絶体絶命のピンチ ─ おばあちゃん三部作その1
※このシリーズは、私が幼少期に出会った「おばあちゃん」たちとの思い出を綴る三部作です。
私には、きょうだい同然に育った幼なじみがいるんです。
家が庭続きのお隣さんで、今も家族ぐるみの付き合いが続いています。
私が小学校低学年の頃だったでしょうか。
その幼なじみの家で、鬼ごっこだったか、ドッジボールだったか、ちょっとスリリングな展開になって、みんなで盛り上がっていました。
「間一髪!」
「絶体絶命のピンチ!」
などと叫びながら。
その頃の流行り言葉だったのか、私が個人的に気に入っていたのか……
詳しいことは覚えていないのですが、そういった言葉を口にすることで気持ちが高ぶり、楽しくてしょうがなかったことを覚えています。
そんな折、幼なじみのひいおばあさんに声をかけられました。
「絶体絶命なんて言葉は軽々しく使うもんじゃないよ」と。
「絶体絶命」とは、今まさに死ぬかもしれない、むしろ死なずに生き残れる可能性の方が少ないような状況を表した重たい言葉だということを、その時教えられました。
そのひいおばあさんは、大正か、もしかしたら明治の生まれだったかもしれません。
太平洋戦争を大人として生き抜いてこられた方です。
だからこそ、子ども相手でもちゃんと伝えておかなければと考えられたのでしょう。
それ以来、たとえ自分にとって口当たりのいい言葉であっても、軽々しく使うべきではない言葉というものがあるということを意識するようになりました。
この幼い頃のひいおばあさんとの交流が、私の「言葉」に関する姿勢の根底にあることは間違いありません。
これからも、言葉の重みを丁寧に感じながら文章を綴っていこうと思います。
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