ウルトラマンって(戦闘中は)「拳握ってない」のなぜ? 実はちゃんとあった理由とは
我らがウルトラマンの、ファイティングポーズをよく見てみましょう。「不思議」な点があることにお気づきでしょうか?
たしかに「ファイティングポーズ」にしては変わっている

『ウルトラマン』の本編において、我らが「ウルトラマン」は、怪獣・侵略者たちと、全身全霊の激闘を繰り広げてきました。そんなウルトラマンは、ある手の形の特徴があります。
本作は「スペシウム光線」のような必殺技だけでなく、地面を転げ回りながら、相手と取っ組み合う、そんな泥臭い格闘スタイルが、多くの少年少女たちを釘付けにしました。
ただ、ウルトラマンは普通、格闘の際には絶対するであろうポーズを絶対にしないのです。そして、そこにこそウルトラマンというヒーローの本質が現れていました。
改めて、ウルトラマンのファイティングポーズを見てみましょう。これがなかなか不思議なポーズをしています。まず、なんといっても、猫背なのです。
この「猫背」について、2020年に「集英社新書プラス」にて連載されていた『ウルトラマン不滅の10大決戦 完全解説』のなかで、ウルトラマンのスーツアクターを務めた古谷敏さんが、その誕生秘話を語っています。
古谷さん曰く、あの猫背は映画『理由なき反抗』のジェームス・ディーンの演技を参考に生み出したものだそうです。ジェームス・ディーンが不良相手に猫背でナイフを構えるシーンに、若かりし古谷さんは衝撃を受け、実際にウルトラマンの演技に取り入れたのでした。
そして、ウルトラマンのファイティングポーズの特徴はもうひとつ、その手の形にあります。ウルトラマンは基本的に、格闘の場面でも、(基本的に)拳を握らないように気をつけているのです。
それこそ手刀のように、ウルトラマンの手は4本指を揃えた構えを保ち続けています。ウルトラマンは特撮ヒーローの「原点」であるがゆえに、つい当然のように受け入れていますが、今思えば「ファイティングポーズ」としてはかなり異質です。
実際、次作『ウルトラセブン』では、「ウルトラセブン」が仁王立ちでギュッと拳を握る構えが印象的でした。なぜ、ウルトラマンは拳を握らないのでしょうか?
もちろん、拳を全く握らないわけではありません。そもそも有名な赤い背景の変身後の「登場シーン」において、拳を握っています。あくまでも戦闘中の構えの話です。
これには同2020年の「マイナビニュース」のインタビュー記事において、古谷さんが秘話を語っています。
『ウルトラマン』の「生みの親」のひとである飯島敏宏監督は、古谷さん(ウルトラマン)の格闘を演出する際、こう話したそうです。
「ウルトラマンは宇宙人なので、拳を構えて戦闘意欲を示すようなポーズはやめましょう」
この言葉に『ウルトラマン』という作品の本質が全て詰まっている、と言っても過言ではありません。ウルトラマンは怪獣を拳で殴りつける、痛めつける、それが目的のヒーローではないのです。
基本的には「いなす」形で、葛藤しながらも戦う。そんな受け身の姿勢こそ、ウルトラマンらしさだったのではないでしょうか。ウルトラマンが拳を握らない理由、それはウルトラマンだからです。
(片野)
