夕食後の散歩がなぜ効くのか、続けたら夜の過ごし方が変わった話
夕食のあと、なんとなくダラダラしてしまい、そのまま時間が過ぎてしまうことってありませんか?食べた後に動かないと消化に悪かったり、食べたものが脂肪になりやすいんじゃないかと気になって、夕食後の運動について改めて調べてみました。この記事では、夕食後の散歩がなぜ体にいいのかについてお伝えします。
夕食後、動けなくなる自分がいた
夕食が終わるとだらっと座ってしまう夜が続いていて、そのままスマホでYouTubeを見始めると、もう立ち上がるのがしんどくて、お風呂に入るのもだんだん面倒に感じられてくるんです。
食べてすぐダラダラしていると、消化にも悪いし脂肪にもなりやすいことは、自分でもよく分かっていました。私は昔、糖尿病の専門外来で栄養指導を担当していたとき、主治医が患者さんに「食後は歩いてください」と何度も言っていて、私も同じことを患者さんに伝えていたんです。それなのに、今の自分が夕食後に動けなくなっているのは、よくないなと思っていました。
かといって夕食のあとに本格的な運動をする気になりません。せめて散歩くらいならできるかな、と思って調べてみると、夕食後のタイミングが、1日のなかでいちばん効きやすい時間だったんです。
1日3食のなかで、夕食後がいちばん血糖が上がりやすい
食事をすると血糖値が上がります。上がった血糖を筋肉に取り込ませて下げるのがインスリンの役目で、筋肉で使いきれなかった分は脂肪として蓄えられます。
その血糖が1日のなかで夕食後にいちばん上がりやすいのには、3つの理由が重なっています。
1つ目は、夕食が1日でいちばんしっかり食べる時間帯になりやすいことです。朝食は忙しくて軽めに、昼食は仕事中なのでさっと済ませ、その分、夜は家族とゆっくり食卓を囲んで食べる、というご家庭も多いかもしれません。
2つ目は、夕食のあとが1日でもっとも座って過ごす時間になりやすいことです。血糖を受け取ってくれる筋肉の出番が少ないので、血糖が使われず上がったままになってしまいます。
3つ目は、年齢とともに血糖を処理する力が変わることです。年齢を重ねると、若い頃と同じものを食べていても食後の血糖値が上がりやすくなることが分かっています※1。これは年齢そのものより、年齢とともに体脂肪、とくに内臓脂肪が増えることの影響が大きいようです。それに加えて、血糖を受け取ってくれる筋肉が小さくなると、若い頃と同じだけインスリンが出ても血糖の行き先が減って、下がりにくくなります。だから「もう年だから仕方ない」ではなくて、筋肉を減らさず、筋肉に血糖を使ってもらえば対策できるということです。歩くことは、筋肉に血糖を使ってもらういちばん手軽な方法です。しかも筋肉は、動いている間はインスリンがなくても血糖を取り込めるので、インスリンの効きが鈍っていても、食後に歩けばその分の血糖は筋肉に入っていきます。
2型糖尿病の方41人を対象にした研究では、1日30分まとめて歩くより、毎食後に10分ずつ歩くほうが食後の血糖の上がり方が抑えられ、なかでも夕食後は約22%抑えられて、改善がいちばん大きかったと報告されています※2。
だんだん、歩くのが心地よくなってきた
私が夕食後に歩こうと思ったけど、最初は面倒くさかったんです。ご飯を食べたばかりで動きたくないですし、ダラダラしていたほうが楽です。それでも、近所のコンビニまで往復したり家の周りを1周する5〜15分、しっかり歩く時は30分と、とりあえず続けてみました。すると、だんだん体が慣れてきて、食後にちょっと歩くと、地面からのリズミカルな振動を感じて心地よかったり、消化が促されているように感じられるようになってきました。
以前、車椅子の患者さんが「できるだけ外に出かけるようにしてる。そうすると車椅子からの振動で腸が動いて便秘にいい」とおっしゃっていたんです。歩くという振動そのものがお腹にいいんだろうな、と当時感じていたことが、食後に歩き始めて再確認できた気がしました。
寝る直前の激しい運動は逆に目が覚めてしまうので避けたほうがいいと言われていますが、夕方や夜の軽い運動は、就寝の2〜4時間前までなら睡眠に良い方向に働くようです※3。
雨の日はもちろん歩けませんし、疲れすぎている日は無理をせずストレッチだけにすることもあります。それでも、しっかり歩けた日はなんとなく充実感があるので、また歩きたくなるんです。
1日のうちで血糖が上がりやすい夕食後の時間に、一緒に試してみませんか。
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参考文献
※1 Basu R, Breda E, Oberg AL, Powell CC, Dalla Man C, Basu A, Vittone JL, Klee GG, Arora P, Jensen MD, Toffolo G, Cobelli C, Rizza RA. (2003) "Mechanisms of the age-associated deterioration in glucose tolerance: contribution of alterations in insulin secretion, action, and clearance." Diabetes 52(7):1738-1748. https://doi.org/10.2337/diabetes.52.7.1738
※2 Reynolds AN, Mann JI, Williams S, Venn BJ. (2016) "Advice to walk after meals is more effective for lowering postprandial glycaemia in type 2 diabetes mellitus than advice that does not specify timing: a randomised crossover study." Diabetologia 59(12):2572-2578. https://doi.org/10.1007/s00125-016-4085-2
※3 厚生労働省 (2024) 「健康づくりのための睡眠ガイド2023」p.28-29
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