寺田和代「本と歩く アラ還ヨーロッパひとり旅」 第5回 イタリア・ナポリ篇(1)
←寺田和代「本と歩く アラ還ヨーロッパひとり旅」マガジン topへ
←寺田和代「本と歩く アラ還ヨーロッパひとり旅」総目次へ
←けいこう舎マガジンtopへ
(1)来たよ、ナポリ!

2024年10月21日、朝10時。
南イタリア、ブーツ型のヒール先っぽ、中世バロック建築の美都レッチェを発ったバスはヒールを左斜め上に突っきり、6時間後の予定到着時刻5分前、午後3時55分にはナポリのバスターミナルに滑り込んだ(ここまで「本と歩くアラ還ヨーロッパひとり旅 vol.4イタリア・プーリア篇」)。
もう着いちゃったの、とドライバーさんに軽口を叩きたくなるほど快適な道中だった。トイレを含めた車内の清潔さ、Wi-fiの強さ、時間の正確さなどいずれもここ数年に乗車した自国の高速バスと遜色ないか、上。
私のような旧世代は、自国の公共交通機関の安全性や正確さは世界に冠たるものーー最近はまるでダメにもかかわらずーーという古い幻想が頭にこびりつき、に比べてイタリアのような“ゆるい”国は……との誤った認識をなかなか更新できない。時代なんてあっという間に変わるのに。
来たよナポリ!
気分が高揚し、ターミナルの雑踏に目も心も奪われながら乗降口を降りた途端、そこにぽっかり空いた水たまりにパシャッと落ちてしまった。国際バスターミナルの乗降口に、まさかこんなに大きな穴が補修もされずに!?
靴は濡れ、パンツの裾は汚れたけど、これぞナポリ、という気分にも。すっかり洗練された古い友に晩年に至ってようやく会え、その顔に昔と変わらぬ面影を見つけたような。
←寺田和代「本と歩く アラ還ヨーロッパひとり旅」マガジン topへ
←寺田和代「本と歩く アラ還ヨーロッパひとり旅」総目次へ
←けいこう舎マガジンtopへ
*ヘッダー写真:ナポリの全景
*****
【著者プロフィール】
寺田和代(てらだ・かずよ)
立命館大学卒業後、会社員を経てフリーライター・エディター。
女性誌、文芸誌、総合誌などの取材・執筆、単行本の企画・制作に携わる一方、2000年に社会福祉士資格を取得し、高齢者介護の分野でも取材活動を続ける。
単著に、長年の欧州ひとり旅の経験を元に中高熟年女性が安全・リーズナブル・自分らしく海外ひとり旅を楽しむガイドブック『Soliste[ソリスト]おとな女子ヨーロッパひとり旅』『Soliste[ソリスト]おとな女子ヨーロッパひとり歩き』(ともにKADOKAWA)ほか、最新刊『きらいな母を看取れますか? 関係がわるい母娘の最終章』(主婦の友社)


『Soliste[ソリスト]おとな女子ヨーロッパひとり歩き』(ともにKADOKAWA)

共著『〈記憶の継承〉ミュージアムガイド』皓星社
*****
このページの文章・写真の著作権は著者(寺田和代)に、版権は「編集工房けいこう舎」にございます。無断転載はご遠慮くださいませ。
もちろん、リンクやご紹介は大歓迎です!!(けいこう舎編集部)
