AIに任せる仕事と、任せない仕事。複数クライアントを一人で回す私の線引き
「AIエージェントを24時間動かして、寝ている間も仕事を回す」。
そんな話を、最近よく見かけるようになりました。
私はAIを毎日仕事で使っています。それでも正直、あの手の話を見るたびに「自分はそこまで使いこなせていないな」と、少し焦っていました。
はじめましての方もいると思うので、先に自己紹介を。
私は薬剤師の免許を持つ会社員で、そのかたわら一人でデジタルマーケティングの事業を運営しています。複数のクライアントの実務を、AIで仕組み化しながら毎月回しています。
今日は、その私がAIに「任せている仕事」と「任せないと決めている仕事」を、どこで線引きしているかの実録です。
「24時間働かせる」は、調べてやめました
焦る一方で、引っかかってもいました。
当時、私が実際に書き残していた言葉がこれです。
「実際今使っているレベルだとそこまでずっと使うことがない」
かっこよく聞こえる話と、自分の実務感覚が合わない。こういうとき、鵜呑みにも全否定にもせず調べるのは、製薬会社で薬の安全性を確認する仕事で染みついた癖です。
調べてみると、システム開発のように常時回す使い方が活きる領域があるのも確かでした。ただ、私の仕事の型で常時動かして効果が出そうなのは「何かが起きたときだけ反応する見張り番」のような限られた場面で、しかも動かし続ければ、AIの利用量(そのまま料金です)は桁違いに膨らみます。
それで私は、常時稼働を目指すのはやめました。
代わりにいまやっているのは、決まった時間に自動で動く仕組みを、できるところから少しずつ増やすことです。決まった曜日に自動で走る定型処理は、すでにその形で動いています。利用量の上限が現実的に持たない、という事情もあります。
憧れていた「24時間」とは違いますが、いまの自分の規模には、こちらのほうが合っています。
ただ、自動化の範囲を決めただけでは線引きは終わりません。じゃあ普段、何を任せて何を任せないのか。ここからが本題です。
任せているのは「型が決まった反復」です
あるとき、クライアント案件でURLを100個以上QRコード化する必要が出ました。
1個ずつ変換サイトに貼るのは早々に諦めて、AIに頼んで「URLを貼り付ける→一括生成→まとめてダウンロード」までできる小さなツールを作ってもらいました。ツール自体は、AIとの1回のやりとりでできました。
さらにその先の、できあがったQRコードを1枚ずつ文書に貼り付けていく作業も、差し込み印刷と組み合わせて自動化しました。コードを作って終わりではなく、文書に流し込むところまで人手を挟まない形です。
毎月のクライアントレポートの数字まわりも同じで、進め方を手順書(作業の進め方をAIに渡せる形に書き出したもの)にして任せています。この話は昨日の記事に詳しく書いてあるので、気になる方はぜひ確認してみてください。
共通するのは、やり方が決まっていて、できあがりの正解を自分で判定できる作業だということです。ここはためらわず渡します。
線を引いているのは、3つあります
1つ目は、最後の判定。
内容の正しさが専門知識に依存する部分は、AIに自己採点で「完了」と言わせて先に進めない。必ず私の判断を通します。
たとえば、クライアントに出す数字の最終的な解釈や、専門知識がないと正誤を判定できない記述がここに入ります。
経験上、うまくいっていないときのAIほど「それらしく完了した風」の顔をします。だから、任せないというより「最後の判定だけは渡さない」という形です。判定のときに実際に何をどう確認しているかは、以前書いた検証ルールの記事にまとめています。
2つ目は、データの持ち出し。
さっきのQRコードのツールには、作るときに1つだけ条件をつけました。クライアントのURLを外部に送信しないつくりにすることです。変換は全部、手元のブラウザの中で完結します。
3つ目は、データの書き換え。
AIに対しては全体の前提として、「勝手に編集・共有・削除をしない」というルールを最初に決めてあります。逆に、ここは自由に書き換えていい、という場所も先に決めておく。
便利かどうかの前に、そのデータを渡していいのか・触らせていいのかを先に決める。ここは能力の問題ではなく信頼の問題なので、AIがどれだけ賢くなっても、この線は動かさないつもりです。
それでも、105ドル払っていました
線を引いていても、失敗はあります。
今年の7月下旬から8月にかけて、使っていたAIツールに「権限の確認に答えていないのに処理が再起動されてしまう」不具合があり、意図しない利用料が105.30ドル発生していました。期間にして約3週間。のちに不具合は修正され、影響額の2倍にあたる210.60ドルが返ってきました。
お金が戻ったので、実害はありません。それでも、自分の見ていないところで、任せた仕組みが3週間動き続けていたという事実は残ります。
任せる範囲を広げるということは、こういう「見えない動き」まで自分の管理範囲に入れるということなのだと思い知らされました。
「速くなるか」と「間違えたら誰が困るか」の両方で見る
私の線引きをまとめると、こうなります。
「任せると速くなるか」という視点に、「間違えたり漏れたりしたときに、誰がどれだけ困るか」という視点を重ねて見る。
速くなるかどうかだけで決めると、任せる範囲はどこまでも広がっていきます。だから、間違いのツケを払うのがクライアントや職場の誰かになる場所には、判定を挟むか、そもそも渡さない。両方の視点で見ていく、という方向に落ち着きました。
24時間働かせなくても、この線の内側だけで、私の毎月の実務は十分に軽くなりました。
まとめ
任せるのは「やり方が決まっていて、正解を自分で判定できる反復作業」。常時稼働ではなく、決まった時間の自動実行から少しずつ
線を引くのは「最後の判定」「データの持ち出し」「データの書き換え」の3つ
基準は「速くなるか」と「間違えたとき、誰が困るか」の両方で見る
このnoteでは、薬剤師×マーケターの私が、AIで実務を仕組み化していく過程を毎日実録で書いています。
初回の記事には自己紹介も詳しく書いてあるので、私のバックグラウンドや発信のきっかけが気になった方は、読んでもらえたら嬉しいです。
近いうちに、AIの出力を安心して仕事に使うための検証チェックリストを出す準備をしています。今日の「最後の判定」で実際に何を確認しているかを、コピペで使える形にしたものです。気になる方はフォローしてお待ちください。
明日は、noteを毎日更新して1週間の実測(スキの内訳と、外れた仮説)を全部公開します。
