【登山×トレーニング】ジム通いはマッチョになるため? 4つの段階で考える、大人のための「正しい体力作り」と罠
1. はじめに:いきなり「走る・鍛える」が引き起こすケガ
こんにちは、シュガーです。
前記事では加齢による体力と動きの記憶のずれや、トレーニングの必要性を制つめいしました。
「体力が落ちてきたから、明日から毎日5km走ろう!」 「さっそくスクワットを100回やってみよう!」
もしあなたが今、そう思い立って急に動き出そうとしているなら、ちょっと待ってください。
長年運動から遠ざかっていた大人の体は、関節が硬くなり、筋肉も落ちています。
そこにいきなり強い負荷をかければ、筋肉がつく前に関節や靭帯が耐えきれず、ケガをしてしまいます。
実は、トレーニングには明確な「4つの段階」と、それぞれに合った「手段」があります。
今回は、大人が陥りがちなトレーニングの落とし穴と、安全に体力をつけるためのステップを分かりやすく解説します。
2. 第1段階:最低限の体力作り(土台作り)
最初のステップは、重いものを持ち上げたり、激しく走ったりすることではありません。
「トレーニングという運動自体に耐えられる、関節や靭帯の土台を作ること」です。
【落とし穴:トレーニングには「体力」が必要】
長時間のデスクワークや車移動に慣れきった体は、足首や股関節の動く範囲が極端に狭くなっています。
体を鍛えるための「最低限の体力や柔軟性」がない状態で走り出すから、膝や腰を痛めるのです。
【おすすめの手段】
まずは「ウォーキング」や「ラジオ体操」「入念なストレッチ」から始めてください。
息を上げるのではなく、サビついた関節を滑らかにし、体全体に「これから動かすぞ」と教え込む準備期間です。 ここを絶対に焦ってはいけません。
3. 第2段階:体のバランス補正
関節が動くようになったら、次は「歪みの修正」です。
日常生活の座り癖や、過去のケガをかばう動きによって、人間の体は自分が思っている以上に左右の力のバランスが崩れています。
【落とし穴:自重トレーニングでは直せない】
自宅で手軽にできる「腕立て伏せ」や「自分の体重で行うスクワット」から始める人は多いです。
しかし、自分の体重(自重)のトレーニングで、体の歪みに気づき、バランスを整えるのは非常に困難です。
人間の体は賢いため、右脚が弱っていれば、無意識に左脚を強く踏み込んでカバーしてしまいます。
軽い負荷ではこの「ごまかし」に気づけず、歪んだバランスのまま筋肉をつけてしまう危険があります。
【おすすめの手段:ジムの活用】
体のバランスを整えるには、動きが固定されている「ジムのマシン」やインストラクターの指導の下フリーウエイトを使うのが一番の近道です。
強制的に正しい姿勢で、左右均等な負荷をかけることで、弱っていた側の筋肉をあぶり出し、正しくバランスを整えることができます。
もちろん、ジムには「毎月の会費(金銭面)」や「わざわざ外出する手間」というデメリットがあります。
しかし、体のリバランスという目的においては、正しい軌道を作るための「機材」が必須です。
自重トレーニングで間違った癖をつけたり、歪みが原因でケガをして病院通いになるリスクを考えれば、安全かつ効率的に体を直せるジムの費用対効果は非常に高いと言えます。
4. 第3段階:負荷に耐える「絶対量」の増加
体のバランスが整ったら、いよいよ登山という厳しい環境に耐えられるよう、筋力の最大値を引き上げる段階に入ります。
自重トレーニングでも筋肉の最大量増加はできなくないですが、どうしても低負荷になりがちなため、回数や時間を長く必要としてしまいます。
そのため、ここでもジムにあるバーベルなどを使ったトレーニング(フリーウエイト)が絶大な効果を発揮します。
マシントレーニングと違い、フリーウエイトは不安定なバーベルを支える為に全身を満遍なく鍛えることができます。
【落とし穴:ジム通いは継続が難しい】
体を鍛える上で、ジムは最高の環境です。 しかし、最大の落とし穴は「生活環境の変化」にあります。
転勤、結婚、子供の誕生、仕事の多忙化など。 大人であれば、「週に数回、決まった時間にジムに通う」という時間を確保するのが突然難しくなることは、頻繁に起こります。
【それでも行く意義:資産として残るマッスルメモリー】
「どうせ通えなくなるなら、最初から行かない方がマシか?」というと、そうではありません。
第2段階の「バランス補正」と第3段階の「筋力増加」をジムでしっかりと行っておけば、それは「マッスルメモリー(筋肉の記憶)」として体に刻まれます。
たとえジムを辞めて一時的に体力が落ちてしまっても、一度正しい体の使い方と筋肉のベース(資産)を作っておけば、後から再開した時に、驚くほど早く元の状態に戻すことができるのです。
5. 第4段階:維持と状況把握
筋力を引き上げたら、最後はその体力を「維持」し、今の自分の状態を把握し続けるフェーズです。
ジムに通えなくなっても、ここだけは自力で続けなければなりません。
【落とし穴:有酸素運動の罠】
「体力を維持するために、毎日家の近所を同じペースで5kmジョギングしよう」
これは健康には素晴らしいことですが、登山の体力維持としては「省エネ化の罠」に陥ります。
人間の体は、同じ動き(有酸素運動)を繰り返すと「いかに少ない筋肉とエネルギーでこの距離を走るか」という効率的な動きを覚えてしまいます。
結果として、毎日走っているのに筋肉への刺激はどんどん弱まり、体力の最大値はジリジリと下がっていくのです。
【おすすめの手段】
ジムや天候、長時間の確保に依存せず、短時間で心肺機能と筋力をテストできる「HIIT(高強度インターバルトレーニング)」などの方法がとても便利です。
「20秒全力で動いて10秒休む」を繰り返すようなHIITは、自宅のわずかなスペースでも、数分で心拍数を限界まで引き上げ、筋肉に強い負荷をかけることができます。
これにより、短時間での体力維持だけでなく、体に「自分の現在の最大体力」を正確に認識させることができます。
6. おわりに:環境の変化に柔軟に対応しよう
トレーニングとは、ただがむしゃらに汗を流すことではありません。
初期の土台作りで体を慣らし、
マシンでバランスを補正し、
重い負荷で筋力を増やし、
効率化の罠を避けながら、HIIT等で維持と確認を行う。
ジムという最高の環境を利用して体に「資産」を作りつつも、それに依存しすぎないこと。
生活が変わっても、その時に使える最適な手段(ストレッチ、HIIT、日々のちょっとした運動)を選べる柔軟さを持つこと。
それこそが、ケガなく、一生涯にわたって安全に山を楽しむための、正しいトレーニングの考え方です。
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