
中国自動車販売網、吉利銀河246店増・小米234店増の一方、ジャーマン3は縮小――2026年Q3、臨時拠点と店舗転換が鮮明に
[メンバーシップ限定]中国の自動車市場で、販売網の再編が進んでいる。自動車市場調査会社の杰蘭路(LandRoads)が2026年10月26日に公表した第3四半期の販売網調査によると、吉利銀河(GEELY Galaxy)は前四半期から246拠点、小米(Xiaomi=シャオミ)は234拠点増加した。一方、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディのドイツ系高級車3ブランドでは、主要販売網の縮小が続いた。
ただし、販売拠点の増減だけで各ブランドの事業拡大や縮小を判断することはできない。
小米の増加分の大半は臨時展示拠点であり、上汽MGや広汽トヨタでも同様の動きが見られる。一方、蔚来(NIO)は商業施設内の小型店舗を減らし、自動車販売集積地の店舗を増やしている。長安阿維塔(AVATR)は小規模店舗を閉鎖し、大型旗艦店へ集約する方針を進めている。
さらに、既存のメルセデス・ベンツ系販売店が、東風と華為(Huawei=ファーウェイ)乾崑の奕境(EPICLAND)の店舗へ転換する事例も現れている。
中国の自動車販売網では、単純な店舗数の拡大競争から、店舗の立地、規模、投資負担、販売効率を見直す動きが強まっている。
80以上のブランドを調査、販売拠点と都市カバー数を比較
杰蘭路は、中国全国の80以上の自動車ブランドについて販売網を継続的に調査している。
対象には、中国自主ブランド、新興NEVブランド、外資系合弁ブランド、高級車・超高級車ブランドが含まれる。
今回の集計は2026年9月30日時点の販売前拠点数を対象とし、6月30日時点との比較によって第3四半期の変化を示した。
販売前拠点とは、主に展示、商談、受注などを担う販売網であり、整備やアフターサービス専用の施設を含む店舗網全体とは必ずしも一致しない。
また、集計には期間限定の展示・販売拠点も含まれる。
このため、今回の調査を読む際には、恒常的な販売店の増減と、短期的な販促活動による拠点数の変化を区別する必要がある。
主要ブランドの2026年第3四半期末の販売拠点数と前四半期比は、次の通りである。
吉利銀河:2,569拠点、246拠点増
小米:861拠点、234拠点増
MG:530拠点、137拠点増
零跑(LEAP):1,166拠点、89拠点増
問界(AITO):1,040拠点、70拠点増
広汽伝祺:712拠点、60拠点増
広汽トヨタ:876拠点、45拠点増
東風日産:966拠点、28拠点増
BYD王朝:1,793拠点、21拠点減
一汽トヨタ:723拠点、28拠点減
NIO:581拠点、37拠点減
BYD海洋:1,606拠点、41拠点減
AVATR:470拠点、61拠点減
ポルシェ:935拠点、64拠点減
楽道(ONVO):513拠点、67拠点減
なお、同じブランドでも販売方式や店舗の定義が異なるため、拠点数の単純比較が販売能力の優劣を示すわけではない。
吉利銀河、2,569拠点へ拡大も都市カバー数は減少
今回の調査で、販売拠点の増加数が最も多かったのは吉利銀河である。第3四半期末の販売前拠点数は2,569拠点となり、前四半期から246拠点増加した。
一方、カバーする都市数は305都市で、前四半期から14都市減少している。
これは興味深い変化である。
販売拠点数は増えているものの、販売網が存在する都市の数は減っている。
既存の主要市場で拠点を増やす一方、販売効率が低い地域では拠点を整理している可能性がある。
ただし、今回の資料では、吉利銀河の新規店舗の業態や、都市カバー数が減少した具体的な理由は説明されていない。
したがって、既存都市への集中が意図的な戦略であると断定することはできない。
少なくとも、販売拠点数の増加が、そのまま地理的な販売網の拡大を意味しないことを示す事例である。
小米234拠点増、通常店舗の純増は20拠点
小米の販売前拠点数は861拠点となり、前四半期から234拠点増加した。
一見すると、急速な販売網拡大が続いているように見える。
しかし、増加分の内訳を見ると、214拠点は都市型の臨時展示拠点である。
臨時展示拠点を除いた通常の販売前拠点数は517拠点で、前四半期からの増加は20拠点にとどまった。
つまり、今回の234拠点増の約91%は、臨時展示拠点によるものである。
小米は恒常的な店舗の増設を進める一方、期間限定の展示拠点を大幅に増やすことで、顧客との接点を拡大している。9月にレンジエクステンダー(REEV)新シリーズ「澎程(SkyNomad)」の展開を始めたのと関連がある可能性がある。
都市カバー数は243都市となり、前四半期から45都市増加した。
特に地方都市への進出が進んでおり、四線都市では20都市、五線都市では24都市、それぞれカバー範囲を拡大した。
さらに、澎程シリーズの発売に伴い、専売店8拠点が開業したという。
今回の小米の販売網拡大は、恒常的な販売店への投資を抑えながら、臨時展示拠点を活用して地方市場への接点を広げる動きとして捉えられる。
ただし、臨時展示拠点は通常店舗と機能が異なるため、234拠点増をそのまま販売能力の増強とみなすことはできない。
LEAP、通常店舗を89拠点増設、306都市へ
小米とは対照的に、LEAPでは恒常的な販売拠点の拡大が確認された。第3四半期末の販売前拠点数は1,166拠点で、前四半期から89拠点増加した。
増加分の内訳は、展示・販売を中心とする2S店が80拠点、販売・整備などの機能を持つ4S店が9拠点である。
都市カバー数も306都市となり、前四半期から6都市増加した。
LEAPは販売台数の拡大に合わせ、通常の販売網を継続的に増設している。
今回の調査では、小米の拠点増加が臨時展示に集中しているのに対し、LEAPでは常設型の販売店が増えているという違いが明確になった。
両社とも販売網を拡大しているが、その方法は異なる。
小米は短期的な展示接点を大幅に増やし、LEAPは恒常的な販売体制を強化している。
今後は、両社の販売台数だけでなく、店舗当たり販売実績や販売網の維持費用も比較する必要がある。
MG、137拠点増のうち85拠点が期間限定店舗
MGの販売前拠点数は530拠点となり、前四半期から137拠点増加した。ただし、増加分のうち85拠点は期間限定のポップアップ店舗である。
同社は7月29日にMG 07の予約販売を開始し、新型車の市場投入に合わせて、全国59都市で100拠点のポップアップ店舗を展開する販売促進計画を進めた。
この施策が第3四半期の販売網拡大に大きく寄与した。
MGの都市カバー数は240都市となり、前四半期から8都市増加した。
今回のMGの事例も、販売網の増加が恒常的な店舗投資だけでなく、新型車の発売に合わせた短期的な販促活動によって生じていることを示している。
期間限定店舗は新型車の認知度向上や潜在顧客との接点拡大に役立つ一方、長期的な販売能力を評価する際には通常店舗と区別する必要がある。
NIO、商業施設から自動車販売集積地へ移行
販売拠点数が減少したブランドの中でも、NIOの変化は単純な事業縮小とは異なる。
第3四半期末の販売前拠点数は581拠点で、前四半期から37拠点減少した。ただし、このうち22拠点は臨時展示拠点の減少によるものである。
臨時展示拠点を除けば、通常の販売網の減少は比較的小さい。
さらに、店舗の業態別に見ると、より明確な構造変化が確認できる。
商業施設内のNIO Spaceに相当する2S店は38拠点減少した。
一方、自動車販売集積地に立地するNIOの体験・販売拠点は34拠点増加した。
これは、商業施設内の店舗を減らし、自動車の比較検討や購入を目的とする顧客が集まりやすい立地へ販売網を移す動きである。
商業施設内の店舗は、ブランド認知や潜在顧客との接点形成に適している一方、賃料などの運営費用が課題となる場合がある。
自動車販売集積地への移行は、来店客の購入意欲や店舗運営の効率を重視する方向と考えられる。
ただし、今回の資料では、店舗移転による経費削減額や販売効率の改善実績は示されていない。
NIOの販売網再編が収益性改善につながっているかどうかは、今後の実績で確認する必要がある。