掌編|【ちーちゃん】ちーちゃんとケンタ
私のアルバムの中には
可愛い男の子がいる。
愛情をたっぷり浴びて育った、
そんな顔をしている。
私を座椅子がわりにして
戯けた顔で
ピースサインをした、
青い服の男の子。
そんなケンタに
初めて会ったのは
彼が三歳のときだった。
叔母の初孫で
よく叱られていた。
セロハンテープの貼られたサイコロで
夕飯の後、双六をした。
ケンタはまだ三つだったけれど
丸で数を示すサイコロだったので
私は
それを二個使って
ケンタに足し算をさせて遊んだ。
ケンタは意外に
食いついてきた。
負けそうになると
やめようとしたり
ルールを変えたがるので、
叔母に
しょっちゅう叱られながら、
ケンタと私は
双六をした。
「ケンタ、明日は
ちーちゃんの見送りに行こうか」
叔母がそう言うと
ケンタは
「行かない」と言った。
ケンタは、じいっと
双六の盤を見つめて
呟くようにこう言った。
「ちーちゃん、
帰っちゃ嫌だ」
一途な声だった。
私は
胸を
掴まれたような気がした。
ケンタに最後に会ったのは
彼が12歳のときだった。
「どうして僕だけ呼び捨てなの?」
そう言われてしまったので
「じゃあ、ケンタくん?」
と私が言ったら
「やっぱり、ケンタでいい。」
恥ずかしそうに
彼はそう言った。
12歳のケンタも
やっぱりとても可愛かった。
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大事な思い出を、こちらにも。
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▶ちーちゃんとゆうちゃん
▶ちーちゃんとおかーさん
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