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【漫画】「コミック乱ツインズ」 2026年3月号(その二)

 「コミック乱ツインズ」2026年3月号の紹介、続きは『ビジャの女王』『前巷説百物語』『夜明けの淵』『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』の4作品を紹介します。

前回の紹介記事はこちら


『ビジャの女王』(森秀樹)

 姉の仇であるラジンを討つため、追いすがるオッドを振り払うようにしてビジャを離れ、ラジンの後を追うブブ。しかし、なかなかラジンの跡は見つからず、やっぱり自分は墨者だからビジャに戻ろう! と、ブブは前回の決意がなんだったのか的なことを考えます。
 しかし、姉の導きでしょうか――ラジンたちを発見したブブは、彼らに奇襲をかけます。

 人数の上では勝るラジンたちですが、敗走の上に濁流に巻き込まれ、もはやボロボロの状態(なんか部下を前にするとちょっといい感じのラジン)。
 そこに襲いかかるのが、専守防衛といいつつ個人の戦闘力がやたら高い(印象が元祖のおかげである)墨者のブブなのですからたまりません。生き残りのモンゴル兵も次々狩られていきます。

 そんな中から二人で脱出したラジンと名無しですが、名無しは一人殿軍となって残り、ブブを引き受けようとします。互いを友と呼び、なんかいい雰囲気の二人ですが――基本的に余裕がない状態で戦うので、敵には容赦のない墨者の相手は大変ですね。

 そしていよいよ迎える決着の時。あの切り札を手にしたラジンは――というところで次回に続きます。


『前巷説百物語』(日高建夫&京極夏彦)

 「かみなり」編第5回は、悪党と思われた立木藩留守居役・土田の意外な素顔から始まります。

 実は国元では百姓たちのことを親身に考え、凶作のことを考えて隠し田まで作って米を蓄えていた留守居役。なるほどそれであれば、実質殺されたことを恨んで殺し屋に報復を依頼されてもおかしくない――という気もしますが、では婦女子を弄んだのは?

 と思いきや、これは国元で百姓たちに信奉され、土田も支援していた老僧によるもの、という説明がつきます。
 この部分はオリジナルなのですが、どうかなあ――という印象を受けるのが正直なところ。ほぼ完全な悪役を別に作ったことで、いわゆる「悪いことをしながら善いことをし、善いことをしながら悪事をはたらく」という人間くささが失われてしまったのは残念です。

 その辺りを調べられなかった、ゑんま屋の不手際、まさに「読みも甘く仕掛けも温い」といえばそれまでなのですが……

 しかしそれ以上に印象的なのはいつも以上の台詞の多さ、というより展開の圧縮ぶりなのですが、それもそのはず、この「かみなり」編は今回で終了。
 もう一回あるかと思っていたのですが、それはそれで間延びしそうではあるものの、あの人物のことを語るラストの部分はもう少し膨らませて描けたのではないかな、という気持ちはあります。

 前回気になっていた、又市の妹の話はきっちりオチがついて良いのですが……


『夜明けの淵』(鶴岡孝雄)

 特別読切の本作、主人公は手習所の師匠・小畑安之助。薄い髷に眼鏡というビジュアルがなんとも垢抜けない彼は、ある晩、よく立ち寄っていた夜鳴きそばやで惣菜を売、女と出会います。

 近くの女郎屋で働いているらしいおりきと、惣菜をきっかけに言葉を交わすようになる安之助。いつか店を出したいという彼女を励ます安之助ですが――ある日、彼女は無理を強いる店の男たちに逆らったために手酷い折檻を受けることになります。
 それを知った安之助は……

 という、ナメてた相手が実は――ものの本作。当然ラストは大立ち回りとなるのですが、作者の濃い絵柄も相まって、あまり爽快感を感じないのが面白いところです。
 しかし、実はその前に過去の雇い主から新しい仕事を依頼されたにもかかわらず安之助が断っていたり、クライマックスの後に彼が抱く想いなど、(絵柄はともかく)この味わいは意識的に出しているのが面白いところです。

 この味わいを保っていくとなかなかユニークな作品になりそうにも感じますが……


『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』(重野なおき)

 いよいよ浦上宗景との全面対決を決意した直家ですが、そのままでは逆臣になってしまうため、大義名分を求めて――という展開となった今回。
 なるほど、元祖戦国大名の北条さんもそれで苦労しているしなあ、と余計なことはさておき、その大義名分として擁立されることになったのが、宗景の甥孫・浦上久松丸です。

 なんだかその関係性だけで無理矢理感がありますが、大義名分なのでそんなことはいいっこなし。むしろ隣国・播磨の小寺家に庇護されているため、そこの「なかなかの切れ者」の家臣が面倒と――あれ、それってもしかして?

 と思っていたら、やっぱり登場しました黒田官兵衛さん。クロスオーバーと言ってよいのかはわかりませんが、やはり嬉しくなる展開です。
 もちろん官兵衛は久松丸の重要性を見抜いて反対するのですが、まあいつものごとく小寺政職が――という展開になるのもお約束でしょう。

 この後、官兵衛と直家は色々と因縁があるわけですが、一足先に描かれたこの辺り(というか作者の宇喜多直家はあちらが初出だったでしょうか)を、本作がどのように描くのか――それは今後のお楽しみ、まずは宗景との対決です。

 次号は表紙&巻頭カラーが『江戸の不倫は死の香り』、特別読切として玉彦『凛九郎』が掲載予定です。


先月号の紹介記事はこちら


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