メインコンテンツへスキップ
見出し画像

問界が「自立」した後、智界は何になるのか――奇瑞トップ尹同躍氏が語ったHuaweiとの次の関係

    [メンバーシップ限定]華為(Huawei)の自動車事業、鴻蒙智行(HIMA)が大きな転換点を迎える中、奇瑞汽車(CHERY)董事長の尹同躍氏が、Huaweiと共同展開する智界(LUXEED)の次の姿をかなり率直に語った。

    発言の場は2026年9月28日の智界RXおよび鴻蒙智行新品発表会である。

    表向きの主役は新型SUVの智界RXだった。

    しかし、発表会が開かれたタイミングには別の意味がある。

    わずか13日前の9月15日、HIMA最大の成功ブランドだった問界(AITO)は協業モデルを変更した。商品定義、商品設計、ブランドマーケティング、販売チャネル、サービス体系を賽力斯(SERES)が主導し、Huawei端末部門は支援する立場へ移る。

    問界はHIMAを離れるわけではない。しかし、Huaweiが商品から販売まで全工程を主導する従来のHIMAモデルからは事実上離れ、SERES自身がブランドを経営する段階へ入った。

    一方、智界、享界、尊界、尚界の「四界」はHuawei全工程主導を維持する。Huaweiの余承東氏は9月24日、過去数年間、商品、デザイン、マーケティング・サービスの各チームが「ずっと過負荷で稼働していた」と明かし、今後はこの四界へより十分なリソースを投入すると明言した。

    そのわずか4日後である。

    奇瑞トップの尹同躍氏が登壇し、智界をHIMAの中でどのようなブランドにしたいのか、Huaweiと今後何を作ろうとしているのかを語った。

    「中国のポルシェ」を作りたい

    尹氏の話は、まず自動車メーカーの経営者らしいところから始まった。

    2025年8月、同じ深圳で余承東氏と智界の「ブランド2.0戦略」を始動したと振り返ったうえで、自身が長年ポルシェを敬愛してきたと話した。

    そして、「中国のポルシェ」を作りたい、中国自身の優れた自動車エンジニアを育て、ポルシェのようなエンジニアリングチームを作りたいという考えを明らかにした。

    1年以上をかけて磨いてきた郭鋭氏率いる智界チームについても、「すでにかなりポルシェらしさが出てきた」と評価した。

    これは単なるRXの宣伝文句として片付けるには少し重い。

    尹氏が語っているのは、Huaweiのスマート技術を載せた奇瑞車を作るという話ではない。

    智界という共同事業の中に、奇瑞自身が長年追求してきた自動車エンジニアリングの理想を置こうとしている。

    智界2.0で「製造、商品、規模」の三つが変わった

    尹氏は、この1年間で智界が三つの突破を実現したと整理した。

    第一が製造である。

    智界専用のスーパー工場が国家スマート製造4級認証を取得した。尹氏は、3級が工場の状態を診断する段階なのに対し、4級では問題が発生する前に予測して対処できると説明した。

    第二が商品で、1年間に二つの重要な新車を投入した。

    第三が規模である。智界の累計納車は2026年10月にも20万台を突破する見通しだという。

    智界はS7で立ち上がった当初から順調だったわけではない。

    CHINA CASEでも販売動向を追ってきたが、2026年7月には1万4,210台まで回復し、前年同月比205%増となる一方、1~7月累計ではまだ前年割れだった。つまり智界は、問界のように最初からHIMAを代表する成功ブランドだったわけではない(問界も成功までには長い時間がかかったが)。

    尹氏があえて「製造、商品、規模」という三つの突破を挙げたのは、智界がようやくブランドとして次の段階へ入ったという認識なのだろう。

    「乗る」V9と「運転する」RX

    そして今回、尹氏は智界のブランド像をかなり明確にした。

    「乗るならメルセデス、運転するならBMW」という中国でも知られた表現を持ち出し、智界はその両方を目指すという。

    V9では「乗ること」を極限まで追求した。

    一方、RXでは「運転すること」を極限まで追求する。

    RXは、単に加速が速いEVとしてではなく、運転することそのものを楽しむユーザーのために作ったと説明した。

    ここで、智界の役割がかなり見えてくる。

    HIMAには超高級車の尊界、ファミリー高級車を中心とする享界、大衆市場まで広げる尚界がある。

    そして最大ブランドで主にHIMAのSUVの顔だった問界は、Huawei全工程主導からSERES主導へ移った。

    その中で智界は、Huaweiのスマート技術と奇瑞の自動車エンジニアリングを組み合わせ、「運転する楽しさ」までスマートカーとして再構築するブランドを狙い始めている。

    RXは、そのための商品なのである。

    「一番難しい仕事を、毎回智界に渡してきた」

    さらに重要なのが、尹氏が余承東氏との関係について語った部分である。

    尹氏は、HIMA初のセダンが智界S7、初のクーペSUVがR7、初の高級MPVがV9、そして今回のRXも新たなカテゴリーの商品として智界から投入されたと振り返った。

    そのうえで、「余総は毎回、最も難しい仕事を智界チームへ渡してくる」と表現した。

    そして智界側も「一度も期待を裏切らず、毎回任務を超過達成してきた」とした。

    尹氏はさらに、今後HIMAで生まれる「創造的な第一と唯一」をすべて智界に任せてほしいとまで述べている。

    これはかなり大胆な発言である。

    智界を五界の一ブランドとして横並びに置いているのではない。

    HIMAの新技術、新カテゴリー、新しい商品思想を最初に商品化する実験場になりたいと、OEM側トップ自身がHuaweiへ申し出ているに近い。

    この記事はnoteマネーにピックアップされました

    noteマネーのバナー
     
     
    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

    あなたへのおすすめ