掌編|【箕面線のすぐ側で】深夜の伏見桃山駅から
大学二年生の
秋の終わりのことだった。
恋人と別れた直後、
そのまま、深夜の駅のホームから
ゼミの男友達に、電話を掛けた。
受話器は冷たくて、
言葉も纏まっていなかっただろう
その電話を
彼は、言葉少なに、
じっと、聴いてくれていた。
そして、ため息混じりにこう言った。
「もうそろそろ、帰りーや。」
まろび落ちるように、
最終近くに滑り込んできた
ツートンカラーの電車に乗った。
ぼうっと車窓を眺めた
その夜の後、
彼は少しだけ
特別な人になった。
大学を卒業する頃
彼は、電話越しに
少し思い詰めたような声で、こう言った。
「もう、友だちと、思ってへんねん。」
あれからの日々を
裏切られていたのだと感じた。
酷い言葉を投げつけて
彼との最後の電話を切った。
彼からの電話には、
そのまま、二度と出なかった。
彼とはそれっきりだけど
夫から、後で聞いた。
あなたが、夫にまで
電話を掛けてきたことを。
きっと、もう、
笑い話になるけれど
もしも会えたら、
一言言わせてな。
「あのときは、
ほんまに、ごめん。」
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あの頃の私が過ごした、幾つもの夜を。
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