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#025 その未来、何を「変わらない」と思っていますか?

未来は、変わるものだけでできているわけではありません。私たちは先を考えるとき、無意識に「これは変わらない」という前提も置いています。

その前提を残しておくと、未来から“いまの自分”を振り返ることができます。


「5年後、どうなっていたいですか?」

キャリア面談や研修で、一度は聞かれたことがあるかもしれません。

もう少し大きな仕事をしていたい。
専門性を高めていたい。
マネジメントにも挑戦していたい。

今とは違う仕事をしているかもしれない。
少し考えれば、いくつかの未来が浮かんできます。

では、もうひとつだけ質問してみます。

その5年後は、何が変わらないことを前提にしていますか?

少し、答えにくくなります。


先のことを考えるとき、何を動かしているのか

5年後の自分を考えるとき、私たちはいくつかのものを動かしています。

経験が増える。
できることが増える。
役割が変わる。
責任が大きくなる。

つまり、自分自身を「変わるもの」として見ています。

では、その周りはどうでしょう。

会社は?
組織は?

仕事そのものは?
AIやテクノロジーは?
家族は?

そして、自分が大切にしているものは?

それらも同じように、時間の中で動かしているでしょうか。

もしかすると私たちは、

自分だけを先へ動かして、世界の一部を現在に残したまま、先のことを考えているのかもしれません。


5年前、自分は何を「変わらない」と思っていたか


一度だけ、反対を向いてみます。
5年前の自分を思い出してみてください。

その頃、何が変わっていくと思っていたでしょうか。

仕事。
役職。
収入。

できること。
住む場所。

いくつかは、変わると思っていたかもしれません。

では逆に、

何が変わらないと思っていたでしょうか。

今と同じ会社で働いている。
同じような仕事をしている。

今好きなものを、これからも好きでいる。

家族との関係も、それほど変わらない。
仕事の進め方も、大きくは変わらない。

おそらく当時は、

「これは変わらない」

と意識していたわけではありません。

考えてすらいなかった。
だから、そのまま先へ持っていった。

でも今から振り返ると、
変わると思っていたのに、あまり変わらなかったものがある。

そして、

変わらないと思っていたのに、大きく変わったものもある。

私たちは先のことを考えるとき、すべてを動かしているわけではありません。

無意識のうちに、
動かすものと、動かさないものを決めています。


見通しには、見えない「前提」がある


たとえば、

「5年後には、もっと大きな組織を率いていたい」

という未来を考えたとします。

一見すると、自分自身の目標です。

でも、その未来が成立するためには、いくつもの前提があります。

今に近い形の組織がある。

人が組織をマネジメントすることに価値がある。

自分は、より大きな責任を担いたいと思っている。

仕事に使える時間がある。

会社や市場にも、その役割が必要とされている。

こうした前提の多くは、言葉にされません。

そこで、前提を二つに分けてみます。

変数
いまの自分が、これから「変わるもの」として見ているもの。

そして、

定数
いまの自分が、先を考えるために「変わらないもの」として置いているもの。

これは、何が本当に変わるのかを分類するためではありません。

大切なのは、

いまの自分が、何を変数として見て、何を定数として置いているのか。

それを見えるようにすることです。

未来を見つめる前提要素



先のことは、正確には読めない


会社がどうなっているか。
AIがどこまで仕事を担っているか。
家族との関係がどう変わっているか。
自分自身が何を大切にしているか。

正確に当てることはできません。

だから、正確な未来像を残そうとしなくていい。

残しておきたいのは、

その見通しを立てたとき、自分が何を前提にしていたのか。

予測を当てるためではありません。

時間が経って振り返ったときに、

「あのとき、自分はどんな世界を見ていたのか」

を確かめられるようにするためです。


2031年から、2026年を見る


少し時間を進めてみます。

2026年。

あなたは、

「5年後には、大きな組織を率いる仕事をしていたい」

と考えていたとします。

そして2031年。
実際には、そうなっていなかった。

目標だけが残っていれば、

「達成できなかった」

で終わるかもしれません。

でも、2026年に置いていた前提も残っていたら、見え方は変わります。

当時は、組織はもっと大きくなると思っていた。

でも実際には、AIによって少人数で仕事を進められるようになった。

当時は、マネジメントする人数が増えることを成長だと思っていた。

でも、マネジメントという仕事そのものが変わった。

そして、

自分はその仕事を望み続けると思っていた。
でも、自分自身の価値観も変わった。

そうして振り返ると、

「目標を達成できなかった」という一言では説明できなかった5年間が見えてきます。

変数として置いたものは、どう動いたのか。

そして、

定数として置いたものは、本当に動かなかったのか。

結果だけではなく、

その結果に至るまでに何が動いたのかが見えてきます。


定数も、仮説である


ここで、ひとつ見え方が変わります。

先のことを考えるとき、

「これは変わるだろう」

と考えたものがあります。

同時に、

「これは変わらないだろう」

と置いたものもあります。

でも時間が経てば、その両方を検証できます。

変数として置いたものも。
定数として置いたものも。

どちらも、

その時点の自分が、世界に対して置いていた仮説だった。

定数とは、本当に変わらないものではありません。

先のことを考えるために、
その時点では「動かない」と置いたものです。

見通しを立てるためには、定数が必要です。

すべてを変数にしてしまえば、そもそも見通しを立てられません。

だから、定数を置くことが問題なのではありません。

ただ、
定数を「事実」にしない。

先を考えるために、一時的に置いた仮説として見る。

そうすれば、それが動いたとき、

「予測を外した」

だけで終わらず、

「自分は、なぜこれを動かないと思っていたのだろう」

と振り返ることができます。


仕事の見通しと、自分の見通しは同じではない


これは、キャリアだけの話ではありません。

仕事が動く。
家族も動く。
人間関係も動く。
使える時間も動く。

そして、自分自身も動く。

それぞれが、同じ方向へ、同じ速度で動くわけでもありません。

仕事だけでなく、

事業でも。
組織でも。
暮らしでも。

何かの先を考えるとき、そこには必ずいくつもの前提があります。

すべてを予測する必要はありません。

ただ、

何が動くと思っているのか。
何は動かないと思っているのか。

一度、分けてみる。

それだけでも、自分がどんな前提の上に見通しを立てているのかが見えてきます。


未来から、いまを見る


先のことを考えるとき、私たちは「どうなるか」を考えます。

5年後、何をしていたいか。

事業はどうなっているか。
組織はどう変わっているか。

もちろん、それを考えることには意味があります。

でも、先を考えることにはもうひとつの使い方があります。

時間が経ったあとに、いまの自分を振り返るために使う。

そこに、

「5年後、部長になる」

とだけ残っているのと、

「これは変わると思っていた」
「これは変わらないと思っていた」
「だから、この見通しを持っていた」

と残っているのでは、見えるものが違います。

前者なら、目標と結果を比べられます。

後者なら、

過去の自分が、どんな世界を見ていたのかを振り返ることができます。

先のことは、正確には読めません。

だから、当たったか外れたかだけで振り返らない。

何を変数として見ていたのか。
何を定数として置いていたのか。

そして、

その定数も、当時の自分が置いた仮説だった。

そう捉えてみる。

時間が経って振り返ったとき、
見えるのは、予測の成否だけではありません。

何が変わったのか。
何が変わらなかったのか。

そして、

自分は何を「変わらない」と思っていたのか。

そこには、

そのときには気づけなかった、

過去の自分の「前提」が残っています。

前提は、全て仮説



定数も、仮説である。


先のことを考えるとき。

「何が変わるか」だけではなく、

「自分は、何を変わらないと思っているのか」

一度だけ、見てみてもいいのかもしれません。


次に読むなら

未来を考えるとき、私たちは無意識に「変わらないもの」を置いている。では、いま「正しい」と思っているものは、本当に変わらないのでしょうか。

次は、世界の変化と「正解」の時間について考えます。

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あなたの「問い」も、聞かせてください。

仕事や組織、AI、これからのこと。
まだ言葉になっていない違和感でも構いません。


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