
2026年8月中国新興・新ブランド販売――LEAPが7万台突破、縮小市場で「新しいブランド」への移行続く
[無料]2026年8月の中国新興・新ブランド市場では、零跑汽車(LEAPMOTOR)がさらに販売規模を拡大し、民間新興勢の中で一段抜けた位置を固めた。
新車購入時の保険加入データをもとに、民間新興、民間大手の新ブランド、国有メーカーの新ブランド、華為(Huawei)系をCHINA CASEで独自集計すると、8月もこれら「新しいブランド」だけで約42万台規模に達した。
中でもLEAPは約7.1万台で前年同月比47%増。理想(Li Auto)が約3.7万台、小鵬(XPENG)と小米(Xiaomi)がそれぞれ約3万台、蔚来(NIO)が約2.1万台で続く。
既存メーカー系でも、方程豹(FANGCHENGBAO)は前年同月比98%増、ZEEKRは55%増、ARCFOX(極狐)は92%増となった。
一方、すべての新ブランドが伸びているわけではない。長安阿維塔(AVATR)、広汽埃安(AION)、東風奕派(eπ)、東風納米(NAMMI)などは前年を大きく下回り、ほぼ販売が止まったブランドもある。
7月には、中国乗用車市場全体が2割以上縮小する中でも、新興・新ブランドが市場の3割近くまで拡大していることを確認した。
8月も大きな方向は変わらない。
ただし、その内部では「新ブランド市場の拡大」と「新ブランド同士の淘汰」が同時に進む構造が、さらに鮮明になっている。
※販売台数は新車購入時保険加入データ。輸出は含まず、中国国内販売のみ。メーカー公表の卸売・納車台数とは集計基準が異なる。
LEAPが7.1万台、2位以下との差をさらに拡大
民間新興勢の首位は、8月もLEAPMOTORだった。
販売台数は約7.1万台。前月比11%増、前年同月比47%増、1~8月累計でも前年同期比48%増となった。
7月の約6.4万台からさらに伸ばしている。
そして注目すべきなのは、単純な販売増以上に2位以下との差である。
Liは約3.7万台、XPENGとXiaomiはそれぞれ約3万台、NIOは約2.1万台だった。つまり、
LEAP:約7.1万台
理想:約3.7万台
XPENG・Xiaomi:約3万台
NIO:約2.1万台
という序列になった。LEAPは2位のLiに対しても、ほぼ2倍に近い販売規模である。
7月には「民間新興で一社だけ抜け出す」としたが、8月はその差がさらに明確になった。
しかも前回見た通り、LEAPの中国国内販売はすでに一汽トヨタ、一汽VW、上汽VW、広汽トヨタといった主要外資合弁を上回っている。
もはや「新興メーカーの中で強い」というだけの規模ではない。
理想は3.7万台へ回復、「蔚小理」の序列も変化
Liは約3.7万台で、前月比23%増、前年同月比33%増となった。
7月の約3万台から大きく戻している。
ただし1~8月累計では前年同期比3%減であり、8月単月の回復と年間を通じた販売状況は分けて見る必要がある。
一方、XPENGは約3万台。前月比19%増となったものの、前年同月比14%減、累計では24%減だった。
NIOは約2.1万台で前月比はほぼ横ばいながら、前年同月比85%増、累計でも65%増となった。
かつて中国新興EVの代表として一括りにされた「蔚小理」だが、現在は販売規模も成長率もかなり異なる。
しかも、その3社の上にLEAPがいる。
中国新興メーカーを見る際に「蔚小理」を中心に市場を整理すること自体が、すでに実態と合わなくなっている。
Xiaomi・XPENGは3万台、NIOは前年同月比85%増
Xiaomiは約3万台だった。
前月比4%減、前年同月比17%減となった一方、1~8月累計では10%増を維持している。
参入直後の急拡大から、現在は3万台前後をどこまで安定して維持し、さらに次の製品群で上積みできるかを見る段階へ入っている。
NIOグループでは、本体に加えて楽道(ONVO)が約9000台、蛍火虫(firefly)が約6000台となった。
ONVOは前年同月比48%減だった一方、累計では5%増。fireflyは前年同月比38%増、累計では197%増となっている。
NIO本体だけなら約2.1万台だが、3ブランドを合わせれば3万台台半ばとなる。
高価格帯のNIO、ファミリー市場を狙うONVO、小型EVのfireflyという多ブランド構造が、グループ全体の販売規模を支える形は定着しつつある。
一方、HOZON(哪吒)は極めて小さな販売規模にまで縮小している。
同じ「中国新興EV」という言葉で括られていた企業の間でも、現在の状況はまったく異なる。
方程豹は前年の約2倍、ZEEKRも55%増
既存民間メーカーが作った新ブランドでは、方程豹の成長が続いている。
8月は約2.9万台。前年同月比98%増、1~8月累計では114%増となった。
すでにXPENGやXiaomiとほぼ同じ販売レンジである。
DENZAは約1.3万台で前年同月比43%増。ただし累計では9%減となった。
超高級ブランドの仰望は絶対台数こそ小さいものの、累計では60%増を維持した。
吉利系ZEEKRは約2.3万台。前月比9%減だった一方、前年同月比55%増、累計65%増である。
ここでも、従来メーカーと新興メーカーの境界はほとんど意味を失っている。
BYDや吉利は既存ブランドだけで新興勢と戦っているわけではない。
巨大な既存事業を持ちながら、その内部に新興メーカーと同じようなブランドを複数作り、異なる価格帯へ投入している。
方程豹とZEEKRの販売規模は、その戦略がすでに実験段階ではないことを示している。
国有新ブランドはさらに二極化、ARCFOXは92%増
国有メーカー系では、ブランド間の差がさらに大きい。
長安系の啓源は約2.6万台、DEEPAL(深藍)は約1.8万台、広汽埃安(AION)は約2.1万台、北汽極狐(ARCFOX)は約1.7万台となった。
この中で伸び率が際立つのがARCFOXである。
前年同月比92%増、1~8月累計でも83%増。前月比では27%減となったものの、前年からの成長基調は維持している。
一方、AIONは前年同月比14%減、累計22%減。
東風嵐図(VOYAH)も約9000台で前年同月比36%減だった。さらに東風奕派(eπ)は前年同月比78%減、東風納米(NAMMI)も75%減となっている。
上汽智己(IM)は約5000台規模ながら前年同月比15%増、累計25%増と比較的堅調だった。
同じ国有メーカーのNEV新ブランドでも、成長するブランド、販売規模を維持するブランド、急速に縮小するブランドが完全に分かれ始めている。
長安系でも啓源、DEEPAL、AVATRで明暗
この違いは、同一企業グループ内を見るとさらに分かりやすい。
長安系では啓源が約2.6万台。前年同月比15%減だったものの、1~8月累計では49%増を維持している。
DEEPALは約1.8万台で前年同月比2%増、累計では2%減。ほぼ前年並みである。
これに対してAVATRは約4000台で前年同月比52%減、累計46%減となった。
三つとも長安系のNEV・スマートカーを担うブランドだが、販売状況は大きく違う。
中国メーカーが大量の新ブランドを設立した段階では、「既存ブランドではNEV時代に対応できないため、新しいブランドを作る」こと自体に意味があった。
現在問われているのはその先である。
作ったブランドのうち、どれが数万台規模まで成長し、どれを維持し、どれを再編するのか。
中国自動車産業は、すでにその選別段階へ入っている。
Huawei系は問界が縮小、智界・尚界が追う
Huawei系でも内部の構造変化が続いている。
鴻蒙智行(HIMA)の問界(AITO)は約2.2万台。前年同月比45%減、1~8月累計でも11%減となった。
依然としてHIMA最大の販売ブランドではあるものの、前年までの突出した位置からは後退している。
智界(LUXEED)は約1.3万台だった。
前年同月比では大幅増となる一方、累計ではまだ前年を下回っており、足元の回復を年間成長と同一視することはできない。
上汽との尚界(SAIC)は約5000台規模、北汽との享界(STELATO)は1000台台、江淮との尊界(MAEXTRO)は数百台規模となった。
HIMAとは別の乾崑協業ブランドである広汽との啓境(AISTALAND)も、まだ立ち上がり段階にある。
Huawei系を販売台数だけで見れば、依然として問界が中心である。
しかしブランド構造そのものを見ると、「Huawei自動車事業=問界」という時代から、複数OEM・複数ブランドへ販売基盤を分散する段階へ移っている。
最近明らかになった問界と賽力斯の協業モデル変更や、Huaweiが智界、享界、尚界、尊界へ投入するリソースを強めている動きまで考えると、今後は販売構成そのものが変化する可能性がある。
新興・新ブランドだけで約42万台規模
今回CHINA CASEで集計した新興・新ブランドは、8月も約42万台規模となった。
7月の42万4472台とほぼ同水準である。
重要なのは、8月の中国乗用車市場全体が前年同月を大きく下回る環境だったことである。
乗聯分会の別集計では、8月の全国乗用車小売は154.1万台で前年同月比23.6%減、1~8月累計も20.8%減だった。NEV小売も100.5万台で前年同月比10.1%減だったが、NEV浸透率は65.2%まで上昇した。
ただし、この乗聯分会の小売統計と、本稿で使用している新車購入時保険加入データは集計基準が異なるため、両者を直接割って厳密な市場シェアを算出することは避けるべきである。
同じ端末販売系の別集計では8月の中国国内販売は155万台規模となっており、今回集計した約42万台は、引き続き市場の4分の1を大きく超える規模にある。
7月に確認した「新興・新ブランドが市場の3割近くを占める」という大きな構図は、8月も崩れていない。
むしろ市場全体が縮小しているにもかかわらず、LEAP、方程豹、ZEEKR、NIO、ARCFOXなどには高い前年増が残っていることの方が重要である。
需要そのものが消えただけではなく、従来ブランドから新しいブランドへの再配分が続いている。
「新ブランド淘汰」はすでに始まっている
2026年8月の数字を見ると、中国の新興・新ブランド市場は、もはや一つの成長市場としてまとめることが難しい。
最上位ではLEAPが7万台を超えた。
Liが3万台台後半、XPENGとXiaomi、方程豹が3万台前後へ続く。
ZEEKR、NIO、問界、AION、DEEPAL、ARCFOXなどが1万~2万台台に並ぶ。
しかしその下では、数千台、1000台前後、さらには事実上ほとんど販売できなくなったブランドも存在する。
つまり7月に見え始めていた、「新ブランドを作る時代から、新ブランドを淘汰する時代へ」という変化が8月も続いている。
しかも淘汰とは、必ずしもブランドが消滅することだけを意味しない。
グループ内で役割を変える。別ブランドと機能を統合する。開発、販売、チャネルを共通化する。あるいはHuaweiのような外部のスマートカー基盤を使いながら再構築する。
中国メーカーが過去数年間に大量に作った新ブランドを、次の段階ではどう整理し、どこへ経営資源を集中するのかが問われる。
その一方で、勝ち残ったブランドの規模は確実に大きくなっている。
7月にはLEAPが6万台を突破した。
8月には7万台を超えた。
方程豹は前年の約2倍、ZEEKRは55%増、NIOは85%増、ARCFOXは92%増である。
中国乗用車市場全体が前年同月比2割を超えて縮小している中で、この差は単なる景気循環では説明できない。
市場が縮小しながら、需要の行き先が変わっている。
そして2026年8月、その再配分の先頭にいるのは、かつて中国新興EVの代名詞だった「蔚小理」ではない。
7万台を超えたLEAPである。
中国の新興・新ブランド競争は、「新しい会社が既存メーカーへ挑戦する」という第一段階を終えつつある。
新興、民間大手、国有メーカー、Huawei系が入り乱れた巨大な新ブランド市場の中で、誰が本当に量販ブランドとして生き残るのか。
8月の販売データは、その第二段階の競争がすでに始まっていることを示している。
#中国
#自動車
#モビリティ
#中国モビリティ
#中医学的身体観
#中国モビリティと中医学的身体観
#電気自動車
#EV
#BEV
#REEV
#EREV
#レンジエクステンダーEV
#プラグインハイブリッド
#PHEV
#ハイブリッド
#HEV
#ICEV
#自動運転
#手放し運転
#スマートドライビング
#エンドツーエンド
#E2E
#AI運転
#スマートコックピット
#スマートラウンジ
#AIスピーカー
#AIアシスタント
#AIエージェント
#Case
#スマートカー
#SDV
#AIDV
#AI
#エンボディドAI
#フィジカルAI
#毎日note
#毎日更新
#毎日投稿
#note毎日更新