
中国、自動車大手30社超を招集――新技術の試験不足と誇大宣伝を問題視、4部門が継続監督へ
[メンバーシップ限定]中国政府が、自動車メーカーによる新技術の開発・量産・宣伝に対する監督を強めている。工業情報化部、公安部、生態環境部、市場監督管理総局の4部門は2026年10月15日、主要自動車メーカー30社以上を集めた会議を開催し、新技術・新設計の安全性評価、研究開発段階での試験検証、製品の宣伝活動について、管理強化を求めた。
今回の会議は、中国政府が進める「自動車製品の生産一致性・品質向上特別行動」の一環である。すでに実施した監督検査で確認された問題を企業側に伝えるとともに、現在意見募集段階にある新たな管理通知案の内容を説明した。
特に重要なのは、製品の安全性を確保する責任だけでなく、販売時の宣伝内容まで踏み込んだことである。ADASなどの機能について、使用可能な条件や制限を正確に説明するよう求め、交通法規に違反する場面を用いた宣伝や、運転者に安全運転責任を軽視させる宣伝を認めない方針を示した。
中国自動車産業では、新技術の開発速度と市場投入の速さが競争力の源泉となってきた。政府はその競争を否定するのではなく、十分な安全性評価と試験検証を経ずに製品化することや、機能を過大に宣伝することを抑制しようとしている。
4部門が主要メーカー30社以上を直接招集
10月15日の会議を主催したのは、工業情報化部装備工業第一司、公安部交通管理局、生態環境部大気環境司、市場監督管理総局品質発展局である。
会議には、工業情報化部装備工業発展センター、中国自動車技術研究センター、主要自動車メーカー30社以上の関係者が参加した。
議題の中心となったのは、「自動車製品の革新的設計および研究開発・試験検証に関する管理をさらに強化する通知」の意見募集案である。
4部門は通知案の要求事項を説明するとともに、これまでの監督検査で発見された問題を報告した。
つまり、政府が新たな管理方針を一方的に発表しただけではない。
すでに確認された問題を踏まえ、主要メーカーに対して今後求める対応を直接伝えた会議である。
今回の発表では参加した30社以上の企業名は明らかにされていない。また、個別企業の具体的な違反内容も公表されていない。
「非理性的競争」を拒否、開発速度より安全性の検証を重視
会議で4部門は、自動車メーカーに対して「非理性的競争」を断固として拒否するよう求めた。
中国自動車産業では、価格競争に加えて、新型車の投入周期、ADAS機能の更新、車内の新しい操作方式、快適装備などの開発競争が激化している。
新機能を競争相手より早く搭載することは、販売上の優位性につながる。一方、新しい設計を採用するほど、従来とは異なる安全性評価や検証が必要になる。
今回の会議で政府が求めたのは、こうした新技術・新設計について、十分な試験検証を実施することである。
企業は製品の安全性に関する主体的な責任を負い、管理通知の要求に従って試験を実施し、法令順守の意識を高めなければならない。
さらに、研究開発段階での試験検証能力そのものを強化し、新しい設計の安全性評価を十分に行い、安全上の問題を速やかに解消するよう求めた。
ここで重要なのは、完成車が最終的な検査を通過すればよいという考え方ではないことである。
製品の構想・設計段階から安全性を評価し、研究開発過程で検証を積み重ねることが求められている。
ADASの宣伝にも踏み込む、使用条件と制限を正確に説明
今回の会議では、製品のマーケティング活動も独立した重要項目として取り上げられた。
4部門は、自動車メーカーに対し、製品の革新的設計について、使用可能な範囲、制限条件、研究開発・試験検証の状況などを事実に即して説明するよう求めた。
虚偽、誇大、または消費者に誤解を与える宣伝は認めない。
さらに、道路交通法規に違反する場面を用いて製品機能を宣伝することや、運転者に安全運転責任を軽視させる宣伝も禁止する方針を示した。
これは中国のADAS競争を考えるうえで重要である。
中国では都市部での運転支援、高速道路でのナビゲーション支援、駐車支援などの機能が急速に普及している。
各社は対応する道路環境や走行場面の拡大を競い、動画や実走行デモを使って性能を訴求している。
しかし、運転支援システムが対応できる条件と、運転者が負う責任は別の問題である。
特定の道路や天候、交通環境で機能が利用できることと、あらゆる状況で安全に走行できることは同じではない。
今回の政府方針は、こうした機能の境界条件を曖昧にした宣伝を抑制する方向にある。
ただし、今回の発表はADASだけを対象としたものではない。対象は自動車製品の革新的設計全般であり、ADASはその影響が特に大きい分野の一つである。
革新的設計の安全性を、開発段階から検証
今回説明された通知案は、ADASに限らず、自動車に採用される新しい設計全般の安全性を対象としている。
近年、中国の新型車では、電動式ドアハンドル、車内のタッチパネル操作、可動式シート、新しい車体構造、各種電子制御機能など、従来とは異なる設計が広がっている。
こうした設計は利便性や商品性を高める一方、故障時や事故時、緊急時に想定どおり動作するかという問題を伴う。
例えば、通常時には便利な電子制御機構でも、電源喪失時や衝突後に必要な操作ができなければ、安全上の問題となり得る。
新しいシート構造や操作系についても、通常の使用状態だけでなく、異常時や事故時の安全性を確認する必要がある。
今回の会議で政府が強調したのは、こうした製品設計上のリスクを、研究開発段階で十分に評価・検証することである。
新しい設計であること自体を否定するのではなく、量産車に採用する前に安全性を確認する責任をメーカー側に求めている。