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【コラム】AI時代にも必要な「粘り強く最後までやり抜く力(Grit)」を、算数・数学で育てる方法

学校のテストや受験では、「決められた時間内に、素早く正確に問題を解く力」が求められます。一方で、何日も、時には何ヶ月も時間をかけて、じっくりと一つの問題に向き合うことも大事だと言われます。

では、社会に出たとき、本当に役に立つのはどちらの力でしょうか?

時代は大きな転換点を迎え、AIが急速に進化しています。「決められたルールの下で、素早く正確に処理をする」という前者の力は、もはや人間よりAIの方が遥かに優秀になっています。つまり、処理速度を高めるだけのスキルは、AIに任せればよい、となる傾向は弱まることはないでしょう。

では、後者の「時間をかけて難しい問題を解く力」はどうでしょうか。これもAIが代替してくれるかというと、決してそうではありません。

AIが進化しても、社会の難題を解決するには、人間がAIのアウトプットを理解し、必要に応じて加工した上で、関係者に分かりやすく説明する力が求められます。また、うまくいかなければ別の方法を試すなど、現実社会では泥臭い試行錯誤と実行力も欠かせません。

このように、問題解決に必要な思考力、試行錯誤する力、そして最後までやり抜く力は、人間が中心の社会である以上、AIがさらに進化した後も身に付けておく必要があります。言い換えれば、これからのAI時代に大切になるのは、難しい課題に対して何日、何週間、何ヶ月、場合によっては何年も粘り強く向き合い、解決する力です。

この『長期にわたって困難な課題に粘り強く取り組み、最後までやり抜く力』を『Grit』と呼ぶことにします。このGritはどうすれば養うことができるのでしょうか?


■ 数学は「Grit」を育てるのに適した科目

私は、数学(算数)は、Gritを養うために適した科目の1つだと思っています。しかし、ただ公式や解き方を暗記し、問題の処理速度を上げるだけの勉強では、Gritは十分に育ちません。

では、どうすれば数学を通じてGritを養うことができるのでしょうか?


方法はとてもシンプルです。それは、「解けなくてもすぐに答えを見ず、答えが見つかるまで時間をかけて考え抜くこと」です。

時間をかけるといっても、数十分のことではありません。問題の難易度によっては数時間、数日、あるいは数週間ずっとその問題について、時間のあるときには、解けないかを考えるのです。なお、同じ問題でも、感じる難易度は人それぞれですので、自分が一見して解けない、難しいと感じる難易度のものを対象にすると良いです。


難しい問題は、すぐには解けなくても、答えを見ずに粘り強く考え続けていると、数日後にお風呂に入っている時や散歩をしている時に「あ!こう解けばいいのか!」と突然答えが閃くことがあります。Gritは、まさにこのように、自分が難しいと思っていた問題を解決できた、という成功体験によって養われます。

「自分の頭で悩み抜き、自力で突破口を開いた」という経験は、圧倒的な自信として記憶に鮮明に残ります。そのため、時間的制約の厳しい受験期などであれば、何十回も経験する必要はありません。たった数回でも、こうした経験ができれば十分な自信に繋がります。

■ 一度の経験が、一生モノの「正のフィードバック」を生む


こうして時間をかけて(自分にとっての)難問を解いた経験がある人は、心の中に「難しいと感じる問題でも、時間をかけて向き合えば必ず解決できる」という強い自信を持てています。そして、この自信は、大人になって社会に出た時に大きな財産になります。

仕事をしていると、誰もが「難しそうだからやりたくない」「正解がないから無理だ」と避けて通るような難題に出会うことがあります。

そんな時、Gritを養ってきた人は、逃げずにその難題に取り組むことができます。そして、時間をかけて見事に解決してしまうのです。

難題を解決すれば、周りからも高く評価され、自分自身の力にもさらに自信がつきます。そして「次もまた難題に挑戦しよう」と思えるようになります。

この「解決する → 自信になり、周りからも認められる → また挑戦する」という正のフィードバックによって、大変ながらも、仕事への満足感を得ることができます。

■ Gritはいつからでも鍛えられる

このGritを養うプロセスは、実は、いつからでも鍛えることができます。
そしてそれは、複雑な数学の難問である必要もありません。論理パズルでも、算数の文章題でも、論理的思考を使って解く問題であれば、「すぐに答えを見ないで、考え続けること」を意識するだけで、着実に思考の持久力は養われていきます。

■ おわりに:AI時代だからこそ「自ら考え抜いた時間」が価値になる

AIが瞬時に答えを出してくれる時代においては、AIの答えを理解し、必要に応じて修正し、それを自分の言葉で他者に説明し、実際の問題を解決していくことが求められます。

その土台となるのが、分からないことを試行錯誤しながら答えを探し続ける経験です。数学や算数は、こうした力を身につけるのに適した科目の一つです。

まずは、すぐに答えを見るのではなく、「分からないから、もう少し考えてみる」。一つの問題に粘り強く向き合い、自分の力で突破口を見つけた経験が、実際に問題解決の力となり、「難しいことでも、自分なら何とかできる」という自信にもつながります。


まずは次に「分からない」に出会ったとき、答えを見る前に「あと1分だけ考えてみよう」と踏みとどまってみてください。その1分間こそが、あなたのGrit(やり抜く力)を育てる第一歩です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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