17年間、俺は「勝てないゲーム」で努力していた。
■はじめに
俺は特別な人間じゃない。
学歴もない。
コネもない。
才能もない。
社会人になった頃の俺は、完全にのび太側の人間だった。
そんな俺に衝撃を与えたのが『ドラゴン桜』だった。
「バカとブスこそ東大へ行け」
この刺激的なセリフばかり有名になったが、俺に本当に刺さったのは、桜木建二の別の言葉だった。
「本質を見ろ」
俺はドラマを見て、マンガを全巻読み、関連本まで読み漁った。
ところが、この言葉を聞くたびに、なぜか思い出す人物がいた。
ブラック企業の社長である。
俺がいた会社の社長も、口癖のように言っていた。
「本質を見ろ」
桜木が言うと名言なのに、社長が言うと妙に腹が立つ。
なぜなら、
その会社の「本質」こそが、俺を苦しめていたからだ。
■ブラックSESの本質
俺が勤めていたのは、現場常駐型のSES企業だった。
表向きはIT企業。
もちろん、SESというビジネスそのものが悪いわけではない。
問題は、俺がいた会社では、
「頑張った人が報われるゲーム」になっていなかったことだ。
現場でどれだけ評価されても、給料はほとんど上がらない。
資格を取っても上がらない。
成果を出しても上がらない。
俺は何度も、
「もっと頑張れば評価される」
と思っていた。
同期には、手取り14万円で10年勤めている人もいた。
真面目だった。
仕事もできた。
それでも給料は、ほとんど変わらなかった。
「そのうち評価されるだろう」
俺も、昔はそうだった。
今なら分かる。
足りなかったのは、努力ではない。
ゲームのルールを見る視点だった。
■17年間、勝てないゲームで努力していた
俺は給料の安さに我慢できなかった。
国家資格も取った。
仕事でも成果を出した。
昇給交渉もした。
何度も社長に話をした。
それでも、ほとんど何も変わらなかった。
最後の方には、上がる株の情報や、100万円以上する経営塾の内容まで教えてやった。
もちろん無償で。
今思えば、笑える。
攻略本を相手に渡して、自分は何も受け取っていなかった。
それでも、俺はまだ努力していた。
「もっと頑張れば、いつか変わる」
そう思っていたからだ。
でも、ある時ふと思った。
待てよ。
努力が足りないんじゃない。
そもそも、
このゲーム、俺が勝てるルールになっているのか?
そこで、初めて立ち止まった。
■努力する前に、ゲームを選べ
多くの人は、
「もっと頑張れば人生は良くなる」
と思っている。
俺もそうだった。
もちろん、努力は必要だ。
でも、
努力だけでは、どうにもならないこともある。
将棋で勝ちたいのに、ずっとオセロを練習していたら勝てない。
野球で結果を出したいのに、サッカーの練習をしていても意味がない。
人生も同じだ。
頑張る前に、
どのゲームで戦うのか。
これを考える必要がある。
俺が17年間やっていたのは、
「会社に評価されて給料をもらうゲーム」
だった。
だったら、会社の評価を待ち続けるのではなく、
別のゲームに移ればいい。
そう考えるようになった。
■桶狭間、決行
俺は投資の勉強を始めた。
『金持ち父さん 貧乏父さん』を読み、金融本を読み漁った。
最初は日本株。
その後、アメリカ株へ移った。
そして、当時のGAFAクラスの企業へ集中投資していった。
もちろん怖かった。
何度も失敗した。
簡単に勝てたわけでもない。
それでも、少しずつ考え方が変わっていった。
会社から給料をもらうだけが、人生のゲームじゃない。
これに気づいた。
俺は信長ではない。
そもそも兵もいない。
でも、考え方だけは桶狭間だった。
信長が大軍を正面から相手にしなかったように、
俺も、
勝てない場所で、根性を出すのをやめた。
会社員ゲームで社長に勝とうとするのをやめた。
評価されるのを待つのをやめた。
努力の量だけで勝負するのをやめた。
戦場そのものを変えた。
その後、資産は増えていった。
そして最終的に、俺はFIREした。
人生、本当に何が起こるか分からない。
■最後の退職面談
退職を伝えた時、社長は少し悔しそうな顔をしていた。
そして、
「また来たかったら来てくれ」
と言った。
俺は笑顔で答えた。
「はい」
もちろん、大人の返事である。
戻るつもりはなかった。
17年間、俺はそのゲームを攻略しようとしていた。
でも最後にやったことは、
そのゲームからログアウトすることだった。
不思議なことに、その時には怒りも恨みもほとんど消えていた。
もう勝負が終わっていたからだ。
■まとめ
俺は、能力が高かったわけじゃない。
才能があったわけでもない。
ただ、17年間かけて一つのことに気づいた。
努力が足りなかったんじゃない。
俺は、勝てないゲームで努力していただけだった。
もちろん、努力は大切だ。
でも、その前に考えたい。
その努力は、どのゲームで使っているのか?
もし今、
「こんなに頑張っているのに、人生が変わらない」
と思っているなら、
もっと頑張る前に、一度立ち止まってみてほしい。
そもそも、そのゲームを続ける必要があるのか?
ゲームを変える。
戦う場所を変える。
ルールを変える。
それだけで、今まで「才能がない」と思っていた人間でも、見える景色が変わることがある。
俺は17年間、それに気づかなかった。
でも、気づいた瞬間から人生が動き始めた。
人生は、努力のゲームじゃない。
どのゲームで戦うかを選ぶゲームなのかもしれない。
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