掌編|【ちーちゃん】ちーちゃんとゆうちゃん
ゆうちゃんは
私の5歳下の妹だ。
我が妹ながら
彼女は
とても可愛らしい赤ちゃんだった。
色が白くて
眼が大きくて
髪や瞳は薄めの茶色。
私は
可愛いぬいぐるみを
手に入れたような
そんな気持ちになった。
そんなゆうちゃんは
静かに育っていった。
少し大きくなったゆうちゃんは
和室で
スーパーファミコンをしている。
彼女は
三国志をプレイするのが
抜群に上手かった。
武将が好きというより
領地経営が好きなのだ。
彼女の用意周到な国の育て方に
私はいつも舌を巻いた。
得意だった中国史を思い返してみても、
彼女のやり方は
間違いなく王道だった。
いつも中華統一に
3代かかってしまうのが
彼女の唯一の弱点
だったけれど。
更に大きくなったゆうちゃんも
静かな女の子のままだった。
「また、河原に行くの?」
悲しいことがあると
家のすぐそこの土手を越えて
加古川の河川敷に向かう私に
いつも黙って
ついて来た。
私の足元が
石の埋まったコンクリートに差し掛かると
ゆうちゃんはいつも
気配を消した。
だんだん、空が暗くなる。
そうして初めて
「そろそろ帰ろう」
と彼女は
私に声を掛けた。
すっかり
中洲の親子の様子まで
見えるようになった私は
「お腹空いたね」
と言って
川に浸していた足を
ついっ、と引き抜いて、
呑気に
家路に着いたのだった。
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