊れていると分かるのに、
「二人の関係は、すでに修復できないほど悪化していた」
と説明する。

このような文章は、
なくても伝わるなら削れます。

読者が受け取る余地を残した方が、
場面の印象が強くなることもあります。

もう一つ、削るか直したいのが、
どこかで見たような表現です。

「胸騒ぎを覚えた」
「言いようのない不安に襲われた」
「背筋に冷たいものが走った」
「運命の歯車が動き始めた」

間違った文章ではありません。

ただ、誰の物語にも使える言葉なので、
それだけでは、
この作品でなければならない理由が見えません。

自分が書きたかった怖さが別のところにあるなら、
その人物が何を見て、
どんな反応をしたのかに置き換えます。

怖いと書かず、
帰ろうとした足がなぜか動かない。

懐かしいと書かず、
もう存在しないはずの店の匂いを思い出す。

悲しいと書かず、
二人分用意してしまった湯飲みの片方を
、いつまでも片づけられない。

感情の名前を消せば、
必ず良くなるわけではありません。

でも、感情を説明する前に、
場面や行動で見せられないかを一度考えてみる価値はあります。

AIらしい文章の「整いすぎ」にも気をつける


AIは、話をきれいにまとめるのが得意です

場面の最後に意味を説明し、
登場人物に気づきを与え、
読者が迷わない形で締めようとします。

けれども、
小説では、
すべてをきれいに説明しない方がいい場面もあります。

主人公にも分からないことを、
作者が先回りして説明してしまえば、
謎は消えます。

読者が考えるはずだったことまで書いてしまえば、
余韻も残りません。

特にホラーやミステリーでは、
分からないものを分からないまま置いておくことが、
怖さや興味につながります。

感動する場面でも、
「この出来事によって、彼は本当の家族の意味を知った」
と説明するより、
人物の行動だけで終えた方が伝わることがあります。

文章を見直す時は、
「ここまで説明しなければ伝わらないのか」
と考えてみます。

伝わらないから説明を足すのではなく、
その前の場面を直すことで伝えられないか。

最後の説明を一文削っても成立しないか。

書かない方が残るものもあります。

全部をAIの提案どおりに直す必要はない


ChatGPTに文章を見直してもらうと、
いくつもの修正案が出てきます。

説明を減らす。
台詞を短くする。
主人公の感情を加える。
場面の最後を強くする。

どれも、それらしく見えるかもしれません。

でも、全部を受け入れる必要はありません。

静かに終わらせたかった場面へ派手な引きを加えれば、
作品の雰囲気が変わります。
主人公の気持ちを分かりやすくしすぎれば、
作者が残したかった迷いが消えるかもしれません。

AIの提案は、命令ではなく候補です。

採用するかどうかを決めるのは作者です。
「その修正をすると、何が良くなり、何が失われますか」
と聞いてみる方法もあります。

修正によって読みやすくなる代わりに、余韻が減る。
行動の理由は分かりやすくなるが、主人公の曖昧さが消える。

そこまで比べてから、自分で選びます。

すべてを完璧に直そうとしない


文章の修正には、終わりがありません。

言葉を変えようと思えば、いくらでも変えられます。
一度直した文章を翌日に読むと、また別のところが気になります。

そこで、直す順番を決めます。

最初に確認するのは、
誤字や細かな言い回しではなく、
物語の土台です。

  1. 設定や前後関係に矛盾がないか

  2. 登場人物が、自分の理由で行動しているか

  3. その場面で何が起きたのか、読者に伝わるか

  4. 作者が描きたかった感情や景色が残っているか

  5. 次の場面を読みたいと思えるものがあるか

この五つに大きな問題がなければ、
次に台詞や描写、
文章のリズムを整えます。

最初から一語ずつ磨いても、
後で場面そのものを削ることになれば、
その作業は無駄になります。

まず物語を直し、その後で文章を直す。

この順番にすると、分かりやすくなります

自分の小説になったかを判断する五つの基準


最後に、
その文章が自分の作品へ近づいたかどうかを確認します。

私が判断基準にしたいのは、次の五つです。

1.この物語で、自分が書きたかったものが残っているか

物語の中心にあった願望、怒り、怖さ、懐かしさが、
修正後の文章にも残っているかを確認します。

文章がきれいになった代わりに、
最初に書きたかったものが消えているなら、
整えすぎた可能性があります。

2.登場人物が、自分の理由で動いているか

主人公の行動には、
その人物なりの理由があるか。

物語を進めるためだけに急に賢くなったり、
反対に不自然な判断をしたりしていないかを見ます。

3.その場面が、頭の中に浮かぶか

場所の説明が多いかどうかではありません。

人物がどこにいて、
何を見て、
何に反応したのか。

読んだ時に、
場面の中心が浮かぶかを確認します。

4.誰にでも書ける文章になっていないか

自分の経験、記憶、好み、違和感が、
どこかに入っているか。

すべての文章を個性的にする必要はありませんが、
その作品にしかないものが一つもなければ、
AIが作った一般的な文章のままです。

5.自分自身が、その続きを読みたいと思えるか

これが、一番分かりやすい基準かもしれません。

作者である自分が、
次に何が起こるのかを知りたいと思えるか。
もう少し、
この人物と一緒にいたいと思えるか。

自分でも続きを読みたいと思えないのなら、
読者に読んでもらうのは難しいでしょう。

反対に、多少荒い部分が残っていても、
「この先を書きたい」と思えるなら、
その物語にはまだ力があります。

この五つを、すべて満点にする必要はありません。

少なくとも、自分が一番大切にしたかったものが残り、
登場人物が自分の理由で動き、
次の場面を書きたいと思えるなら、
先へ進んでいいと思います。

完成とは、直すところがなくなることではない


小説の完成は、
もう一文字も直せない状態になることではありません。

直そうと思えば、いつまでも直せます。

それよりも、
自分が書きたかったものが、
読者へ届く形になっているか。

大きな矛盾がなく、
登場人物の行動に納得でき、
その場面で感じてほしいものが伝わるか。

そこまで来たら、
いったん完成として次へ進む。

完璧になるまで第一話だけを直し続けるより、
第二話を書いた方が見えてくることもあります。

書き進めた後で、
最初の場面に足りなかったものへ気づくこともあります。

その時は、また戻って直せばいいのです。

ここまでの判断を、毎回一から指示するのは大変です


ここまで、
AIが書いた文章の何を残し、
何を直し、
何を削るのかを書いてきました。

普通のChatGPTでも、
一つずつ頼めば、この流れで相談できます。

ただ、
実際に小説を書き始めると、
毎回同じ説明をするのが面倒になってきます。

本文を書く前に質問してほしい。
決まっていない設定を勝手に補わないでほしい。

長文を一気に作らず、
自分で見直せる長さに分けてほしい。

文章を直す時には、
全部を書き換えるのではなく、
残すもの、
直すもの、
削るものを分けてほしい。

一つずつ頼めばできます。

でも、
会話が長くなれば、
最初に伝えた役割や順番が薄くなることもあります。

気づいた時には、
AIが先回りして設定を作り、
長い本文を書き始めているかもしれません。

そこで、これまでの流れを一つにまとめたのが、

「小説の相棒・起動用プロンプト」

です。

これは専用GPTへのリンクではありません。

普段使っているChatGPTの会話画面へ貼り付けて、
小説作りの相談相手として動いてもらうための文章です。

最初に作者の話を聞く。
回答から物語の芯を整理する。
必要なリサーチを分け、
まずは見直せる長さの文章を作る。

そして、
出てきた文章を
「残すもの」
「直すもの」
「削るもの」に分け、
作者の判断を待つ。

有料記事では、
この一連の流れを組み込んだ起動用プロンプトと、
実際の使い方をお渡しします。

難しい指示を毎回一から考えなくても、
まずは「小説を書いてみたい」
と話すところから始められる形にします。

もちろん、
起動用プロンプトを貼り付ければ、
自動的に名作が完成するわけではありません。

AIが作者になるのでもありません。

何を残し、
何を直し、
どこで完成とするのか。
最後に決めるのは、
やはり自分です。

それでも、
白い画面を前にして、
一人で最初の一行を考え続けるより、
質問してくれる相手がいる。

頭の中にあるものを整理し、
いくつかの方向を見せ、
最初の短い文章まで一緒に進んでくれる。

それだけでも、
最初の一歩は少し軽くなります。

長編を完成させると決めなくても構いません。

冒頭の300字だけでも、
一人の登場人物だけでもいい。
頭の中にしかなかったものが文章になれば、
それはもう、
昨日までとは違う一歩です。

あなたにも書けるかもしれません。

知らんけど

でも、
その「かもしれない」を確かめるには、
少しだけ前へ進んでみるしかありません。


Step4では
お渡しするのは、専用GPTへのリンクではありません。
購入した方が、ご自身のChatGPTへ貼り付けて使うための文章です。

普段使っているChatGPTを小説作りの相棒に変えるための
「起動用プロンプト」と、
その使い方をお渡しします。
有料記事(現在100円)









            

                     


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