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食べる量を減らすほど、体は暖房を弱めます

こんにちは、パーソナルトレーナーのリクです。

「追い込む」のではなく「一緒に整える」を大切に、運動が苦手な方の体づくりに寄り添っています。

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「夏なのに、手足だけ冷たいんです」

「しっかり寝ているのに、朝から疲れています」

「食べる量は減らしているのに、体重は動きません」

この3つを、ひとつのお話の中でまとめて聞かせていただくことがあります。ご本人はたいてい、別々の悩みとして話してくださるのですが、わたしはこの3つが並ぶと、少しだけ気にして聞くようにしています。

というのも、この3つは同じひとつの原因から出てくることがあるからです。

今日は、その「同じひとつ」についてお話しさせてください。少し体の中の話が出てきますが、たとえ話でいきますので、身構えないで読んでいただけたらうれしいです。

体の中には、代謝の速さを決めるつまみがあります

代謝という言葉は、なんとなく「燃えるかどうか」のイメージで使われますよね。でも実際には、その燃え方の速さを決めている調整つまみのようなものが、体の中にちゃんとあります。

それが、のどの下のあたりにある小さな臓器から出ているホルモンです。資料には、このホルモンの働きがこう並んでいました。

  • 体温を決める

  • 心拍数を決める

  • 基礎代謝率(何もしていなくても使うエネルギーの量)を決める

  • 脂肪を分解する働き、糖を取り込む働き、たんぱく質をつくる働きを、それぞれ上げる

つまり、このつまみが下がると、体はぜんぶを少しずつゆっくりにします。 暖房のつまみを弱めるのと同じで、部屋がゆっくり冷えていくように、体もゆっくり冷えて、ゆっくり動くようになります。

そのとき出てくるサインとして、資料にはこう書かれていました。

無気力、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作の遅さ、記憶力の低下、便秘、肌の乾燥、髪が薄くなる、筋肉や関節の痛み、生理不順

……いかがでしょうか。冒頭の3つが、ぜんぶこの中に入っているのが分かると思います。

そして、ここがいちばんお伝えしたいところなのですが。日本内分泌学会によると、このつまみが下がった状態は、健康な方の4〜20%に認められると推測されています。しかも、女性に多く、年齢が上がるにつれて増えていきます。

思っていたより身近な数字ではないでしょうか。「わたしの気合いが足りないのかも」と思っていたことの一部が、じつは体の設定の話だった、ということがあるんです。

先に大事なことを書いておきますね。 これは医療の領域の話です。実際にそうなのかどうかは、血液検査(FT3・FT4・TSHという項目を見ます)や超音波検査で調べて、お医者さんだけが判断できることです。この記事を読んで「わたしはこれだ」と決めてしまわないでいただけたらと思います。気になる症状が続いているなら、まず内科や甲状腺の専門のところで診てもらうのがいちばん早いです。

そのうえで今日は、受診するかどうかとは別に、ふだんの食べ方で関われるところがあるので、そこをお話しします。

作られたホルモンの4分の3は、まだ働けません

ここが今日のいちばん大事なところです。

このホルモンには、2つの形があります。ひとつは「働ける形」、もうひとつは「まだ働けない形」です。

そして血液の中の割合は、働ける形が1に対して、まだ働けない形が3。つまり、作られたもののうち4分の3は、そのままでは仕事ができません。

じゃあどうするかというと、体の中で、働ける形に変えてから使います。 この変換は体のあちこちで行われるのですが、資料にはこう書かれていました。

「主に肝臓で行われる(肝臓は全体の40%を産生する)」

ここで、話が急に身近になります。

つまり、つまみが下がる理由は、ホルモンを『つくる』ところだけではないんです。

つくるところは元気でも、そのあとの『働ける形に変える』ところでつまずけば、結果は同じです。せっかく届いた荷物が、開けられないまま部屋の隅に積まれているような状態ですね。この状態には名前も付いていて、資料では「LowT3症候群」(働ける形が少なくなっている状態)と呼ばれていました。

そして、この変換のところは、ふだんの暮らしの影響をとても受けやすいんです。

つくる工程より、変える工程のほうがつまずきます

資料に挙がっていた「変換が下がる原因」を読んでいくと、大きく3つにまとまりました。3つとも、心当たりのある方が多いと思います。

① 食べる量が足りていない

これがいちばん大きいです。研究の報告として、総カロリーの摂取量が減ると、体内の働ける形のホルモンも下がると書かれていました。理由の説明が、とてもやさしい言い方でした。

「体がエネルギーを節約しようとする反応と考えられている」

責めているのではなく、守っているんですね。入ってくる量が減ったのだから、使う量も減らしておこう、という判断です。とても賢い体です。

でも、これがダイエットの途中で起きると、こうなります。食べる量を減らす → 体が暖房を弱める → 代謝が下がる → 減らないから、もっと減らす → もっと暖房が弱まる。

「がんばっているのに、なぜか動かない」の正体が、ここにあることがあります。 そして寒がりとだるさも、同じところから一緒に出てきます。(どれくらい食べられていないものなのか、という話は1日1,600kcal。いまの20代女性は、70年前より食べていないかもに書いています。)

② 肝臓が忙しい

さっきの「変換の4割は肝臓」を思い出してください。その肝臓が別の仕事で手いっぱいだと、変換にまで手が回らない可能性がある、ということです。

資料に挙がっていた「肝臓に負担をかけるもの」は、こちらです。

  • 脂の多い食事が続くこと

  • たんぱく質のとりすぎ(多ければ多いほどいい、ではありません)

  • お酒

  • 一部の食品添加物

  • 腸内環境のバランスの乱れ

  • サプリメントののみすぎ

「体にいいと思ってやっていたこと」が、いくつか混じっていませんか。プロテインを増やして、サプリを何種類か足して、油はいいものを多めに……という組み合わせは、善意なのに肝臓には残業になっていることがあります。(脂の話は脂質の8割は、フライパンの外から入っています、腸の話はお腹の中は、にぎやかなほうがうまくいきますにまとめました。)

③ ストレスと寝不足が続いている

ストレスがかかると出るホルモン(コルチゾール)には、働ける形への変換をおさえてしまう働きがあることが報告されています。これも理由は同じで、「エネルギーの消費を減らして、ストレスに対処しようとする反応」と解釈されていました。

そしてこのホルモンが増える原因が、慢性的なストレス、睡眠不足、血糖の乱高下。……つまり、忙しい時期にぜんぶそろってしまうものばかりです。(眠りと食べ方の関係は眠りは、その日の食べ方の続きですに書いています。)

ごはんを抜くと、二重に効いてしまいます

もうひとつだけ、お伝えしておきたいことがあります。

ホルモンをつくる工程にも、じつは糖が関わっています。資料によると、合成に必要なある物質は、糖の代謝の途中でつくられるものなのだそうです。だから炭水化物が減ると、そこでも影響が出る可能性がある、と書かれていました。

さらに、糖が足りないと、体はたんぱく質や脂肪から糖をつくり出す作業を始めます。これが続くとストレスホルモンが増えて、さっきの③(変換をおさえる)が上乗せされます。

つくる側と、変える側。ごはんを抜くと、両方に効いてしまうんですね。

もちろん、ごはんを山盛りにしてくださいというお話ではありません。「主食をゼロにする」だけはやめておきましょう、というくらいの温度でお読みください。

良かれと思って、が裏目に出ることもあります

もうひとつ、意外に思われることが多い話をさせてください。海藻です。

このホルモンをつくるには、ヨウ素というミネラルが必要です。海藻にたっぷり入っています。だから「甲状腺にいいらしい」と聞いて、毎日たっぷり食べるようにしたという方に、ときどきお会いします。

ところが資料には、こう書かれていました。

ヨウ素をとりすぎると、一時的にはホルモンの生成が増えるものの、長期的には逆に生成が抑えられてしまう。

足りなくても困る。多すぎても困る。ちょうどよさが必要なタイプの栄養素なんです。

目安の数字も出ていました。

  • 大人の1日の推奨量 … 150μg

  • 安全な上限量 … 1日1,100μg

そして食材のほうを見ると、こうなっています。

  • 乾燥昆布1gで、約2,000μg(1gでもう上限を超えます)

  • ひじき5gで、2,350μg

  • わかめ70gで、1,120μg

  • 魚介類100gで30〜50μg/牛乳1カップで50〜100μg/卵1個で20〜30μg

いかがでしょうか。昆布とひじきだけ、けたがちがいます。

ですので、こう考えていただけたらと思います。おみそ汁のわかめ、週に何度かのお魚、卵、牛乳。このあたりは、まったく心配ありません。気をつけたいのは、とろろ昆布・昆布だし・ひじきの煮物・海藻サラダを、健康のために毎日重ねているとき。そこだけ「毎日たっぷり」から「ときどき」に戻すと、ちょうどよくなります。

足せば足すほどいい、ではないものもある。 これは海藻にかぎらず、サプリでも同じことが言えます。

今日から変えられること

長くなったので、まとめますね。

  • 寒がり・だるさ・体重が動かないが同時にあるときは、代謝のつまみが下がっている可能性があります

  • つまみが下がる場所は2つ。つくるところと、働ける形に変えるところ。後者のほうが、ふだんの暮らしに左右されます

  • 変換が下がる引き金は、食べる量が足りない・肝臓が忙しい・ストレスと寝不足

  • だから、減らすほど下がることがあります。まず主食をゼロにしないところから

  • プロテインもサプリも油も「増やす」方向に寄りすぎていないか、いちど見直してみてください

  • 海藻は毎日たっぷりではなく、ときどきでちょうどいいです

  • そして眠り。ここが崩れていると、食事だけではなかなか戻りません

ぜんぶやらなくて大丈夫です。今日はひとつだけ、「減らすほど、暖房は弱くなる」を覚えて帰っていただけたら、それでうれしいです。

そのうえで、食べ方を整えてもしばらく変わらないときや、症状が重いときは、必ず病院で相談してください。 血液検査ですぐに分かることですし、必要な治療があるならそちらが先です。数字を読んで判断できるのは、お医者さんだけです。わたしたちにできるのは、その手前と、そのあとを整えることです。

寒がりも、だるさも、体重が動かないことも、あなたのがんばりが足りないから起きているのではありません。 体が、いまある材料でなんとかしようとして、静かに暖房を弱めているだけかもしれません。

だとしたら、やることは減らすことではなく、もう一度あたためられるように、材料を戻してあげることです。


ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

今日お話しした「暖房が弱まる引き金」も、どれが効いているかは人によってちがいます。食べる量が足りていない方もいれば、量は足りていて眠りとストレスのほうが大きい方もいます。

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