
AIで作った画像が刷るとぼやける|A4に要るピクセル数と文字を載せる順番
AIで作った絵を、A4のチラシの全面に使うことにしました。
画面で見るかぎり、細部までよく描けています。
印刷会社に入稿すると、連絡が来ます。
解像度が足りません、という内容です。
試しに自社のプリンターで出してみると、たしかに輪郭がにじんでいます。
画面では分かりませんでした。
AI画像は、画面と紙で必要な数字が違います。
そして、その数字は頼む前に計算できます。
この記事では、AIで作った画像を印刷に回す前に確かめることを4つ扱います。
ピクセル数、色、文字、透過です。
先に、調べていていちばん意外だったことを2つ書いておきます。
1つ目は、AIの出力の既定が、いちばん小さい段階だということです。
公式の資料に、既定は1Kで、2Kや4Kは指定して出すものだと書かれています。
何も指定しなければ、A4の全面にはまったく足りない大きさで出てきます。
2つ目は、AIが文字をフォントから呼び出していないことです。
そういう形の模様として描いています。
だから、似ているけれど存在しない漢字が出ます。
この記事は、アドビの日本語の解説「画像データを構成する要素の基礎知識」と、Googleの画像生成の資料をもとに、2026年9月時点の内容にしています。A4などに必要なピクセル数は、解説にある定義から計算したものです。
解像度は、1インチの中に何個並ぶかの密度
言葉の意味から
まず言葉の整理からです。
アドビの日本語の解説に、こう書かれています。
1インチ(2.54cm)の中に、どの程度の密度でピクセルが集まっているのかを表すのが「画像解像度」です。ppi(ピクセル・パー・インチ)もしくはdpi(ドット・パー・インチ)で表され、前者はデジタル画像そのものの解像度の単位、後者は画像を印刷物にする際に用いられる解像度の単位です。
1インチの中に何個の点が並ぶか、という密度の話です。
画像の大きさそのものではありません。
同じ解説に、印刷に必要な密度も書かれています。
印刷に適した画像解像度は、一般的に300〜350dpiとされています。
大判については、別に書かれています。
解像度は300~350dpiが一般的ですが、ポスターなどの大判印刷の場合は離れた位置から見られることが前提なため、解像度200dpi以上とされています。
離れて見るものは、密度が低くてよい、ということです。
画面用は、桁が違う
同じページの「ワンポイントアドバイス」には、画面用の基準が書かれています。
Webに使用する画像は、長辺2000px以上、72~100ppiを基準に作成します。
その理由も書かれています。
長辺を2000pxとする理由は、一般的なPCモニターの画面サイズが「1920px × 1080px」であるため、その長辺をカバーするためです。
画面は1920ピクセルを埋めれば足ります。
紙は、そうはいきません。
A4に必要なピクセル数は、印刷を頼む前に出せる
ミリを25.4で割って、350を掛ける
ここから計算です。
難しくありません。
A4は210ミリ×297ミリです。
1インチは25.4ミリなので、A4の短辺は約8.27インチ、長辺は約11.69インチになります。
これに350を掛けます。
短辺が約2894、長辺が約4093。
つまりA4の全面に350dpiで敷くには、およそ2894×4093ピクセルの画像が要ります。
同じ計算で、よく使う大きさを出すとこうなります。
A3(297×420ミリ) およそ4093×5787ピクセル
A4(210×297ミリ) およそ2894×4093ピクセル
はがき(100×148ミリ) およそ1378×2039ピクセル
名刺(91×55ミリ) およそ1254×758ピクセル
A2ポスター(420×594ミリ) 200dpiなら、およそ3307×4677ピクセル
この計算は、電卓があれば誰でもできます。
ミリを25.4で割って、350を掛ける。
それだけです。
解像度が足りませんと言われたときに、何ピクセルあればよかったのかを自分で出せると、話が早くなります。
AI画像の既定は1K。A4の全面には足りない
指定しないと、いちばん小さいもので出てくる
では、AIは何ピクセルの画像を出すのか。
Googleの画像生成の資料に、こう書かれています。
高解像度出力: 1K、2K、4K のビジュアルを生成する機能が組み込まれています。
そして、既定についても書かれています。
Gemini 3 画像モデルはデフォルトで 1K 画像を生成しますが、2K、4K、512 ピクセル(0.5K)(Gemini 3.1 Flash Image のみ)の画像を出力することもできます。
既定は1Kで、大きいものは指定して出す、という形です。
モデルによって、使える段階も違います。
Gemini 3.1 Flash-Lite Image は 1K 解像度のみをサポートしています。
0.5Kが512ピクセルと書かれているので、1Kはおよそ1000ピクセル、4Kはおよそ4000ピクセルと読めます。
この読み方は、資料に明記されているものではありません。
ここで前の節の数字と突き合わせます。
A4全面に必要なのは長辺およそ4093ピクセルでした。
1Kのままで作った画像は、まったく足りません。
4Kを指定して、ようやく近い線に届きます。
つまり、同じ「AIで作った絵」でも、どの設定で作ったかで、使える大きさが変わります。
担当者に聞くべきは「何で作ったか」ではなく「何ピクセルで出したか」です。
小さく作って引き伸ばしても、戻らない
後から拡大しても、失われた細かさは戻りません。
引き伸ばすと、輪郭がにじみます。
冒頭の状態がこれです。
大きく使う予定があるなら、最初から大きく出します。
色は、画面と紙で作り方が違う
刷ってから気づくものが、もう1つあります。
色です。
同じアドビの解説に、2つの方式の説明があります。
CMYKとは、色の三原色「C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)」に「K(黒)」を足した4色で画像の色を表現する方法です。
RGBとは、光の三原色「R(赤)、G(緑)、B(青)」を指します。PCのモニター、デジタルカメラ、スキャナーなどのデジタル機器はこのRGBカラーで表現されています。
画面は光で色を作り、紙はインクで色を作ります。
作り方が違うので、出せる色の範囲も違います。
そして、こう書かれています。
Webの世界ではスタンダードとなっているsRGBですが、印刷目的ではカバーしきれない色域があるため、印刷物の場合はより広い色域を持つAdobe RGBにて作成しています。
AIが出してくる画像は、画面向けの方式です。
鮮やかな青や緑が、刷るとくすんで見えるのはこのためです。
不良品ではなく、インクで出せる範囲の外にある色だった、ということです。
派手な色を主役にしたデザインほど、刷ったときの差が大きくなります。
試し刷りを1枚してから決めることになります。
紙に出したときの見え方を、置く側であらかじめ指定する話は、別の記事で扱っています。
https://note.com/yunta_fukurou/n/n5f6d9b1c398f
文字は、あとから載せる
AIは文字を、絵として描いている
チラシの絵ができました。
真ん中に商品名も入っています。
指示のとおりです。
拡大して見ると、漢字が一文字だけ違います。
似ているけれど、そんな字は存在しません。
画数が1本多い。
書き直させると、今度は別の文字が崩れます。
何度やっても、どこかがおかしい。
何が起きているかというと、AIは文字も絵の一部として描いています。
フォントを呼び出して並べているのではありません。
そういう形の模様を描いています。
だから、見たことのある形に近いものが出ます。
近いだけで、正しいとは限りません。
英語のアルファベットは26文字なので当たりやすく、漢字は数千種類あるので外れやすい。
そういう関係になります。
一方、デザインソフトや資料作成ソフトで文字を載せる場合は、フォントのデータから正しい字形が呼び出されます。
こちらは間違えません。
書体が画像やファイルの中に入っているかどうかで見え方が変わる話は、PDFの側でも起きます。
別の記事で扱っています。
https://note.com/yunta_fukurou/n/na513f7a363b8
公式が、日本語の字形には触れていない
各社の資料を読むと、文字を描く機能そのものは前面に出ています。
Googleの画像生成の資料には、こう書かれています。
高度なテキスト レンダリング: インフォグラフィック、メニュー、図表、マーケティング アセット用に、読みやすくスタイリッシュなテキストを生成できます。
読みやすい文字を作れる、と書かれています。
ただし、どの言語で、という記述はここにはありません。
今回いくつかのサービスの公式資料を確認しましたが、日本語の字形を正確に描けると明言しているものは見つかりませんでした。
多言語に対応する、という書き方はあります。
字形の正確さについては触れられていません。
書かれていないことを、書いてあるものとして扱わない。
公式が触れていない以上、確かめてから使う側に立つことになります。
背景だけ作らせて、文字は載せる
結論はこれです。
AIには背景だけを作らせます。
文字は、デザインソフトや資料作成ソフトで上に載せます。
こうすると、利点がいくつもあります。
誤字が出ない。フォントから呼び出すため
直せる。価格が変わっても、その数字だけ打ち直せる
使い回せる。商品名だけ差し替えれば、シリーズになる
分担できる。絵を作る人と、文字を入れる人を分けられる
AIへの指示の出し方も変わります。
商品名を入れて、ではなく、中央に文字を置く余白を空けて、と頼みます。
余白のある絵は、あとから何にでも使えます。
そして、刷る前に必ず人が読みます。
画像の中の文字は、検索でも引っかかりません。
校正の工程から漏れやすいところです。
PNGにしたことと、透過は別
ここでもう1つ、混同されやすいものを挙げます。
透過です。
アドビの解説に、PNGという形式の説明があります。
画像の圧縮時に画質が低下せず、何度保存を繰り返しても画質が維持される「可逆圧縮画像方式」で、主にWeb上で使われるファイル形式です。透明機能に対応しており、背景が透明や半透明の画像をつくることができます。
対応している、と書かれています。
ここが要点です。
対応していることと、そのファイルが透過していることは別です。
白い背景を描いた絵をPNGで保存すれば、背景は白いままです。
透明ではありません。
資料に載せると、白い四角として乗ります。
ロゴやアイコンのように、背景を抜いて使いたい場合は、透過した状態で出力できるかを確かめる必要があります。
指定せずに出せば、透明にはなりません。
PNGでもらったのに白い枠が付いている、という相談は、たいていこれです。
なお、同じ解説には、用途別の選び方も書かれています。
一般的にWebに使う画像はJPEGかPNG、印刷物に使う画像にはJPEGもしくはTIFFを利用します。
刷るために渡すなら、PNGのままでよいかを印刷会社に確かめることになります。
頼む前に決める4つ
実務としては、この4つです。
どこに出すかを先に決める。A4の全面か、名刺サイズか、画面だけか。ここで必要なピクセル数が決まる
必要なピクセル数を計算して、担当者に伝える。ミリを25.4で割って350を掛ける。この1行を社内の手順に入れておく
色が重要なら、試し刷りをしてから量産する。画面の色で決裁を取ると、刷り上がりで揉める
文字を画像の中に描かせない。背景だけ作らせて、文字はあとから載せる
大きく使う予定があるなら、最初から大きく出す設定を選びます。
小さく作ってから引き伸ばす、という手は使えません。
刷れるかどうかとは別に、その画像を仕事に使ってよいかは、各社の規約で決まります。
無料プランで作ったものの扱いと、手順書の書き方を、別の記事で扱っています。
https://note.com/yunta_fukurou/n/n854a940f14f6
まとめ
解像度は、1インチの中に何個の点が並ぶかという密度である。印刷に適した値は一般に300から350dpiとされ、大判は200dpi以上とされている
画面用の基準は長辺2000ピクセル以上、72から100ppiとされている。画面と紙で桁が違う
A4の全面に350dpiで使うには、およそ2894×4093ピクセルが要る。ミリを25.4で割って350を掛ければ、どの大きさでも自分で出せる
AIの出力には1K、2K、4Kといった段階があり、既定は1Kである。2Kや4Kは指定して出すものだと書かれている
1Kのままでは、A4の全面にはまったく足りない。4Kを指定して、ようやく近い線に届く
モデルによって使える段階が違い、1Kのみに対応するものもあると書かれている
小さく作った画像を後から拡大しても、細かさは戻らない
画面は光の三原色、印刷はインクの4色で色を作る。出せる色の範囲が違うため、鮮やかな色ほど刷るとくすむ
AIは文字をフォントから呼び出すのではなく、絵として描いている。漢字は種類が多いぶん外れやすい
今回確認した範囲では、日本語の字形の正確さに触れた公式の記述は見つからなかった
現実的な作り方は、AIには背景だけを作らせて、文字はあとから載せることである
PNGは透明に対応した形式だが、PNGで保存したことと背景が透過していることは別である
皆さんの会社でAIが作った画像は、何ピクセルで出力されているでしょうか。
参考・引用元
一次資料(2026年9月18日にブラウザで開いて照合)
アドビ「画像データを構成する要素の基礎知識」(日本語。更新日の表示は無い)
https://www.adobe.com/jp/creativecloud/roc/blog/photography/photo-data.htmlGoogle「Nano Banana による画像生成」(最終更新日 2026-09-08 UTC)
https://ai.google.dev/gemini-api/docs/image-generation?hl=ja
このページには、AIを使って翻訳している旨と、AI翻訳には誤りが含まれる場合がある旨の注記が付いています。
A4・A3・はがき・名刺・A2に必要なピクセル数は、上のdpiの定義から記事作成時に計算したものです。
1Kをおよそ1000ピクセル、4Kをおよそ4000ピクセルと読んだ部分も、こちらの読み方であって、資料に明記されているものではありません。
実務で使う書式について
この連載の内容を、社内でそのまま使える書式にまとめたものを、別のマガジンで公開しています。規程のひな形、対応フロー、チェックシート、報告書式などです。
実務で使う書式・キット
https://note.com/yunta_fukurou/m/mfc25857fab40
関連する記事
紙に出したときの見え方を、置く側であらかじめ指定する話は、別の記事で扱っています。
PDFを開くか落とすかと、印刷用のスタイルをまとめています。
https://note.com/yunta_fukurou/n/n5f6d9b1c398f
書体がファイルの中に入っているかどうかで見え方が変わる話は、こちらで扱っています。
渡したPDFの文字が相手の画面で変わる理由をまとめています。
https://note.com/yunta_fukurou/n/na513f7a363b8
自分の画面では正しく見える、という状態は、別の記事で扱っています。
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https://note.com/yunta_fukurou/n/n42a8fbd13b62
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8秒という単位と、2日で消える保存をまとめています。
https://note.com/yunta_fukurou/n/nba062653664e
その画像を仕事に使ってよいかは、別の記事で扱っています。
規約が条件を置いている4か所と、手順書にサービス名を書かない理由をまとめています。
https://note.com/yunta_fukurou/n/n854a940f14f6