荒川先生も数学は得意だったみたいですけど、そこはどう考えているのだろう。カントの夢を信じる先生だから、総合的な観点に立つことが多いのではないでしょうか… 一同が先生のほうに顔を向けたが、なにか考え事をしているようで… 連載 超訳プロレゴメナ 246 読書会167
第23回目の読書会(つづき)
池田幸男:
補足1の後半から、数学者イクオール哲学者ってことが古代では常識だったことがわかりました。
牧野照邦:
いまでも、そうなんじゃないのかな? ウィトゲンシュタイや、バートランド・ラッセルの思考方法は数学的なものを、感じるじゃないですか?
前島幸太郎:
でもラッセルは、数学を総合的なものとして扱うことには反対したんですね。ぼくはラッセルをよく読んでいないから、何とも言えませんが…
曽根康夫:
数学って、個々の観点で観ると分析的な個所も、十分にはあると思えます。しかし、全体の理論として見渡すとやはり総合的なものって思えてきます。特に代数構造の理論的な拡張性は、総合的ものなのではないでしょうか。
牧野照邦:
荒川先生も数学は得意だったみたいですけど、そこはどう考えているのだろう。カントの夢を信じる先生だから、総合的な観点に立つことが多いのではないでしょうか。
一同が先生のほうに顔を向けたが、なにか考え事をしているようで、今までのディスカッションの内容は、まったく掴んでいないような雰囲気だった。
そんなところに、庸介君を抱いて環さんが書斎に入ってきた。先生はこれを待つことだけに神経を集中していたのでないだろうか? 先生の表情が零れるような笑顔に変わっていた。
環さんの後からは、奥様とコトラちゃんが入ってきたが、どちらも何かが楽しくってならないってそんな感じだった。
荒川環:
ディスカッションの途中なのに悪いわね! 庸介がパパにあいたがって仕方ないものだから… パパがいない日にはこんなこと、ほとんどないのに…
先生が、環さんから庸介君を受けとって抱きかかえると、パパ、パパって嬉しそうにしている。それを観たコトラちゃんまでは先生の膝の上に乗っかってきたから、先生は危うく姿勢を崩しそうになってしまった。
その寸前で、環さんがコトラちゃんをひきとったから、何事もなく終わったけれど…
