
VWと小鵬、協業第二弾「与衆09」を発売――大型BEVセダンを16万元台から、VLA運転支援と5C急速充電を搭載
[メンバーシップ限定]フォルクスワーゲン(VW)安徽は2026年10月24日、小鵬汽車(XPENG)との協業による第二弾モデル「ID. UNYX 与衆09」を発売した。全長5,081mm、ホイールベース3,030mmの大型バッテリーEV(BEV)セダンで、期間限定の優遇価格は16万9,900元(約399万円)からとなる。
今回の新型車で注目されるのは、VWと小鵬の共同開発が、3月に量産を開始した大型SUV「与衆08」に続き、異なる車型へ広がったことである。
与衆09には、両社の協業による「行雲」スマート運転支援システムを採用。VW安徽の公式資料では、VLA(Vision-Language-Action)大規模モデルを利用した幅広い走行場面に対応する運転支援を訴求している。VLAはつまり、小鵬だ。
行雲が現在までに、一汽VWの新世代ID.シリーズで採用している地平線(Horizon Robotics)ソリューションに限らない、VW中国全体としての運転支援ブランドであることがよく分かる。
さらに、CATL製の5C急速充電対応電池セルを全車標準装備とし、5分間の充電で250km分の航続距離を補充できると説明した。85インチAR-HUD、路面投影機能を備えたヘッドライト、デュアルモーター四輪駆動、ドイツの部品メーカーによるシャシー技術なども採用する。
VWと小鵬は2023年に戦略提携を結び、中国市場向けBEVの共同開発を進めてきた。与衆08が大型SUV市場への参入だったのに対し、与衆09は大型セダン市場へ商品領域を広げる。
ただし、第二弾の発売によって協業の技術的成果が明確になってきた一方、それが販売面で成功するかは別問題である。
中国市場では、同価格帯に多数の中国ブランドBEVが存在し、運転支援、急速充電、車内装備の高度化も進んでいる。VWが中国メーカーとの協業によって商品開発の遅れを取り戻せるのか。その評価には、実際の販売実績が欠かせない。

協業第一弾の大型SUVから、第二弾の大型セダンへ
VW安徽は3月13日、小鵬との共同開発による第一弾モデル「与衆08」の量産開始を発表した。
与衆08は全長約5m、ホイールベース3,030mmの大型SUVである。800V高電圧プラットフォーム、CATL製電池、先進運転支援などを組み合わせ、VWの車両開発能力と小鵬のスマート化技術を融合するモデルとして位置付けられた。
当時、CHINA CASEは「VW × 小鵬の初弾『与衆08』量産開始、なぜフルサイズSUV?」と題したレポートで、協業の意義と市場競争上の課題を分析した。
特に問題としたのは、中国の大型SUV市場がすでに激しい競争にさらされており、VWブランドが中国の新興NEVメーカーと同じ条件で競争できるとは限らないことである。
今回の与衆09では、車型を大型SUVから大型セダンへ変更した。
両車のホイールベースは同じ3,030mmだが、与衆09は全長5,081mmの低く伸びやかな車体を採用する。大型車ならではの室内空間と、スポーティーな外観を両立させる商品構成である。
ここで重要なのは、VWと小鵬の協業が一台限りの特別なプロジェクトではなく、複数車種へ展開する商品開発体制として具体化していることである。
もっとも、両車がどこまで車両構造や電子部品を共通化しているかについては、今回の資料だけでは判断できない。同じホイールベースや協業関係を根拠に、共通プラットフォームであると断定することは避ける必要がある。

16万9,900元から、大型BEVセダンとしての価格競争力を重視
与衆09の価格設定は、今回の発表で最も目を引く要素の一つである。
VW安徽が公表した価格は次の通り。
Ultra:通常価格17万9,900元、期間限定優遇価格16万9,900元
満配版:21万9,900元
Max:24万9,900元
Ultraの16万9,900元は、1万元の購入優遇を反映した価格である。優遇には外装色の指定など条件があり、通常のメーカー希望価格とは区別する必要がある。
購入支援としては、頭金なしの5年ローン、頭金20%からの3年間金利ゼロ、月額728元からの支払いプランなどを提示した。
また、車両、エアサスペンション、電池、モーター、電子制御系の保証や、運転支援、車載通信、ソフトウェア更新、安全点検などに関する継続的なサービスも訴求している。ただし、保証や無料サービスにはグレード、使用条件、対象部品などの制限がある。
価格戦略から読み取れるのは、VWが与衆09を高価格帯の少量販売モデルとしてではなく、中国の量販BEV市場で競争する商品として投入したことである。
全長5m超の大型セダンでありながら、入口価格を16万元台に設定した。
中国市場でVWブランドが持つ知名度を活用しながら、中国メーカーと比較される価格帯へ踏み込むという判断である。
ただし、入口価格のUltraと上級仕様のMaxでは装備内容が異なる。今回紹介された先進機能のすべてが16万9,900元の車両に搭載されるとは限らず、購入価格と実際の装備構成は分けて評価する必要がある。

予約価格19万9,900元から、正式発売で2万元引き下げ
価格戦略を評価するうえでは、9月24日の予約開始時点との比較も重要である。
与衆09は9月24日に量産開始と予約受付を発表し、当初の予約価格を19万9,900元からとしていた。10月24日の正式発売では、Ultraの通常価格を17万9,900元に設定したため、入口価格は2万元引き下げられた。
さらに、外装色をブラックに限定した500台について、1万元の期間限定優遇を適用する。これにより、実際の購入価格は16万9,900元となる。
VW安徽の経営陣は9月の予約開始時点で、顧客の反応を確認したうえで正式価格を決定する方針を説明していた。今回の値下げが予約状況を直接反映したものかは公表されていないが、販売価格を調整して市場投入したことは明らかである。
注目すべきなのは、協業によって新技術を搭載できるようになったことだけではない。
VWが中国市場で競争するために、車両の大型化、高度な運転支援、急速充電性能を組み合わせながら、価格についても中国メーカーとの競争を強く意識していることである。

小鵬のVLAをVWブランドの運転支援として展開
与衆09の技術面で最大の注目点は、小鵬との共同開発による「行雲」スマート運転支援システムである。
VW安徽の公式資料には、VWと小鵬の両社ロゴが並び、VLA大規模モデルを利用した幅広い走行場面に対応する運転支援として紹介されている。
現地報道では、高速道路と市街地のNOA、駐車場から目的地の駐車位置までを支援する機能、小鵬の図霊AIチップの採用などが紹介されている。標準搭載される図霊AIチップの演算能力は750TOPSとされる。
小鵬は自社ブランドの車両でVLAを中心とした運転支援技術の高度化を進めてきた。
今回の与衆09では、その技術がVWブランドの量産車に組み込まれ、VW独自の車両開発や品質基準と組み合わされている。
ここには、VWと小鵬の協業の本質が表れている。
VWが中国メーカーから完成したソフトウェアを購入するだけの関係ではなく、車両の設計、走行性能、安全性、運転支援を一体の商品として成立させるための共同開発である。
ただし、公式画像からはVLAモデルの具体的な構成や学習データ、車載センサーの詳細までは確認できない。現地報道にはLiDARの搭載有無について一致しない説明もあるため、センサー構成は今後の公式技術資料で確認する必要がある。
また、VLAを採用していても、現段階で提供されるのは運転支援である。ドライバーの監視と適切な介入が必要であり、完全自動運転を実現したものではない。
