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小鵬G9Lはなぜ「4輪のロボット」なのか――VLAから電池、シャシーまで貫くPhysical AI思想

    [メンバーシップ限定]小鵬(XPENG)は2026年9月17日、新型大型SUV「小鵬G9L」を中国で正式発売した。

    しかし発表会で何小鵬CEOが最初に語ったのは、G9Lの価格でも、航続距離でも、車内空間でもなかった。

    ロボットだった。

    小鵬は9月8日、人型ロボットの量産に向けた新たな生産ラインを稼働させた。何氏はそこから中国のNEV産業が過去約10年で急成長した歴史を振り返り、「次の10年にはロボットが家庭へ入っていく」と展望した。

    そして、自動車とロボットを別の産業として扱わなかった。

    何氏によれば、自動車もロボットの一つの形態である。

    自動車は4輪で動くロボット、人型ロボットは2本の脚で動くロボットであり、将来的には同じAI基盤によって動く。

    現在、XPENGの自動車で使っているVLA(Vision-Language-Action)やVLM(Vision-Language Model)の能力をロボットへ展開する。一方、ロボット側で獲得した能力についても、2027~2028年にはOTAを通じて自動車へ戻していく。

    G9Lを見るうえで重要なのは、この発表会冒頭の説明である。

    第二代VLA(VLA 2.0)そのものについては、XPENGはすでに8月27日のPhysical AI技術共有会で詳細を明らかにしている。また、第二代VLAを最新の自社AIチップだけでなく、旧世代のNVIDIA Orin-X搭載車へモデル蒸留によって展開する戦略も明らかになっている。

    今回、新たに見えてきたのは、そのAIを実際の量産車という「本体」にどう落とし込むのかである。

    G9Lは単なるVLA 2.0搭載車ではない。

    AI、コックピット、シャシー、電池、電気系統、安全冗長化までを統合し、「自動車をロボットとして作る」というXPENGの思想を量産商品へ落とし込んだモデルと見ることができる。

    自動車とロボットの技術を往復させる

    自動車メーカーが人型ロボットを開発すること自体は、もはや珍しくなくなった。

    しかしXPENGの考え方で興味深いのは、自動車事業とロボット事業を二つの独立した事業として並べていないことである。

    共通するのは、現実世界を見ること、理解すること、未来を予測すること、そして実際に動くことである。

    自動車ならカメラなどで道路環境を認識し、周囲の車両や歩行者の動きを理解し、走行軌跡を生成し、ステアリングやブレーキを動かす。

    人型ロボットなら周囲を認識し、人間の指示や物体の状態を理解し、歩行や作業を行う。

    本体は異なるが、認識 → 理解 → 推論 → ActionというPhysical AIの基本構造は共通する。

    そのためXPENGは、自動車で育てたVLAやVLMをロボットへ移すだけではない。

    ロボットで獲得した能力も自動車へ戻す。

    これは一方向の技術移転ではなく、自動車とロボットの間でAI能力を循環させる構想である。

    G9Lはその最初の量産側出口

    この構想の中でG9Lが重要になる。

    VLA 2.0の新バージョン、VLAとVLMを融合したMaster Agent、自社開発TURING AIチップなど、XPENGがPhysical AI向けに構築してきた技術が量産車へまとまって入るからである。

    ただし、今回改めてVLA 2.0のモデル構造そのものを追う必要はない。

    すでに発表されている通り、VLA 2.0では過去30秒間の時系列情報を扱い、Streaming Inferenceによって連続的に推論し、世界モデル「X-Foresight」によって未来を予測する。

    重要なのは、その能力がG9Lでは単なる「高度な運転支援機能」として存在しているわけではないことである。

    XPENGが目指しているのは、車両そのものが周囲や乗員の状況を理解し、自ら判断してActionを実行する構造である。

    つまりG9Lは、AIを搭載した自動車から、AIが自動車という本体を動かす方向へ進むための量産プラットフォームになっている。

    音声アシスタントも「車両を動かすAI」へ

    その変化が最も分かりやすいのがMaster Agentである。

    何小鵬氏は今回、約2年前の2024年9月ごろから「未来のコックピットとは何か」を考えてきたと説明した。

    XPENGは早い段階から車載音声アシスタントを展開し、音声による車両操作を進化させてきた。

    しかし現在では、音声によるエアコン操作やナビ検索、質問への回答は中国のスマートカーで珍しい機能ではない。

    何氏は、それだけでは「遠く及ばない」とした。

    次に必要になるのは、「前の小道を左へ曲がって」といった言葉を理解し、それを運転そのものへ接続する能力である。

    そこでXPENGは、VLAとVLM、コックピットをMaster Agentによって統合する。

    従来なら音声システムと運転支援システムは別々に存在した。

    これを、人間の言葉 → 意図の理解 → 周囲環境の理解 → 運転判断 → 車両のActionまで連続させる。

    ここでもXPENGが作ろうとしているものは、「賢い音声アシスタント」よりロボットに近い。

     
     
    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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