見出し画像

幼稚園を「近さ」で選ぶのをやめた理由。3歳児に人生初の「重大な決断」をさせた日

【連載:育児全史】 1話2話3話4話5話6話7話8話 ▶ 9話:幼稚園を「近さ」で選ぶのをやめた理由(今ここ)

ある日、妻から「幼稚園どうする?」という、抜き打ちテストのような質問が飛んできた。

平和主義の私は「えっ、一番近いところでいいんじゃないの?」と、徒歩15分で行ける近所の園を迷わず提案した。……だが、妻がニコニコしながら机に並べたのは、厚いパンフレットの束だった。

幼稚園と一口に言っても、今の時代は「遊び重視」から「英語教育」まで、まるでスタートアップ企業の事業計画書くらい個性が違う。娘を持つ親になって、初めてその選択肢の膨大さを実感した。

「プレ(体験入園)で比べることもできるから。パパ、候補絞るのナルハヤでお願いね」

妻の「笑顔の指令」が下り、私のリサーチ魂に火がついた。

「成功者」たちを捕まえて聞き込み調査

私は仕事柄、分からないことがあればその道のプロに聞くのが一番だと知っている。 さっそく会社で、東大卒の上層部や仕事ができる先輩たちを捕まえて、聞き込みを開始した。

「全く別の話なんですけどね……娘の教育、どうされてました?」 「英語って、いつから習うのが正解なんですかね?」「子供の頃、どうやって勉強してました?」

最初はキョトンとしていたエリート上司たちも、「自分の経験はアテにならないので、成功者の生の声を聞きたいんです」と食らいつく私に、根負けしたように教えてくれた。

特に「英語が得意な上司」の言葉には、目から鱗が落ちた。

「リンゴを見て、『日本語のリンゴだから、英語でappleだ』と脳内で翻訳しちゃダメ。赤い丸い果実を見て、日本語と英語が『同時に』浮かぶようにならないと。それには、理屈抜きで飛び込める時期にネイティブに触れるのが一番だよ」

なるほど、同時認識か。娘には、私のような「脳内翻訳機」を通さずに世界を見てほしい。そう強く思った。

娘に「人生初の決断」を委ねる

妻との会議を重ねた結果、候補は二つに絞られた。

  1. 立地最強:徒歩15分。遊びの中から学ぶ、アットホームな園。

  2. 未来投資:バス・車で10分。外国人の先生と遊びまくる、英語環境の園。

プレに通うと、娘はどちらでも楽しそうに遊んでいる。 ここで私は、東大卒の上司からもらった最後のアドバイスを実践することにした。

「親がやるのは、選択肢を絞って環境を整えることだけ。最後は自分で決めさせなさい。自分事は自分で決める癖をつけさせるんだ」

物心つく前に、自分の人生を自分で選ぶ感覚を。そのために、私は妻にある「仕掛け」をお願いした。

ピンクと紫の、運命のカバン

「プレに通うとき、持っていくカバンを色分けしてくれないかな?」

妻は「また何か企んでるね」と笑いながらも、協力してくれた。 ピンクのカバンは、立地最高の近所の幼稚園。 紫のカバンは、英語の世界が待っているバス通園の幼稚園。

プレに行くたび、その園に対応した色のカバンを持たせることで、娘の頭の中で「この色のときは、あの幼稚園」というイメージが定着するように準備を進めたのだ。

そして迎えた、選択の時。 娘の前に、二つのカバンを並べて置く。

「さあ、娘よ。自分のことは自分で考えて決めなさい」 パパの必死なプレッシャーをよそに、妻が「どっちにいきたい?」と優しく聞く。

娘は少しだけ考えて、迷いのない手つきで「紫のカバン」を指差した。
「こっち行く!」

「よし、いい答えだ!」 親が誘導するのではなく、色という「判断材料」を事前に与え、最後は本人の感覚に委ねる。娘が自分の手で人生を選んだ瞬間、わが家の方針は確定した。

近くに幼稚園はあるけれど、調べ抜き、本人が選んだ結果なら、方向修正は全然ありだ。調べもせずに突き進むよりは、ずっといい。

毎日楽しそうにバスに揺られていく娘。英語で挨拶してくれる姿を見るたびに、あの時の聞き込み調査は無駄じゃなかったなと、少しだけ鼻が高くなる。

最初に決めていた「近所の幼稚園」という正解に執着せず、新しい情報を入れて柔軟に判断を変える。これはビジネスでも大事なことですが、育児だとさらに「納得感」が違います。

迷いながらでも、家族にとって「今、一番いい選択肢」を探し続ける。 それが、家族の雷を受ける「避雷針」としての、私なりの誠実さだと思っています。

☕️ 避雷針パパからのお願い
最後までお読みいただきありがとうございます! もし今回の「幼稚園選びの戦略」が少しでもお役に立ったり、「面白い!」と感じていただけましたら、画面下の**「サポート」**から応援いただけると非常に励みになります。

いただいたサポートは、今後の執筆活動の活力として大切に使わせていただきます!もちろん「スキ」や「フォロー」をいただけるだけでも、パパの雷(ストレス)が中和されますので、ぜひよろしくお願いします


📖 この話を「物語」でもう一度。

私が「避雷針」として生きる原点となったあの日。 エッセイとはまた違う、情景豊かな『小説版』をTALESで公開しています。 もう一つの『パパは家族の避雷針』の世界を、ぜひ覗いてみてください。

このマガジンは、家族を守る『避雷針』としての戦略集です。第1話を読む前に、まずは私が何者なのかを記した『エピソード・ゼロ』からご覧いただくことをお勧めします。


いいなと思ったら応援しよう!

避雷針パパ|娘の未来を「築く」防波堤 無力さを知ったあの日から、もっと強く守ると決めた。 頂いたチップは、娘の笑顔を最大化する「仕組み」への投資と、娘への贈り物のために大切に運用します。戦略家パパ、娘のために全力で走ります。