地震のニュースをみたら、まず読む「防災」
※画像はAIで生成したものを使用しています。
いまこの記事を読んでいる方は、地震の被害にあった、または地震のニュースをみて「備えなきゃ」と思った方々だと思います。それは非常に正しい危機感であり、素晴らしい意識だと思います。しかし、闇雲に防災グッズを買い揃える前に、知っておくべき順番があります。
まず知っていただきたいことは、「防災には、決して一つの正解があるわけではない」ということです。住んでいる場所や家族構成、ライフスタイルによって必要な備えは多様です。私自身、一人の防災マニアとして、そして地域医療にかかわる内科医として、日々備えを楽しみつつ、試行錯誤しながらアップデートしています。
この記事では、「防災を意識したけれど、何から手をつければいいかわからない」という方に向けて、今日からできる(やるべき)防災の基本をお伝えします。
被災者でない人が、大地震が起きたらまず考えること
防災の第一歩は、グッズを買うことではなく「まずは命を守り、敵(リスク)を知ること」です。
最初に、ご自宅が1981年(昭和56年)6月以降に確認申請を受けた「新耐震基準」を満たした建物であるかを確認してください。新耐震基準を満たしていれば、大地震ですぐに倒壊する可能性は低いと言えます。逆に満たしていない場合は、倒壊によって命を落とす危険性が高まります。
自宅内の安全地帯を探す、耐震リフォームを施工する、そして究極的には安全な新居への引越しも検討すべき事項です。突発的に発生する地震に対しては、「とにかく安全な家(もしくは場所)を確保する」事が大前提になります。
(※木造住宅の場合は、2000年6月以降の「新・新耐震基準」であるかどうかも重要な目安になります)
次に、お住まいの自治体のハザードマップを確認してください。「自分の家が津波、洪水、土砂崩れなどの危険エリアに入っているか」をチェックします。 国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」では、自治体のハザードマップの確認や、住所や現在地から簡単にハザードマップを確認することができます。
リスクが高いエリアにお住まいの場合: 迷わず「避難場所(避難所も兼ねる場合あり)へ逃げる」ための準備が必要です。すぐに持ち出せる防災リュックを玄関や寝室に準備し、安全な避難ルートと避難場所を事前に歩いて確認しておきましょう。
リスクが低いエリアにお住まいの場合: 自宅が倒壊する恐れがなく、津波や水害のリスクも低いなら「在宅避難」が基本となります。住み慣れた自宅を安全な避難所に変えるための準備を進めましょう。
「避難所に行けばなんとかなる」という考えが根強く残っていますが、実際の避難所生活は想像以上に過酷です。備蓄は最低限で十分とは言えず、運営は避難者自らで行う必要があります。そもそも避難所は、自宅が倒壊するなどして住めなくなった方のための場所であることを覚えておいてください。
自宅を安全な「避難所」にするために
在宅避難を成功させるためには、家の中の安全確保が絶対条件です。一番大切なのは、家具の固定です。大きな揺れでは、冷蔵庫やタンス、本棚など、固定していない全てのものが凶器となって飛んできます。もし賃貸などで壁への固定が難しい場合は、「ベッドや布団に家具が倒れてこない配置」に変えるだけでも、就寝中の命を守る大きな一歩になります。
これだけは揃えたい!在宅避難の必須アイテム
在宅避難に向けて、できれば1週間分の備えをしておきましょう。一気に揃えるのが難しければ、まずは3日分からで大丈夫です。優先して備えるべき基本グッズは以下の通りです。
◯飲料水
1人1日3リットルが目安。1人1週間あたり「500ml × 24本入り」を2箱、または「2L × 6本入り」を2箱が目安です。
◯非常用トイレ
1日5〜7回分 × 日数分(1人あたり50回分が目安)。これが一番重要です。 食べる・飲むは多少がまんできても、排泄はがまんできません。排泄物を適切に処理できないと、在宅避難の継続が難しくなるだけでなく、健康へも大きく影響します。マンション等の集合住宅では、地震後に無理に水を流すと配管の破損で階下への水漏れを引き起こすため、必ず凝固剤を使うタイプを備えてください。
◯食料とカセットコンロ
火や水を使わずに食べられるレトルト食品や缶詰など。防災専用の食料を備えるのも良いですが、普段から食べる食料を、平時から少し多めに購入しておき、古いものから消費していく「ローリングストック」が最も備えやすく、習慣化しやすいため強くおすすめします。
お湯を沸かしたり、冷蔵庫の中身が痛む前に調理できるよう、カセットコンロとカセットボンベも用意しておきましょう。カセットボンベは「1人1日あたり1本」が目安です。カセットボンベはパッキンの劣化から、7年が使用期限となっていることを覚えておいてください。
◯モバイルバッテリー
情報収集と連絡手段であるスマホの命綱です。充電式や乾電池式のモバイルバッテリーを備えておきましょう。近年、充電式のものは、劣化や熱による発火事故が度々報告されているため、安全性の高い製品を選ぶようにしましょう。従来よりも安全性が高い、「半固体電池」や「リン酸鉄リチウムイオン電池」などの製品もあり、購入時は積極的に選択するようにしましょう。
◯暑さ・寒さ対策
使い捨てカイロ、アルミブランケット、ハンディ扇風機など、体温調節するためのグッズを用意しておきましょう。特に暑さ対策は、夏の停電では熱中症など命に関わる可能性が高く、極めて重要です。
◯その他
これらに加えて、ご自身の状況に合わせた「個別の備え」を洗い出してください。
乳幼児がいるご家庭なら液体ミルクやおむつ。高齢者がいる場合は食べやすいレトルト介護食。そして、持病をお持ちの方は「いつものお薬」と「お薬手帳」の予備が必須です。
日頃の診療でも痛感しますが、災害時にいつもの薬が途切れることは大きな健康被害に直結します。日頃から手持ちの薬は1週間分程度確保しておくように、早めの受診を心がけておきましょう。
備えていることは他人には漏らさない
実は、災害時に一番怖いのは「人間」とも言えます。災害が長期化すると、備えをしていない人が「少し分けてくれない?」と頼ってくる、いわゆる「クレクレ問題」が発生します。これを防ぐためには、災害時だけでなく、平時から自分が備蓄していることを周囲に悟られないようにすることが極めて重要です。
備蓄は、隠す
平時は周囲になるべく知られないようにコツコツ備えます。そして災害発生後は「うちもギリギリで余裕がない」という態度を貫くのが無難です。備蓄があることを誰かに知られれば噂が広まり、より多くの対応に追われます。
匂いとゴミにも注意が必要です。
食品の匂いやゴミ袋の中身から備蓄がバレることがあります。人は他人の家のゴミの内容を意外と見ています。防臭対策や、外から見えない黒いゴミ袋などを用意しておくなど、食べた後の事も考えておきましょう。
冷たく感じるかもしれませんが、これは自分と家族の命を守るための鉄則です。「災害時はお互い助け合うべきだ(共助)」という意見もありますが、「共助」を行うためには、まず自分の足元である「自助」が万全であることが大前提だと言えます。
お子さんが悪気なく「うちにはお菓子やごはんがいっぱいあるよ」と話してしまい、備蓄がばれる場合もあります。こうした問題はご家族内で事前に共有しておきましょう。
家族との情報共有は「事前」が勝負
地震発生直後は、電話回線がパンクして繋がらなくなります。いざという時、どこに避難するのか、どうやって連絡を取り合うのかを家族で事前に相談しておきましょう。災害時の連絡手段としては、比較的通信が繋がりやすいLINEや、各携帯電話会社の災害用伝言版、NTTの「災害用伝言ダイヤル(171)」の活用をおすすめします。
防災を習慣化する最強ツールは「妄想力」
最後にお伝えしたいのが、防災を習慣化するために一番大切なのは、「妄想力」である、ということです。
「もし今、ここで地震が起きたら何が落ちてくるだろう?」 「真冬に電気が止まったら、どうやって暖をとろう?」
日々の生活の中で、自分が被災者の立場になったら何に困るかを具体的に想像する習慣をつけてみてください。その妄想こそが、あなたにとって本当に必要な備えを教えてくれます。
防災は一日にしてならず。できることから少しずつ、一緒に備えを進めていきましょう。
「ソナエル」を習慣化し
防災リテラシーを高めて今日もご安全に!
※防災の常識や推奨される対策は日々変化します。本記事の内容も、最新の知見や社会情勢に合わせて随時アップデートしていく予定です。
