そこのところは、すべてが納得はできてはいません… 先に行くと、自然法則も、ものじたいとしては、ア・プリオリには認識できないって書いてあるんですもの… それは自然法則が、ものの概念から独立した時点で… ア・プリオリに確立できるってことを… 連載 超訳プロレゴメナ 293 読書会編196
第29回読書会 ディスカッション
全員が先生の書斎に集まっていた。庸介君もコトラちゃんまでも… 以前にここで読書会を開催したのは3ヵ月ほど前のことになる。そこから今日の間には、読書会の仲間から3人が学舎から去っていた。それもあって、いちばん喜んでいたのは荒川先生だったのではないか?…
荒川先生:
池田君、須田君、このみ君… 君たちにこうして、じっさいに会えるのは、この読書会の存在が、大きって思えますね…
山際このみを先生が、このみ君って呼ぶのはゼミだけに限られていたはずだが、もしかしたら先生の脳裏では、ゼミが展開していたのかもしれない。だからだろう、ぼくたちのディスカッションが始まると先生は、いっさい口を利かなくなってしまった。
これこそ、かってに学生たちに議論させるあのゼミの風景だった。
曽根康夫:
14節から自然科学が対象になっていますが、16節になるとその自然科学すら踏み越えていこうとしているものが観えているのではないでしょうか?
山際このみ:
それは、超自然的なものではないってことだよね。あくまでも経験を対象にしながらも、ア・プリオリな認識ができるってことなんだよね。
桐川夢見:
今のわたしには、そこのところは、すべてが納得はできてはいません… 先に行くと、自然法則も、ものじたいとしては、ア・プリオリには認識できないって書いてあるんですもの…
前島幸太郎:
それは自然法則が、ものの概念から独立した時点でようやくア・プリオリに確立できるってことを言いたいのだろうと思います。ただしプロレゴメナでそれが明らかになるのはかなり先のことですから…
牧野照邦:
その面から観ると、プロレゴメナも一人で読んでいるだけでは、判らないところもかなりあると言えますね。だから、こうした読書会が役立つのだと思えます。
須田隆雄:
牧野さんのころは、こうした読書会もなかったわけですよね! それでどんな解決方法を取られたんのでしょうか?
牧野照邦:
荒川先生に、何度も尋ねていましたね。でも先生は、一言も答は、言ってはくれませんでした…
全員が先生を見つめだしたが、そこには穏やかな笑顔の先生がいるだけだった…
