人生が変わらない人は、努力不足じゃない。現状確認不足だ。
はじめに
17年間、俺はちゃんと働いていた。
サボっていたわけじゃない。
32歳で未経験からIT業界に入り、客先常駐のエンジニアとして働いた。
夜勤もした。
案件もこなした。
言われた仕事もやった。
それなりに勉強もした。
でも、
人生が良くなっている感じがしなかった。
毎朝起きる。
会社に行く。
仕事をする。
帰る。
寝る。
そして、また翌日。
「今日も一日終わった」
それだけで満足していた。
別に不幸ではない。
生活もできている。
大きな問題があるわけでもない。
なのに、どこかモヤっとする。
「俺、このままでいいのか?」
そんな感覚だけが残っていた。
今なら分かる。
俺に足りなかったのは、努力じゃなかった。
現状確認だった。
今日はそんな話をする。
俺は「現在地」を見ないまま17年間走っていた
今考えると、かなり不思議だ。
17年間も働いていたのに、
「俺は今、どこにいるんだ?」
を一度も真剣に考えなかった。
自分のスキルがどれくらい増えたのか。
資産がどれくらい増えたのか。
これから何を伸ばせばいいのか。
そんなことを、ちゃんと数字にしたことがなかった。
ただ毎日をこなしていた。
仕事で嫌なことがあれば、
「まあ、明日頑張ればいいか」
と思う。
将来が不安になれば、
「もっと勉強しないとな」
と思う。
お金が心配になれば、
「もっと稼がないとな」
と思う。
でも、
「じゃあ、今の俺は実際どこにいるんだ?」
とは考えなかった。
これが俺の失敗だった。
努力しているのに、なぜか前に進まない
当時の俺は、
「もっと努力すれば人生は変わる」
と思っていた。
だから勉強する。
資格を取る。
仕事をする。
新しい技術を覚える。
それでも、モヤモヤは消えない。
今なら、その理由が分かる。
現在地が分からないまま、努力していたからだ。
地図を持たずに山を登っているようなものだった。
一生懸命歩いている。
汗もかいている。
足も痛い。
だから、
「俺はこんなに頑張っている」
と思う。
でも、
どこに向かっているのか分からない。
そりゃ、疲れる。
俺は「何も持っていない」と思い込んでいた
そんな俺が変わり始めたのは、資産を数字で確認したときだった。
証券口座を見る。
銀行口座を見る。
全部を足してみる。
すると、
「あれ?」
と思った。
思っていたより、積み上がっていた。
俺はずっと、
「まだ足りない」
と思っていた。
でも、実際に数字を並べてみると、
「何もない」
わけではなかった。
仕事も同じだった。
クラウド。
Kubernetes。
コンテナ。
17年間の現場経験。
昔の俺にはなかったものが、ちゃんと積み上がっていた。
もちろん、足りないものもある。
でも、それ以上に驚いた。
俺は、
持っていない人間だったのではない。
持っているものを数えていなかっただけだった。
ここは大きかった。
俺は「足りないもの」ばかり見ていた
人間は面白い。
ないものは、よく見える。
あるものは、見えなくなる。
もっとお金が欲しい。
もっとスキルが欲しい。
もっと自由になりたい。
もっと良い会社に行きたい。
もっと勉強しないといけない。
そんなことばかり考えていた。
でも、
「俺は今、何を持っている?」
とは考えなかった。
だから、いつまで経っても満たされない。
体重計に乗らず、
「最近太った気がする」
と言っているようなものだ。
数字を見れば一発で分かる。
増えたのか。
減ったのか。
変わっていないのか。
人生も同じだった。
PDCAが嫌いだった理由
だから昔の俺は、PDCAという言葉もあまり好きじゃなかった。
会社の目標管理シート。
上司に提出する計画書。
「またPDCAかよ」
そんな感じだった。
でも、今なら分かる。
俺が嫌だったのはPDCAじゃない。
現在地を確認せず、いきなり計画を作ることだった。
『鬼速PDCA』を読んだとき、
「なるほどな」
と思った。
計画を立てる前に、まず現状を見る。
当たり前の話なのに、俺はそれをやっていなかった。
目的地だけ決めて、
「さあ、頑張ろう」
と言っていた。
そりゃ迷う。
桶狭間の信長を見て、ふと思った
1560年、桶狭間。
織田信長は、圧倒的に不利な状況から今川義元を討った。
俺がこの話を好きなのは、
「少ない兵で大軍に勝った」
という話だからだけじゃない。
戦いは、勢いだけでは勝てない。
相手がどこにいるのか。
自分がどこにいるのか。
まず見る。
そこから次の一手を決める。
これって人生も同じじゃないか。
俺たちは、
「もっと頑張らなきゃ」
とは簡単に言う。
でも、
「今の俺はどこにいる?」
とは、あまり考えない。
俺も17年間、そうだった。
そして、FIREした
その後、俺はFIREした。
2024年12月。
17年間続いた会社員生活を終えた。
ここまで来て、ようやく思った。
「俺、ずっと走ってたんだな」
会社員の頃は、
会社を辞めたい。
もっと自由になりたい。
お金を増やしたい。
そんなことばかり考えていた。
そして、FIREという一つのゴールにたどり着いた。
でも、FIREしたら全部終わるわけじゃなかった。
むしろ逆だった。
会社という「強制的に進ませてくれる仕組み」がなくなった。
朝、会社に行く必要もない。
上司から目標を与えられることもない。
何をするのも自由。
そこで初めて気づいた。
自由になると、自分で現在地を確認しなければならない。
FIREしても、俺はまた迷った
FIREしたら、やりたいことが次々出てくる。
そんなイメージを持っていた。
でも、実際はそうでもなかった。
「で、これから何する?」
また、この問題が出てきた。
会社員時代とは違う。
今度は時間がある。
お金もある程度ある。
自由もある。
それなのに、
「俺は何をしたいんだ?」
となる。
ここでも必要だったのは、
新しい目標を無理やり作ることじゃなかった。
今の自分を見ることだった。
何をしているときが楽しいのか。
何に時間を使っているのか。
何をやると疲れるのか。
何をやると、また明日もやりたくなるのか。
会社員時代とは、確認する項目が変わっただけだった。
17年間の失敗から、やっと分かったこと
俺は17年間、
「もっと努力しなきゃ」
と思っていた。
でも、本当は違った。
努力が足りなかったわけじゃない。
自分がどこにいるのか分からないまま、努力していた。
これでは、頑張っているのに実感がない。
だからモヤモヤする。
そして、さらに努力する。
でも、またモヤモヤする。
このループに入っていた。
今なら分かる。
人生を変えるために、最初に必要なのは、
新しい資格でもない。
新しい仕事でもない。
新しい目標でもない。
まず、
「俺はいま、どこにいる?」
と確認することだった。
そして、もう一つ。
「俺は何を持っている?」
と確認することだった。
人生は「足す」前に「見る」
俺たちは、すぐに何かを足そうとする。
もっと勉強する。
もっと働く。
もっと稼ぐ。
もっと貯める。
もっと挑戦する。
でも、その前に一度立ち止まってみる。
今の自分を見る。
これまで積み上げてきたものを見る。
意外と、
「俺、結構やってきたじゃん」
と思うかもしれない。
俺がそうだった。
17年間を振り返って、
「何も変わっていない」
と思っていた。
でも、数字と経験を並べてみたら違った。
ちゃんと積み上がっていた。
ただ、
俺自身が、それを見ていなかった。
だから、もし今、
「頑張っているのに人生が変わらない」
と思っているなら、
もう少し頑張る前に、一度立ち止まってみてほしい。
「俺はいま、どこにいる?」
「俺は何を持っている?」
これだけでいい。
努力をやめる必要はない。
ただ、
努力する前に、現在地を見よう。
17年間、現在地を見ずに走り続けた俺からすると、
それだけで人生の見え方は、かなり変わる。
そしてたぶん、
人生を変える最初の一歩は、前に進むことじゃない。
立ち止まって、自分を見ることなのだ。
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