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第2話|小さな“たすけて”が聞こえる。──朝焼けの幻想


雨の匂いがした。
ふりかけのときに感じる、あのモワッとした、土と化学がまざった匂い。

小さい頃は嫌いだった。
でも今は、ほんの少しの衝撃と一緒に
「ああ、生きてるな」
そう感じる。

それは決して心地よいものではない。
だけど、大きな自然の呼吸にふれているような、
“世界が動いている”という気配に包まれる。

そんな夜だった。




“書くのが、やめられない。”
言葉があふれてきて、朝がきてしまう。
寝ようとしても、ちいさな声たちが目を覚ましてしまう。

“ちいさなひとたち”が、
私のなかで、泣いている。



今、私は本を2冊書いている。

ひとつは「夫を訳す」というシリーズ。
気づけば、小説のようなエッセイになりそうだ。

もうひとつは、このnoteの連載。
「ちいさなひとたち」の話。


でも、ふと問いが浮かぶ。

「私は、何がしたいんだろう?」



答えは、すぐには出なかった。
でも、ぽつりと出てきた言葉があった。

「ひとりは、さみしいから」

それだけで、涙が出そうだった。



ひとりでいると、闇に呑まれそうになる。
誰にも見られていない気がして、
世界から切り離されたような怖さがある。

私はもう「ひとりでも大丈夫」
そう、言えるようになった。


別に特別なことではない。
この歳になるまで、私にもそれなりに色々あった。
その度にたくさん泣いて、崩れて、なんとかつないできた。


だけど――
今にも壊れそうな人が、たくさんいる。

静かに、笑顔のままで、
でも本当は、ぎりぎりで踏みとどまっている人。

そんな人たちの隣に、私はいたい。



私は作家じゃない。
心理士でもない。
ただの母で、ただの人で、
そして「書くことが怖い」と思っている、誰かだ。

それでも――
「“何か”伝えなきゃ」と思ってしまう。

誰かが、言葉を見つけられなかった場所に
私の言葉がそっと届いたら。

それだけで、
「ひとりじゃない」って思ってもらえたら。



私は、「ひとりにしないために」書いているのかもしれない。

これは、夜明けの記録。
朝焼けが世界を飲み込む前の、
ちいさな命の声たちと、私の記憶。

この、『待たせてごめんね。迎えに来たよ』のシリーズは、
名前のない誰か、声にならなかった気持ちたちを、
そっと迎えにいく物語です。
小さな子どもだった自分、
心の奥に残された“まだ泣いてる誰か”。
そんな存在に出会い直すための、静かな旅を描いていきます。

読んでくれて、ありがとう。
もし、あなたの心がどこかふるえたら
その「ふるえたこと」を、
スキで伝えてもらえたら嬉しいです。

それが、わたしの次の言葉をつくる手がかりになります。
よければ、ひとことだけでも、残していってね。

あなたが、ここにいてくれてよかった。
still.


◀︎1話|小さなハルのお話
▶︎次回第3話|小さなレンのお話
「怒ってるのに、何も言えなかった」
「さみしいのに、“いらない子”にならないようにした」

レンは、わたしの中にずっといた“見えない子”。
次のお話で、彼女に会いにいきます。

▶︎その他、シリーズ:『迎えにいく物語|見えなかった子どもたちへ』
※現在全話無料公開中

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