解説★円安や円高になる理由
このnoteでは、円安や円高になる理由について解説するぞ。
・通貨の価値は、何で決まっているのか?
通貨の価値は、誰にどれぐらい持ちたいと思われているかで決まっていると言える。誰が、というのがかなり重要で、国内外の投資家(機関)と個人だと思えば、だいたい合っていると思う。日本人の考えは、非常に重要だ。しかし、現代では、資本の規模も人口も、大半は日本以外の国から成ると考えるのが客観的だろう。だから、雑に言うと「外国の金持ちはどう思っているのか?」という視点が重要になるだろう。
そしてお金を持っていない人は、投票を通じて政府の長期的な意思決定には参加できるけども、資本主義社会における、通貨を含む資産の価格決定には直接ほぼ関われないのが現実だろう。価格決定への影響力は、ほぼマネーの量だけで決まってしまうはずだ。円は我々の暮らしでとても重要だから、きっと身の回りのことで頭がいっぱいになると思う。しかし、そういう日常的な感覚からいったん離れて、外国の金持ちの視点で考えることが大事なのだと思う。
・円安と円高の定義
さすがに良く使われる単語だからいちいち定義しなくても良いかもしれないが、一応定義しておこうと思う。このnoteでは、1ドルあたりの日本円の数値が高くなることを円安、低くなることを円高と呼ぶことにする。文字通りドルに対する円の価値が安いか高いか、ということだ。
・円安になる主な理由
円安になる主な理由は以下のとおりであると考えられる。
1. 日米金利差(円安の場合は日本側が低金利)
2. 貿易収支(円安の場合は輸入超過)
3. 資本移動(円安の場合は資本流出)
4. 1-3の要素の将来的な織り込み
5. 他の資産(株など)の価値の変化(有事の円買いと呼ばれたりするもの)
6. 信認の低下=将来に大量の日本円が増刷されることへの警戒
まず、1から3はファンダメンタルズ(経済的基礎条件)と呼ばれるものと言って良いと思う。それはつまり、今、日本や諸外国の経済はどういう状態か?を表す数値的な指標だ。
通貨の価値を最も支配的に決めるのは、多くの場合で金利だろう。なぜなら、単純に利回りが良い通貨ほど金持ちは所有したくなるからだ。実際、2023年ごろまでは、ドル円相場は日米金利差に非常に良く連動していたと思う。
2と3は、通貨そのものではなく他の資産やモノに関わるものだ。要は、どれぐらい日本のモノと、海外のモノが買いたいと思われているかということだろう。いくら通貨自体の利回りが良くても、その通貨の使用を政府に保証されている国に買いたいモノが無ければ、通貨の人気も下がってしまうと言える。これは国家の場合は、主に貿易収支だ。そして個人レベルでは、NISAが円安を引き起こしていると言われている。これは日本人から見て、インデックス投資(オルカン、VT、SP500)やゴールド(純金上場信託、GLD、GLDM)などの海外のモノの人気が高まっているということだと理解できる。
そして重要かつ、ある程度勉強した人が見逃がしやすいのが、4番目の織り込みだろう。そもそも経済全般に共通することであるが、正確にはファンダメンタルズそのものではなく、「ファンダメンタルズを見た資本家がどう思うか」で価格が決まっているはずだ。だから当然、将来にどうなりそうか?という期待や不安を強く反映するのだ。このような未来の予想による価格変化が織り込みと言われる。
5番目は、日本円やドルの状況は変わっていないけども、他の大規模な資産(多くの場合は株)の価値が変わって、資金が流入あるいは流出するということだろう。有事の円買いと呼ばれていた例がわかりやすい。有事だと株の価値が下がるから、当時は価値があまり変わらないと言われており安全資産とみなされていた日本円が買われるということだろう。(ちなみにウクライナ戦争の時点では、有事の円買い的な動きはもうほぼ無かったと思う。)
そして最も複雑かつ多くの人が見逃がしていると感じるのが、6番目の信認低下である。この意味は、「日本政府が近い将来に大量の日本円を発行する」可能性の懸念だと思えばよい。信認低下の有名な例はトルコリラやアルゼンチンペソだろう。信認低下については、次の章で詳しく解説をしたい。
・信認低下のメカニズム
信認低下を察知するために重要なのは、無限ループのような仕組みが存在するかどうかという問題だろう。最もありがちなのは以下のパターンだと思う。
赤字国債の発行(日本円の流通量増大)→資本家が日本円の流通量の爆発的な増大を懸念し、日本円と日本円に価値が連動する日本国債が売られる→日本国債の長期金利が上昇→政府の国債利払い費が増大→利払い費の調達のために追加の赤字国債の発行→…このようなループだろう。
一つ目の重要なポイントは、信認低下によって日本円が売られた場合、長期金利は上昇するということだろう。これは、「不人気だから高い金利をつけないと買い手がいない」ということを意味する。ここで1番目の条件をもう一回見てみよう。「高金利通貨ほど人気で通貨高になる」ということだった。もしかして混乱しているだろうか?もう少しわかりやすく言ってみよう。「他の大きな欠点を補うために高金利にせざるを得ない」とも言えるだろう。実際に、トルコリラやアルゼンチンペソは非常に高金利な通貨なのである。しかし、大規模な通貨安が進行した。
つまり、1番目の条件は「他に問題が無ければ」金利差で為替が変わるということだともみなせる。
二つ目の重要なポイントは、高金利によって政府の支出が増大し、政府はさらに日本円の流通量を増やす必要性に迫られるということだろう。そして将来の流通量の増大、つまり価値低下を嫌った投資家に、日本円と国債を売られるはずだ。だから、より高い利回りにしないと買い手がいない。そして支出が増大し…というループに突入すると言える。なお、何度か別のnoteで解説したが、国債の場合は売却と価格上昇はほぼ同じ概念であり、必ず同時に起こると言って良い。
この無限ループが始まるとトルコリラのように、世界の投資家が円を持たなくなってしまう。どんどん量が増えて価値が下がっていくのだから、当然だろう。通貨の信認・信用とは、要はこの無限ループは起こさないだろうという信認・信用と言い換えられる。そして、無限ループを起こさないことの根拠になるのが、債務残高GDP比と呼ばれる指標だろう。債務とは要は赤字国債による政府の借金であり、GDPはその国の財力に近いはずだ。財力に比べて大きすぎる借金をすると、利払いのために新規通貨を発行して次の借金をする無限ループへの突入を疑われ始める、と言える。
債務残高GDP比の確実に安全な水準は、EUのルールでは60%と決められた経緯がある。一方で別のnoteで解説したが、日本は現在235%、米国も120%と高い値なのである。
著名投資家レイ・ダリオ氏は、2026年2月に「円安は終わらない」と述べた。また、その根拠として、このnoteと同様に信認低下を指摘しているのだ。
未だに日銀が利上げすれば円高・・という雰囲気の議論をよく見る気がする。それは利上げによる利払い費の追加が引き起こす、通貨量の増大がセットになっていない、「他に問題が無い場合」の議論だろう。なお、著者は2025年12月に投稿した初回のnoteの冒頭で、日本円の信認低下とトルコリラ化を指摘した。手前味噌であるがレイ・ダリオの考えを3か月先取りできていたとも言えると思う。
日本円のトルコリラ化を今から防ぐ唯一の方法は、大規模な増税と支出削減(特に社会保障)を同時にやることだろう。しかし別のnoteに書いたが、2026年の衆院選で与野党はともに減税を提案し、きっと世界の投資家を驚かせたのである。この時、長期金利は数日で0.5%も上がった。著者の考えでは、おそらく増税と支出削減によって日本円のトルコリラ化が止まる未来は来ない。レイ・ダリオも円安は終わらないと言っているから、きっと似た考えだと思う。
社会の真実は、時には知りたくもないような実態であることもある。日本円が崩壊するなどと、不愉快なことを言うなと言いたくなるかもしれない。著者はこれらのマクロ経済的考察により、年齢の割には多額の運用益を得ることができた。そしてnoteという場において、経済的な社会の真実を追求し、思考を公開する活動を継続している。もし興味がありそうな人がいれば、ぜひ広めていただきたい。
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