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点字note #5│一休さん vs 点訳挿入符 ─ 愛称っぽい「さん」

原本記事



点訳後記

『呪重宝記(あるいは調法記)』の解決編「似て非なるもの」に関する記事にと、この「一休さん vs 点訳挿入符」を引用する記事が続きましたので、点字版を公開するのにも良いタイミングかと。

頻度は高くありませんが、時々思い出したように「点訳挿入符の特訓コーナー」を開設することもありますし。

点訳初心者にとって、参照可能な点訳挿入符のサンプルは『点訳のてびき』掲載のほんの数例と、点訳フォーラムQ&Aに取り上げられているケースくらいしかないんですよね。

サンプルが少ないと応用のしようがありません。少しずつでも、点訳挿入符の使用例を増やしていって、みんなで共有できるサンプル集にしていけたらいいなと思っています。

ちなみに、「ヒッシ」の例文については、今の私なら…

「ヒッシ丨丨カナラズ イタル丨丨」ト ニューリョク スル ツモリガ 「ヒッシ丨丨カナラズ シヌ丨丨」ニ ナッテ イタ。

と、するだろうと思います。

「簡潔明瞭」の匙加減を、少しずつ体得しているつもり。


点訳者のつぶやき

この日本一有名な頓知の名手は、点訳フォーラムの語例検索にばっちり収録されています。

「イッキュー■サン」と区切って書くようにと……

分かる……

もちろん分かっている。

そもそも点訳にはこんなルールがあるんです。

人名に続く「さん」「様(さま)」「君(くん)」「殿(どの)」「氏(し)」「氏(うじ)」は、人名を明らかにするために、区切って書く。

『点訳のてびき』p89

さらに例外処理として…

ペンネームや四股名なども、意味の理解を助ける場合には、人名に準じて区切って書く。

『点訳のてびき』p90

と書かれてあって、こんな例が挙げられています。

サザエさん → サザエ■サン
くまのプーさん → クマノ■プー■サン

なら、「一休さん」が「イッキュー■サン」となるのは当然ですよね。

けど、この例外処理と並んで記載されている備考によれば…

愛称・親称・短縮形(中略)は続けて書く。
太郎ちゃん → タローチャン
お加代さん → オカヨサン

『点訳のてびき』p90

これらのことから、私の所属する点訳サークルでは、結局機械的に…

  • 「さん」「様」「君」などは人名と区切る

  • 本名の前に「お」がついて「お○○さん」となったときだけ「さん」と名前をつなげる

  • 「ちゃん」がつくものはすべて愛称だから区切らない

という具合になっています。

なお、「さん」「様」「君」と「ちゃん」の扱いの違いについては、辞書の定義に忠実に従ったものと思われます。

あい‐しょう【愛称】正称のほかに、親愛の気持をこめてつけた呼び名。

さま【様】〘接尾〙氏名・官名・居所などの下に添える敬称。
さん〘接尾〙(サマ(様)の転)人名などの下に添える敬称。「さま」よりもくだけた言い方。
くん【君】敬称。同輩または同輩以下の人の氏名の下に添える語。
ちゃん〘接尾〙(サンの転)人を表わす名詞につけて、親しみを表わす呼び方。

『広辞苑(第三版)』

「様」「さん」「君」は敬称と明記されている一方、「ちゃん」は親しみを表わす呼び方とされている。

ルールが成立した根拠を示されれば、反論の余地がありません。

でも、市報の「1歳のお誕生日おめでとう」のコーナーで、男の子には「くん」、女の子には「ちゃん」がついていて……

男の子は「くん」を名前と区切るけど、女の子は名前に「ちゃん」をつなげる……という珍妙なことになっているんです。

ここは、たとえ「ちゃん」であっても、名前を明らかにするために区切って書く方に統一すればいいのになあと、毎月モヤモヤしてしまう……

市報の点字版は読者がほんの数人だけということもあり、読まれている方々の希望に沿ったローカルルールで作成されています。

それならば、お誕生日コーナーだけ名前と「ちゃん」を区切ることを検討してもいいんじゃないかなあと思いつつ、なかなか言い出せないでいる今日このごろです。


で、本題にもどって「一休さん」なのですが……

これって、ちょっと「愛称」っぽくないですか?

語の成り立ちからすれば、確かに人名 + 敬称の「さん」なのですが……

どうも私には、親しみがこもった呼び方、すなわち「愛称」のように思えてなりません。

「様」が敬称、「ちゃん」が愛称は割り切りやすいけれど、「さん」や「くん」については敬称としても愛称としても用いられることがある……この感覚は私の独りよがりとも言い切れないのではないかと。

よそよそしい「さん」と、親しみのこもった「さん」ってありますよね。

「一休さん」や「サザエさん」「プーさん」のような、愛称っぽい「さん」は名前と一体化させて書いてしまいたい!

……という気持ちだけ、そっとここに置かせてください。

※ そんな対応を許容したら、線引きの基準が曖昧になって点訳現場が混乱するのが目に見えてますから、ここはわがまま言いません(笑)

でも、万が一、普段から点字の読書に親しまれている方の中にも同じような違和感を抱いている方がいらっしゃるとしたら、いつか再検討されるべき余地のあるテーマなのかな……なんて考えています。


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