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Chapter6. 凝血現象:真の生化学的意味③

⇩の続き

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Ch.ロビン曰く、人間、犬、牛の血液を氷点下で冷却すると馬の血液と同じ挙動を示す。血球が沈殿する程の長時間を経ても液体を維持し、ドネ曰く、白血球が赤血球上部に灰色の層を形成する。上清が塊となり、温度が12~14℃(53.6~57.2℉)に達すると透明性を喪失する。ロビンはこの透明な上清を血漿と呼び、濾過が不可能だと述べたことも付言しよう。

これらの実験の検証機会を得なかったことを無念に思うが、ロビンの証明から真実と想定して差し支えないだろう。私の理論を支持している為だ。零度(32℉)以下の低温はそれ単独の効果で(ビール酵母で確認される通り)解剖学元素の栄養機能を遅滞させることから、分子顆粒のアルブミノイド雰囲気の凝固を遅滞させる筈である。

ホイッピング分離による古典的フィブリン形成の原理が説明されていない。これは非常に単純である。これは機械的作用と化学的作用が同時に生じた結果である。機械的作用で分子顆粒同士を隔てる間液の層が破壊され、強制的に遊離した顆粒同士が各々の粘性アルブミノイド雰囲気により結合すると同時に、存在条件の変化がアルブミノイド物質に同素体転換による凝固を起こしつつ同時に収縮するが、依然として微小発酵体を被包している。結果、血液の体積全域に拡散する分子顆粒は、相対的に小さなフィブリン分の体積量へと減少することになる。そしてこの小さなフィブリン体積量から、瀉血時点の流体組織に分布する分子顆粒を囲むアルブミノイド物質の膨大な体積量が推量できる。これはアルコール混合血液で沈殿する分子顆粒で観察した通りである。

ホイッピング分離法では血球全体が維持される。この分離法での秤量結果が凝血塊洗浄分離法より軽い場合、後者の分離法ではここに血球の破壊で生じる分離顆粒が加勢する為だと説明してきた。

以上の事実が、1895年フランス科学振興協会ボルドー大会で私が発表した「血液自然凝固の実験生理学理論」の根底を成している。

“流体組織”こと血液の自然凝固理論の価値に未だ疑念が残るならば、その疑念を払拭する実験がある。その新たな実験は以下の論考の成果である。

凝血塊がアルブミノイド雰囲気の自発的癒着で形成され、また適度な希釈アルコールの混合で分子顆粒が互いに分離独立のままアルブミノイド雰囲気が凝縮するのであれば、アルコールに代わり水を血液に投入すれば何が起こるだろうか?以下が実験結果である。

水中に拡散した血液の凝固

瀉血直後の血液にその体積の最大半分量まで蒸留水を注ぐと、量を問わず凝血塊は形成される。少量の場合、血球に変化は見えず、滲出する血清も通常通りの外観を呈するが、水の増量に従い、血清が着色する時期が到来する。この試行に鼓舞された11月のある日、パリでロシア羊の一般静脈切開後の血液を譲渡され、一つは2倍体積量の36%アルコールに投入後、100㏄当り2滴分の石炭酸水を滴下した。もう一方には2倍体積量の蒸留水に投入し、同じ割合の石炭酸を滴下した。

アルコール混合血液からは既知の通りの性質を示す通常の分子顆粒が沈殿し、当然ながら凝血塊の痕跡はなかった。

水混合血液は全く異なる結果となった。アルコール混合血液も水混合血液も午前9時に調製し、当然ながら深紅色を呈していた。だが午後3時になると水混合血液は凝固し、凝血塊が全体積を占拠し、その体積は加水しない場合の凝血塊の3倍に膨張した。深紅色の液体が少量、既に排泄されていた。翌日、凝血塊にそれ以上の収縮はなかった。

雄牛の血液で実験を繰り返しても結果は同様であった。凝血塊が全体的に形成され、少量の深紅色の液体に浮遊していた。

2つの実験で得た微かに震える半透明の凝血塊を、目の細かい湿った布の上に放置して水気を切った。暫くすると布が粘性物質に覆われ、これを僅かに石炭酸水を点滴した水(100ccあたり1滴)で長時間洗浄した後に25%アルコールで洗浄、再度水洗浄しても完全に脱色されず、最終的に赤い偽膜が残り、これは布から一塊のまま取り除くことが可能であった。この実験条件ではこの外観と状態のフィブリン塊が確認できた。その量は凝血塊洗浄分離法の場合と明確に同一である。この条件のフィブリンは2:1000の塩酸に即座に溶解せず、通常のフィブリンと同様に時間と温度の関数だが、最初にホイッピング分離のフィブリンの如きゼリー状の形態を採らない。

血液性微小発酵体分子顆粒のアルブミノイド雰囲気を適切な濃度のアルコールで濃縮させると、水中で3倍以上に膨張し、それでも血液は凝固し、血球は破壊される。

この一連の新しい実験により、流体組織における第三の解剖学元素たる微小発酵体分子顆粒の存在に基づく凝血現象の生理学的理論がこの現象を完全に説明するという結論に至った。

従って、是迄進歩を妨げてきた「血漿 Plasma」「プラスミン Plasmine」「フィブリノーゲン Fibrinogen」「フィブリノプラスミン Fibrinoplasmin」なる用語を科学用語から削除する時に来ている。また、血球、石灰質等の塩、接触触媒作用等、種々の超自然的作用も然り、現象を説明する為の空想上の概念も削除せねばならない。血液の解剖学、解剖学元素の存在条件の正確な理解だけで十分である。だが、凝血現象の意義を従来とは異なる形で理解する必要性もある。実際、血液は凝固しない。実験がそれを証明している。流体組織にある第三の解剖学元素を構成するアルブミノイド物質が同素体転換で凝固すると、この現象の要素全体に完全なる凝固の外観を付与することになる。だが是迄の通り、それは錯覚に過ぎない

血液の”自然凝固”と想像された現象は根本的に、流体組織が起こす自然変質の第一段階の末期に過ぎず、死後硬直もまた筋肉組織の自然変質第一段階を示すのと同様である。

だが組織の変化とは何か?また、血液自然変質の第二段階とは何か?それはどの瞬間に始まるのか?

これらの疑問への正確な解答が、この章の計画に重要である。


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